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過去3年間の、住宅ローン金利と関係の深い長期金利の動向はこのようになっています。
日銀の「異次元の金融緩和」や「マイナス金利政策」によって順調に、そして劇的に低下してきた長期金利ですが、昨年の7月末から反転しました。
金利低下を望む住宅ローン利用者からすれば残念な動きですが、ただそうした金利上昇も既に収まり、今年に入ってからは落ち着いて推移していることが分かります。これは日銀の新たな金融政策=イールドカーブコントロールによって長期金利が直接的に操作されている結果ですね。
今のところ日銀の「金利管理能力」は期待通り発揮されているようですので、金利は当面今の水準を維持していくことになりそうです。
そのように考えれば足元の「超低金利の住宅ローン」もまた当面続くことになりますので、前向きにとらえて良さそうです。もし金利が大きく変動しないのであれば、住宅ローンを新規に借り入れるにしても、借り換えるにしても、待つ必要はないわけで、思い立った時に申し込めば良いということです。
ただ一方で。
そうは言いつつ1年前と比較すれば、長期金利ほどではないにせよ住宅ローン金利も「固定金利」については多少は上昇しているわけで、「タイミングを逃した」と感じている方も一定割合おられそうです。そうした方々の存在は住宅ローン市場から見れば「逆風」ということになります。
ではまさにその長期金利が上昇した直後の2017年1月〜3月の住宅ローンの新規貸出額は増えたのでしょうか?減ったのでしょうか?
素直に考えれば減りそうですが、しかし金利上昇に慌てて申し込んだ方がそれ以上にいれば、「むしろ増えている」という可能性もなくはなさそうです。
と言うわけで、住宅金融支援機構が発表した2017年1月〜3月期の業態別住宅ローン新規貸出額の調査結果はこのようになっています。
意外にも「+10.6%」と増加していますね!
なるほど・・・とするとやはり上記の通り「慌てて申し込んだ方」が一定割合いたということかもしれませんが、再度考えられる仮説を書き出すとこういった感じでしょうか。
1.2016年夏からの金利上昇に慌てて申し込んだ方が一定割合いた。
2.金利が急低下した2016年に申し込んだ住宅ローンの契約&借り入れが2017年1月〜3月に一定割合あった。
3.確かに2016年夏から住宅ローンの「固定金利」は多少上昇したものの、一番人気の「変動金利」はむしろ若干低下したために住宅ローン全体の人気が保たれた。
4.ぶっちゃけ多くの住宅ローン利用者は細かな金利変動や、市場金利の動向に興味・関心がない。
いかがでしょう?正解は現時点ではわかりませんが、ピンとくるものはあるでしょうか。
ちなみに上記1と2は「一時的な理由」、3と4は「構造的な理由」ということになりますので、その次の「4月〜6月期」の住宅ローン新規貸出額が前年比で減っていれば前者、変わらないか増えていれば後者の可能性が高まります。3ヶ月後の次回の調査結果にも注目したいと思います。
なおこちらの調査は上記の通り「業態別」ですので、主要業態の増減をチェックするとこうなります。
・国内銀行 : +10.8%
・信用金庫 : −4.0%
・労働金庫 : +23.0%
・住宅金融支援機構(フラット35) : +12.3%
こうしてみると結構、明暗が分かれておりますね!特に印象深いのは信用金庫が−4.0%と前年と比較してむしろ新規貸出額を減らしてしまっている点ですが、逆に+23.0%と大幅に増やしている労働金庫も含め、これらの業態の住宅ローンについて記者は全く不勉強ですので、こうした動きが一時的なものなのか、はたまた構造的なものなのか全く分かりません・・・。
ただどこかの労働金庫に加入されていたり、身近に労働金庫があり、その住宅ローンを利用できるかもしれない方は、金利条件等をチェックしてもいいかもしれませんね。
ここでいつものように、これまでの新規貸出額の推移をチェックしてみるとこうなっています。
今回の「1月〜3月期」に限らず、2016年度=2016年4月〜2017年3月は全体的に大きく新規貸出額が増加していることが分かります。これはやはり「マイナス金利効果」ということなのでしょうね。
とすると今後の新規貸出額は多少はスローダウンしていきそうな気もしますが・・・果たしてどうなるでしょうか。
こちらの別の調査結果では減らないまでも確かに多少スローダウンの兆しが出ておりますが・・・。
>>>金利上昇で住宅ローンは減った?2017年第2四半期の銀行貸出動向とフラット35実績
ただもちろん、全体の住宅ローン需要が減ろうが減るまいが個別の住宅ローンの「借り時」に大きく影響するものではありません。むしろ需要が減っている方が早く手続きが終わって良い、と言った前向きな解釈もできるかもしれません。
冒頭ご案内したように今は市場金利も住宅ローン金利も日銀のイールドカーブコントロールによって安定的に推移しておりますので尚更ですね。
では最後にこれまたいつものように、期初の長期金利の推移とフラット35の新規貸出額の推移をチェックしてみたいと思います。
こうしてみると市場金利の動向とフラット35の新規貸出額の「相関」は結構ありそうですね!住宅ローン利用者の方々は市場金利も住宅ローン金利もしっかりチェックされている、ということなのでしょう。頼もしい限りです。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>