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7月となりました。1月末に発表された「マイナス金利政策」の影響で住宅ローン市場、特に住宅ローン借り換え市場は大盛り上がりだったわけですが、4月以降はメガバンクが金利優遇を縮小したこともあり少しスローダウンしたのではないかと思います。
しかしそのメガバンクも6月から住宅ローン金利を引き下げてきており、再び積極姿勢が出てきましたね。
加えて後押しとなるのがここ最近の金利低下傾向です!もう何度も同じことを書いていますが、その理由は以下2つと思われます。
1.イギリスの国民投票の結果が「EU離脱」となったことを契機に金融市場が大きく混乱していること
2.大幅な株安円高が起きていることを背景にこれまで以上に日銀の追加金融緩和への期待が高まっていること
そうしたわけで、7月の住宅ローン金利が低下するのは必至の状況だったわけですが、では実際の金利はと言うと・・・三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行の大手銀行=メガバンクはこのような結果となっています。
・変動金利 : 据え置き
・10年固定金利 : 引き下げ
・20年固定金利 : 引き下げ
・30年固定金利 : 引き下げ
予想通り、固定金利は仲良く金利低下となっておりますね!こうした積極姿勢が1日も長く続くことを祈りたいと思います。
イギリスのEU離脱は誠に残念な結果ですし、日本経済に対する悪影響も少なくなさそうではありますが、理由はどうあれ、住宅ローン利用者にとっては金利が低下することはありがたいことです。
この思ってもみなかった「棚からボタモチ」的なチャンスを積極的に利用して、住宅ローンの返済額を減らしていきたいものですね。
ここでいつものように住宅ローン金利のベースとなる長期金利=10年もの金利の推移を具体的にチェックするとこうなっています。
■長期金利グラフ(グラフ期間:1年)
全体的には1月末のマイナス金利政策発表からドスンと金利低下しているわけですが、足元では−0.255%ということで空前のマイナス水準となっています。「異次元金利」ですね・・・。
ちなみに日銀のマイナス金利は「−0.1%」に設定されており、銀行からすれば「−0.255%の国債を買うより、−0.1%の日銀の当座預金に預けた方がマシ」であるのは間違いありません。
つまり合理的に考えれば国債金利=長期金利が−0.1%を下回ることは考えにくいわけですが、ここまで長期金利が下がっているということは上記の通り、早晩、日銀が追加緩和に踏み切るという期待が高まっているから、ということなのでしょうね。
確かに−0.255%の国債でも−0.3%に金利低下=値上がりすれば儲けを出すことができます。
言い換えれば金融市場は、日銀のマイナス金利が少なくとも−0.255%以下まで進むと予想している、ということですね。
仮にマイナス金利が拡大されるとしても、おそらく「−0.1%刻み」もしくは「−0.05%刻み」でしょうから、一足飛びに−0.25%以下になることはないと思いますが、それくらい中長期的な追加緩和&マイナス金利拡大期待は強い、ということでしょうか。
もちろん金利で負けても為替で勝つという手もあり、海外の投資家がさらに円高が進むと思えば、−0.X%程度のマイナスは全く気にせず国債を買うということはありそうです。今の流れで言えば当面は円高でしょうからね・・・。
また新聞で報じられていたように、ドルを邦銀に貸すとかなりの上乗せ金利がもらえるそうなので、これまた−0.X%程度のマイナスは気にならない、という事情もあるのかもしれません。
そのような複合的な要因が影響しているのかもしれませんが、それでも繰り返しになりますが、追加緩和への期待が高まっているのは間違いないと思います。
素直に日銀がその期待に応えるかどうか、というのは別の話ですが・・・。
ちなみに先日の当サイトのコラムでは「7月の住宅ローン金利は−0.1%〜−0.2%程度下がる」と予想しましたが・・・今回は概ね当たっていたと言えそうです。もしイギリスの国民投票の結果が「残留」になっていれば逆に金利上昇する可能性もありましたが・・・。
>>>[7月の住宅ローン金利予想]長期金利は大幅低下もイギリスの選挙結果次第
世界の金利動向をチェックしてみるとアメリカの金利はこのようになっています。
