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9月となりました。今年に入ってこれまで「マイナス金利政策」の発動や、「イギリスの国民投票結果による金融市場の混乱」、そして「日銀の追加金融緩和への期待」などによって市場金利は段階的に大きく低下してきました。
それに合わせて住宅ローン金利も低下してきましたので、住宅ローン人気もまた大盛り上がりでしたね。読者のみなさんはすでにお得な住宅ローンへの借り入れ・借り換えはお済みでしょうか?
まだお済みでない方はぜひ前向きにご検討ください。中でも人気の住宅ローンについては審査に1ヶ月以上かかる場合もあるようですので、早め早めの申し込みが大切ですね。
と言うわけで、気になる9月の住宅ローン金利はと言うと・・・三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行の大手銀行=メガバンクはこのような結果となっています。
・変動金利 : 据え置き
・10年固定金利 : 0.05%〜0.10%引き上げ
・20年固定金利 : 0.05%〜0.10%引き上げ
・30年固定金利 : 0.08%〜0.12%引き上げ
今月は0.1%前後の引き上げということですね・・・残念です。全般的に金利が上昇するのは今年の4月以来「5ヶ月ぶり」ということになるのでしょうか?これまで続いてきた住宅ローン人気もここで一旦「小休止」ということになりそうです。
ではなぜ今月、メガバンクの固定金利が上昇したかと言えば理由は明白で、7月29日に発表された日銀の追加金融緩和が「期待外れ」の内容だったからですね。実際、長期金利のグラフをチェックしても7月末からビビッドに金利が上昇していることが分かります。
■長期金利グラフ(グラフ期間:1年)
ちなみになぜ7月の金利上昇の影響が1ヶ月遅れの9月の住宅ローン金利に反映されるのかと疑問に持たれるかもしれませんが、さすがに7月末の動きを8月の住宅ローン金利に反映させるには「時間がなさ過ぎた」ということなのでしょうね。
1ヶ月経ってようやく反映された、ということです。
具体的な金利水準としては、先月のこの時期に−0.140%だった長期金利が本日は−0.060%ということで、引き続きマイナス水準ながらもそれなりに上昇していることが分かります。
こうした傾向が今後も続くのかどうか気になるところですが、ただ日銀のマイナス金利が「−0.1%」に設定されている以上、長期金利がそこから大きく乖離することは考えにくいと思います。
金利に関する新たな取引材料が出てくるまでは、当面は市場金利も住宅ローン金利も現状維持、というのがメインシナリオになってくるのではないでしょうか。
ちなみに先日の当サイトのコラムでは「9月の住宅ローン金利は+0.1%〜+0.2%程度上がる」と予想しましたが・・・金利引き上げ幅は思ったほどは大きくなかったですね。「期末」というタイミングが影響したのかもしれませんが、多少の積極性が反映されたようです。
>>>[9月の住宅ローン金利予想]+0.1%〜0.2%程度上昇 その後は安定・再低下も
ここで世界の金利動向をチェックしてみるとアメリカの金利はこのようになっています。
アメリカは堅調な景気回復を背景に、昨年12月に一足早く政策金利の引き上げ=「利上げ」に踏み切ったわけですが、その後の世界的な株価下落や景気減速の動きを受けてむしろ低下してきたわけですね。
足元では再び利上げ観測が出始めているためか、少しずつ上昇しているようですが、それでも金利水準自体は極めて低いです。
今は日本国内のみならず、海外でも低金利ということですね。「超低金利」と言っていいかもしれません。もちろん日本の住宅ローン利用者にとっては追い風です。
[2016年9月の住宅ローン金利]
上記ご案内したように、残念ながら9月の住宅ローン金利は「固定金利が0.1%程度引き上げ」という状態ですね。これまで高水準で推移してきたと思われる住宅ローン人気も「一服」ということになりそうです。
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
具体的な金利をチェックしていくと、フラット住宅ローンのメイン商品であるフラット35の金利が8月と比較して+0.12%の引き上げとなっています。より期間の短いフラット20の金利も+0.13%の引き上げですね。
>>>最新のフラット35の金利はこちら(楽天銀行)
なお、先日のフラット35の金利予測では
・フラット20金利 : +0.12%の引き上げ
・フラット35金利 : +0.14%の引き上げ
と予想しましたが、あと一歩及びませんでした・・・と言うかなぜ、より期間の短いフラット20の方が金利上昇幅が大きいのでしょうか!?反則ですね・・・全く謎です。
>>>[9月のフラット35金利予想]前月比+0.14% フラット35表面金利1.04%?
