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9月に発表された日銀の新たな金融緩和の枠組みの元で、長期金利の当面の目標値は「0%」に設定されましたので当然、長期金利はそこまで上昇するものと素直にとらえたわけですが・・・実際には上記グラフの通り0%〜−0.1%の間、特に−0.05%前後で安定的に推移しています。
日銀もこうした水準であれば「想定通り」と許容する考えを見せておりますので、しばらく長期金利は大きく上がることも下がることもなく、このレンジ内で推移しそうですね。
仮にそうした状況が変わるとすれば日銀が新たな金融緩和=政策金利の引き下げに乗り出す時ですが、ただ別のコラムでもご案内したようにそれが「経済にかなり大きなショックがかかる場合」に限られるということであれば事実上、「追加緩和はナシ」というようにも響きます。
>>>再考。マイナス金利と住宅ローン金利、どこまで下がる?
だとすると、住宅ローン金利もまた、今後大きく上がることも下がることもなく小動きのまま推移していくことになります。
住宅ローン金利がこれ以上はなかなか下がらないとすれば、住宅ローン利用者からするとがっかりな面はありますが、ただ一方ですでに「限界に近いほど低い」のだとすると、むしろ「今後大きく上がることはない」という点を積極的に評価すべきなのかもしれません。
まだ新たな枠組みが発表されてから1ヶ月しか経っておりませんので、この状態がずっと続くと考えるのは早計ですが、それでも当初の予想に反し、今のところ「住宅ローン金利に悪影響はほとんど出ていない」という点は歓迎したいと思います。
具体的な11月の住宅ローン金利予測については以下記事にて詳しく述べておりますので参考になさってください。
>>>[2016年11月の住宅ローン金利予想] 据え置きも12月以降再低下する可能性あり
12月以降に住宅ローン金利が再低下する可能性は上記の通り執筆時点よりやや下がっておりますが・・・。
一方で。
本題の11月のフラット35住宅ローン金利を予測するのはずっと簡単です。
と言うのも、フラット35金利のベースとなる住宅金融支援機構の「機構債」の条件がすでに発表されているからですね!したがってここから長期金利がどう動こうとも、少なくとも11月のフラット35金利はほぼ確定です。
と言うわけでその「機構債」金利から、11月のフラット35住宅ローンの金利を予想してみたいと思います。
ちなみにフラット35住宅ローンの金利は概ね以下のような金利の積み上げで決定されているようです。
1.ベース金利=機構債金利
+
2.住宅金融支援機構のフラット35事業運営コスト
+
3.販売金融機関のマージン
残念ながら上記2や3の詳細な内訳は分かりませんが、しかしこれらがほとんど変動しないとすれば、上記1、つまり機構債の条件の変化がそのまま出来上がりのフラット35金利の変化となります。
では具体的に今月発行の機構債の条件はと言うと、前月9月と比較してこのように変化しています。
◆前月と今月の住宅金融支援機構債の発行条件
・0.37% → 0.34% (−0.03%低下)
今月はやはり−0.03%と順当に低下したということですね。おそらくほぼ市場金利の動向通りなのではないかと思います。
フラット35の金利としては最低水準にある楽天銀行をベースにするとこのように変化することになります。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(単純計算)
・フラット20金利 : 0.95% → 0.92% (−0.03%低下)
・フラット35金利 : 1.06% → 1.03% (−0.03%低下)
とは言いつつ毎回、微妙に予測を外しておりますのでもう少し精度を高めるべく、過去6ヶ月の機構債の金利変動と、楽天銀行のフラット20、フラット35の金利変動をチェックするとこうなっています。
・2016年4月の機構債金利変動 : 0.48%→0.34%(−0.14%低下)
5月のフラット20金利 : 1.02% → 0.96% (−0.06%低下)
5月のフラット35金利 : 1.19% → 1.08% (−0.11%低下)
・2016年5月の機構債金利変動 : 0.34%→0.36%(+0.02%上昇)
6月のフラット20金利 : 0.96% → 0.99% (+0.03%上昇)
6月のフラット35金利 : 1.08% → 1.10% (+0.02%上昇)
・2016年6月の機構債金利変動 : 0.36%→0.23%(−0.13%低下)
7月のフラット20金利 : 0.99% → 0.85% (−0.14%低下)
7月のフラット35金利 : 1.10% → 0.93% (−0.17%低下)
・2016年7月の機構債金利変動 : 0.23%→0.19%(−0.04%低下)
8月のフラット20金利 : 0.85% → 0.83% (−0.02%低下)
8月のフラット35金利 : 0.93% → 0.90% (−0.03%低下)
・2016年8月の機構債金利変動 : 0.19%→0.33%(+0.14%上昇)
9月のフラット20金利 : 0.83% → 0.96% (+0.13%上昇)
9月のフラット35金利 : 0.90% → 1.02% (+0.12%上昇)
・2016年9月の機構債金利変動 : 0.33%→0.37%(+0.04%上昇)
10月のフラット20金利 : 0.96% → 0.95% (−0.01%低下)
10月のフラット35金利 : 1.02% → 1.06% (+0.04%上昇)
こうしてみると、フラット35の金利はこの機構債の金利に概ね連動していることが分かります。
一方で全然法則性が見えないのがフラット20の金利ですね!特に今月は、機構債の金利が「+0.04%上昇」
しているにも関わらずフラット20の金利は「−0.01%低下」と却って低下しており、記者も非常に困惑しております・・・。
そのうち、こうしたメカニズムの方程式が解ける日が来ることを祈っております。
ということで今回はあまりひねらず、当サイトの11月のフラット35金利予測は最終的にこう結論づけたいと思います。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(最終結論)
・フラット20金利 : 0.95% → 0.93% (−0.02%低下)
・フラット35金利 : 1.06% → 1.03% (−0.03%低下)
当たるかどうかは分かりませんが、少なくともどちらも「低下」となることを期待しております。
なおこの予測に楽天銀行の金利を利用しているのは、楽天銀行のフラット35は、金利+手数料のトータルコストが最低水準だからですが、それでもこれはあくまで「表面金利」であり、取扱い手数料や、団体信用保険のコストなどを加味すると「実質金利」は概ねこのようになります。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(最終結論:実質金利)
・フラット20金利 : 1.39% → 1.37% (−0.02%低下)
・フラット35金利 : 1.50% → 1.47% (−0.03%低下)
表面金利からすれば魅力は低下してしまいますが、それでも「全期間固定金利」という点を踏まえれば、かなり魅力的と言えます。
ただし上記金利はあくまで「予測」ですので、実際の金利は来月1日以降に正式発表されてからご確認いただければと思います。
>>>フラット35の最新金利について詳しくはこちら
ちなみにこのフラット35、フラット20、そして機構債の金利推移をグラフにするとこのような感じになります。
過去5年間の平均値を見る限り、フラット35・フラット20の金利変動と、機構債の金利変動との間に大きな差はありません。つまり概ね連動してきたということですね。
と言うわけで繰り返しになりますが11月のフラット35住宅ローン金利がわずかながら低下するのは間違いなさそうです。
ただし上記の通り、今後、長期金利が新たな金融緩和の枠組みの元で安定的に推移するのであれば、フラット35の金利も安定的に推移することになりますね。つまり上がるにしても下がるにしても小動きに留まるということです。
フラット35の金利も既に過去最低水準に達していることを踏まえれば悪いことではないと思いますが果たしてどう推移していくのでしょうか?注目ですね。
参考になさってください。
みなさんが来月も最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。
<日本住宅ローンプランニング編集部>