アメリカは堅調な景気回復を背景に、昨年12月に一足早く政策金利の引き上げ=「利上げ」に踏み切ったわけですが、その後の世界的な株価下落や景気減速の動きを受けて足元ではむしろ低下傾向ですね。
と言うか大きく低下しています!金融市場は、「当面アメリカの追加利上げはない」とにらんでいる、ということでしょうか。
今は日本国内のみならず、海外でも金利は低下基調ということですね。もちろん住宅ローン利用者にとっては追い風です。
[2016年7月の住宅ローン金利]
上記ご案内したように、7月の住宅ローン金利は「全面的に引き下げ」という状態ですね。どこもかしこも「史上最低金利」水準になっているようですから、住宅ローン利用者からすれば誠にありがたい状況ですね。
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
具体的な金利をチェックしていくと、意外だったのはフラット住宅ローンのメイン商品であるフラット35の金利が6月と比較して−0.17%もの引き下げとなった点ですね!より期間の短いフラット20の金利も−0.14%の引き下げです。
金利引き下げは予想しておりましたがここまで大幅なものは予想しておりませんでした。
>>>最新のフラット35の金利はこちら(楽天銀行)
なお、先日のフラット35の金利予測では
・フラット20金利 : −0.09%引き下げ
・フラット35金利 : −0.11%引き下げ
と予想しましたが、全く違っていましたね(苦笑)。申し訳ありません。
フラット35住宅ローンのベースとなる機構債金利は前月比−0.13%低下だったのですが、それを上回る金利引き下げというのは全く想定しておりませんでした。
一体、どういうロジックで金利を決定しているのでしょうねぇ・・・謎です。
>>>[7月のフラット35金利予想]前月比−0.11% フラット35表面金利0.99%?
次に民間の住宅ローンをチェックすると、いつものように当サイトで人気の住信SBIネット銀行と、日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行の、6月と7月の住宅ローン金利の推移はこのようになっています。
◆住信SBIネット銀行(ネット専用住宅ローン)
・変動金利 : 0.568% → 0.497% (−0.071%)
・10年固定 : 0.600% → 0.510% (−0.090%)
・20年固定 : 0.960% → 0.760% (−0.200%)
・30年固定 : 1.220% → 1.070% (−0.150%)
>>>最新の金利はこちら
◆三菱UFJ銀行(保証料を加えた実質金利)
・変動金利 : 1.075% → 1.075% (据え置き)
・10年固定 : 1.050% → 0.750% (−0.300%)
・20年固定 : 2.800% → 2.700% (−0.100%)
・30年固定 : 1.290% → 1.180% (−0.110%)
>>>最新の金利はこちら
どちらも金利を積極的に引き下げておりますね!すばらしい。
住信SBIネット銀行で言えば変動金利を引き下げている点が目を引きますし、三菱UFJ銀行で言えば10年固定金利を一気に0.3%も引き下げた点が驚きです。
7月の住宅ローン市場は大いに盛り上がりそうですね!
さて、その住信SBIネット銀行は「ネット専用住宅ローン」の販売に注力しています。これは契約相手が住信SBIネット銀行ではなく、親会社である三井住友信託銀行となるもので、より安心感を感じる方は少なくなさそうです。
引き続きこうした「低金利+安心安全」な住宅ローンを積極的に提供していってほしいものです。
さて当サイトで人気の新生銀行の7月の住宅ローン金利はと言うと以下の通りです。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.550% → 0.550% (据え置き)
・10年固定 : 0.900% → 0.850% (−0.050%)
・20年固定 : 1.100% → 1.000% (−0.100%)
・30年固定 : 1.750% → 1.600% (−0.150%)
>>>最新の金利はこちら
これまた全般的に金利を引き下げているわけですね!やはり着実に住宅ローン金利引き下げの動きは広がっている、ということなのでしょう。
ちなみにその新生銀行ですが、7月3日からさらに金利を−0.15%優遇するキャンペーンを実施すると発表しています。だとすれば7月1日から始めた方がインパクトがあったと思うのですがなぜ7月3日なのでしょうね?