次に民間の住宅ローンをチェックすると、いつものように当サイトで人気の住信SBIネット銀行と、日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行の、8月と9月の住宅ローン金利の推移はこのようになっています。
◆住信SBIネット銀行(ネット専用住宅ローン)
・変動金利 : 0.497% → 0.497% (据え置き)
・10年固定 : 0.470% → 0.520% (+0.050%)
・20年固定 : 0.760% → 0.810% (+0.050%)
・30年固定 : 1.070% → 1.070% (据え置き)
>>>最新の金利はこちら
◆三菱UFJ銀行(保証料を加えた実質金利)
・変動金利 : 1.075% → 1.075% (据え置き)
・10年固定 : 0.500% → 0.600% (+0.100%)
・20年固定 : 2.450% → 2.550% (+0.100%)
・30年固定 : 0.930% → 1.050% (+0.120%)
>>>最新の金利はこちら
どちらも概ね0.05%〜0.10%程度の上昇ということですね。今月の住宅ローン金利動向を象徴した動きと言えるかもしれません。
さて、その住信SBIネット銀行は「ネット専用住宅ローン」の販売に注力しています。これは契約相手が住信SBIネット銀行ではなく、親会社である三井住友信託銀行となるもので、より安心感を感じる方は少なくなさそうです。
引き続きこうした「低金利+安心安全」な住宅ローンを積極的に提供していってほしいものです。
さて当サイトで人気の新生銀行の9月の住宅ローン金利はと言うと以下の通りです。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.550% → 0.550% (据え置き)
・10年固定 : 0.850% → 0.850% (据え置き)
・20年固定 : 1.000% → 1.050% (+0.050%)
・30年固定 : 1.600% → 1.650% (+0.050%)
>>>最新の金利はこちら
20年・30年固定金利は0.05%の上昇となっていますが、新しく開始した金利を−0.15%優遇するキャンペーンを加味すると実際にはこうした金利となります。
・変動金利 : 0.550% → 0.400% (−0.150%)
・10年固定 : 0.850% → 0.700% (−0.150%)
・20年固定 : 1.050% → 0.900% (−0.150%)
・30年固定 : 1.650% → 1.500% (−0.150%)
>>>最新の金利はこちら
なかなか積極的ですね!
また新生銀行は、万が一の時の保障や返済停止機能を組み合わせた「安心パック」を付加するなど、金利競争以外のサービス拡充にも注力しています。住宅ローンの金利や手数料だけでなく、そうした付加価値についても目を向けてみると、また違った住宅ローン選びができるかもしれませんね。ちなみにこのサービスは日経新聞が選定した新商品・新サービスの中で、最優秀賞を受賞したようです。
[2016年10月以降の住宅ローン金利の動向]
気になる今後の住宅ローン金利の動向ですが、確かに7月末の金融緩和が期待外れだったことから金利は上昇しましたが、足元の長期金利は−0.1%前後で概ね落ち着いているように見えます。
申し上げたように長期金利が「日銀が設定しているマイナス金利水準」=−0.1%から大きく乖離することはないとすれば、今後住宅ローン金利が上昇するのも下落するのも、このマイナス金利政策次第だと言えそうです。
物価が下落し、デフレ状態となっている現状を踏まえればマイナス金利を縮小・撤回させることはない、とするとポイントとなるのは「マイナス金利政策が深堀されるのかどうか」、「深堀されるとするといつか」ということですね。
その点で注目したいのは9月20日・21日に開催される、次回の日銀会合です。特に次回はわざわざ「これまでの金融緩和を総括する」との「前フリ」が行われておりますので、素直に考えれば
・マイナス金利政策はやっぱり効果があった。 → なので深堀をする。
という展開が予想されるわけですが果たしてどうなるでしょうか?