いずれにしても興味がある方は7月3日以降、新生銀行の金利をチェックしてみてください。
>>>最新の金利はこちら
また新生銀行は、万が一の時の保障や返済停止機能を組み合わせた「安心パック」を付加するなど、金利競争以外のサービス拡充にも注力しています。住宅ローンの金利や手数料だけでなく、そうした付加価値についても目を向けてみると、また違った住宅ローン選びができるかもしれませんね。ちなみにこのサービスは日経新聞が選定した新商品・新サービスの中で、最優秀賞を受賞したようです。
[2016年8月以降の住宅ローン金利の動向]
気になる今後の住宅ローン金利の動向ですが、既にご案内したように足元では「マイナス金利」の影響もあって市場金利が大きく低下しており、当面は今のような低金利が続くものと思います。
ただ住宅ローン金利がマイナスになるとは考えにくいとすればいよいよ限界値が近づきつつあります。
そうしたわけで本格的な金利上昇については全く心配に及びませんが、住宅ローン金利が「これ以上大きく下がりにくい」という点を踏まえれば逆に0.1%や0.2%といったレベルの金利上昇というのは十分あり得ると思います。
実際のところ、今月金利が下がった要因は上記の通り「イギリスのEU離脱を巡る混乱」と「追加緩和への期待」の2つと目されていますが、逆に言えば
・EU離脱問題が落ち着き
・またも追加緩和が決定されなければ
逆に金利が上昇する可能性があるということです。住宅ローン金利が本当に上昇するかどうかはさておき、どちらも十分あり得そうですね。ご留意ください。
ちなみに。
今後の「本格的な」金利上昇の可能性を考えると、カギとなるのは物価です。政府や日銀は、物価上昇=インフレの状態にするためにあらゆる金融政策を取っているわけですが、景気回復と相まっていよいよ本当にインフレになってくれば、頼みの綱である「異次元の金融緩和」も縮小に向かいますので、実需と金融政策の両面から金利上昇の機運が高まることになります。
では足元の物価動向はと言うと、これまでの原油安・資源安・円高の影響もあって上昇の勢いが弱まっており、金融緩和を縮小・終了させるにはまだまだ力不足です。そもそも少子化が続く日本で本当にインフレとなるのか疑問を感じなくもありません。足元の物価動向は以下の通りです。
政府や日銀が目指すように日本経済が本格的なインフレ経済に変貌するとしても、時期としてはかなり先のことであるのは間違いなさそうですね。
ここでいつものように長期金利の2000年からの推移を振り返ってみたいと思います。
■長期金利グラフ
前回の景気回復が始まった2003年には、長期金利は0.435%の最低金利をつけた後に急速に上昇し、1.5%前後にまで、実に1%近く上がったことが分かります。
仮に今後、景気回復が順調に進むのであれば、金利についても同じ様に+1.0%程度上昇する可能性がある、ということを示唆しております。
今のところ、慌てたり、焦ったりする必要は全くありませんし、逆に低金利が常態化した日本では「金利が上昇したとしてもその程度」とも言えるわけでむしろ安心しても良いという気すらしますが、とは言いつつ住宅ローン金利が低いのに越したことはありません。
住宅ローンをご検討の方は、そうした将来的な金利上昇リスクを頭の「片隅の片隅」に入れて、相対的に金利が低い間に着実にご検討を進めていただければと思います。
その点では今月=7月というのは住宅ローン金利が先月から低下傾向にあるということからも、住宅ローンを検討するのにベストなタイミングと言えそうですね。
[今月の住宅ローン金利レンジ]
最後に、今月の具体的な住宅ローン金利のレンジをチェックするとこのようになっています。
■2016年7月の住宅ローン金利状況(実質金利)
・変動金利 :0.497%〜2.675%
・10年固定:0.510%〜3.550%
・20年固定:0.760%〜2.700%
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
やはりこうして見ると、今まで考えられなかったような、極めて魅力的な金利水準ですね!
繰り返しになりますが、長期金利も住宅ローン金利も「史上最低水準」にあるのは間違いありません。多少の金利変動に一喜一憂せず、着実に超低金利のメリットを享受いただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>