足元の長期金利が−0.060%ということは「金融市場のマイナス金利深堀への期待は全くのゼロ」ということかもしれませんが・・・マイナス金利拡大により、金利が再低下することを期待しておきたいと思います。
ちなみに。
今後の「本格的な」金利上昇の可能性を考えると、カギとなるのは物価です。政府や日銀は、物価上昇=インフレの状態にするためにあらゆる金融政策を取っているわけですが、景気回復と相まっていよいよ本当にインフレになってくれば、頼みの綱である「異次元の金融緩和」も縮小に向かいますので、実需と金融政策の両面から金利上昇の機運が高まることになります。
では足元の物価動向はと言うと、これまでの原油安・資源安・円高の影響もあって上昇の勢いが弱まっており、金融緩和を縮小・終了させるにはまだまだ力不足です。というか・・・マイナスですね!つまりデフレ状態だということです。
そうでなくても少子化が続く日本で本当にインフレとなるのか疑問を感じなくもありません。最近の物価動向は以下の通りです。
政府や日銀が目指すように日本経済が本格的なインフレ経済に変貌するとしても、時期としてはかなり先のことであるのは間違いなさそうですね。
実際、7月に追加緩和が発表されたというのは、インフレ誘導政策がうまくいっていない何よりの証拠です。
ここでいつものように長期金利の2000年からの推移を振り返ってみたいと思います。
■長期金利グラフ
前回の景気回復が始まった2003年には、長期金利は0.435%の最低金利をつけた後に急速に上昇し、1.5%前後にまで、実に1%近く上がったことが分かります。
仮に今後、景気回復が順調に進むのであれば、金利についても同じ様に+1.0%程度上昇する可能性がある、ということを示唆しております。
今のところ、慌てたり、焦ったりする必要は全くありませんし、逆に低金利が常態化した日本では「金利が上昇したとしてもその程度」とも言えるわけでむしろ安心しても良いという気すらしますが、とは言いつつ住宅ローン金利が低いのに越したことはありません。
住宅ローンをご検討の方は、そうした将来的な金利上昇リスクを頭の「片隅の片隅」に入れて、相対的に金利が低い間に着実にご検討を進めていただければと思います。
今月=9月は残念ながら住宅ローン金利は少し上昇してしまいましたが、それでも空前の低金利水準にあるのは間違いありませんし、上記の通り住宅ローン審査に1ヶ月以上かかるような場合があるのだとすれば、むしろ今月は「審査を通しておくチャンス」という考え方もあるかもしれません。
民間の住宅ローン金利は、申し込み時点ではなく、契約=借り入れ時点の金利が適用されますからね。「先に審査を通しておいて金利が下がってから借り入れを行う」ということも可能だと思います。検討してみてください。
[今月の住宅ローン金利レンジ]
最後に、今月の具体的な住宅ローン金利のレンジをチェックするとこのようになっています。
■2016年9月の住宅ローン金利状況(実質金利)
・変動金利 :0.400%〜2.675%
・10年固定:0.510%〜3.600%
・20年固定:0.810%〜2.750%
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
やはりこうして見ると、今まで考えられなかったような、極めて魅力的な金利水準ですね!
繰り返しになりますが、長期金利も住宅ローン金利も「史上最低水準」にあるのは間違いありません。多少の金利変動に一喜一憂せず、着実に超低金利のメリットを享受いただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>