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ご存知の通り、アベノミクス発動以降、上昇を続けているのがマンション価格ですね。これまでマンションに対する需要が広がってきた背景には以下が考えられます。
・住宅ローン金利の低下
・住宅ローン減税の拡充
・消費税増税懸念
・人手不足に伴う建築費の上昇
・地価上昇懸念
・外国人投資家の需要(爆買い)
・タワマン節税の浸透
・少子高齢化に伴うマンション人気(広さ<便利さへの嗜好の変化)
ざっと書き出しただけでも8つも出てくるわけで、マンションの人気が高まってきたのも当然と言えそうです。
一方で、住宅ローン金利ももはやこれ以下はないという水準まで達しておりますし、減税も増税も延期となっており、需要への影響はなくなっております。
「爆買い」もこれだけ円高が進むとスローダウンするでしょうし、タワマン節税についても今後税制改正により難しくなってくるのは間違いありません。
とすると今、マンション価格を支えているのは以下3つの要因でしょうか。
・人手不足に伴う建築費の上昇
・地価上昇懸念
・少子高齢化に伴うマンション人気(広さ<便利さへの嗜好の変化)
ただ人手不足も震災復興の進展によって徐々に解消されていきそうですし、地価上昇についても景気循環的なものですからいつかは上昇が止まるのではないかと思います。
さらに「少子高齢化」の影響についても、当面はマンション需要にプラスかもしれませんが、本格的に人口減少時代に入ってくると需要そのものが減ってくるわけですから永続的なものではありません。
要するにマンション価格はいつ下落が始まってもおかしくないのではないかと思います。実際のところ、庶民の給料では都心の物件には手が出せなくなっていると言われておりますし、好不調の目安とされる「契約率」も70%を切っておりますからね。需要が減少すれば価格が下がるのは世の常です。
というわけで、国土交通省が発表した最新の不動産価格指数はこのようになっております。
緑のラインがマンションの価格指数ですが・・・相変わらず高値を維持しているということですね!前年同期より「+6.3%」上昇しており、これで何と41ヶ月連続上昇ということになっています。
こうした価格上昇は・・・やはり 「異常」と言ってしまってもいいのでしょうね。
特に毎回ご案内しているように、「住宅地」や「戸建て住宅」は全く上昇していないので尚更です。というよりどちらも「−2.8%」と「−0.8%」ということでむしろ下落していますね!
こうした指数だけを見て判断するなら、今買うべきはマンションではなく戸建て、と言えるのかもしれません。
ただそのマンション価格も今月の動きをよーく見てみると、確かに「前年比」ではプラスではあるものの、「前月比」ではマイナスとなっているように見えます。調べてみると実際、前月は「130.1」だったようで、今月は「128.9」ですから、やはりわずかに低下しています。
記者の頭の中では上記の通り「マンション需要減退→マンション価格下落」というシナリオが強く刻まれておりますので、無意識に弱気の材料を探してしまうわけですが、皆さんの見通しはいかがでしょうか。
ということで今回は定期的に発表されている、住宅金融支援機構による住宅市場動向調査を取り上げたいと思います。この中で今年度下期(2016年10月〜2017年3月)のマイホームの「買い時感」について
・住宅業者
・消費者
・専門家(FP=ファイナンシャルプランナー)
の3者が回答しているわけですが、その結果はこのようになっています。
要するに・・・結構、みんな引き続き「強気」であるということですね! 「買い時感」が高いことが分かります。
ただ住宅業者が多少強気になってしまうのは分かる気がします。自分たちの生活がかかっているわけですから、希望的観測が含まれてしまうのは仕方ないでしょうね。
また消費者についても、今回の調査対象者が「1年以内に住宅取得を検討中の方」ということですから、相当「強気」にバイアスがかかるのは当然ですね。そもそも今後の住宅価格に「弱気」な人は住宅取得を延期するでしょうから、回答者には含めてもらえません。
そうしたわけでこの2者については強気な回答結果を一定程度割り引く必要がある一方、全く中立的な回答を期待できるのが残る専門家=FPですね。FPにとっては住宅が買い時であろうとなかろうと直接的に自分たちの商売に関係があるわけではありませんし、そもそもそうした中立的なアドバイスこそ求められている職業ですからね。
さらに住宅ローン金利について思いを馳せれば、FPの方々は異口同音に「全期間固定金利」を推奨しています。いまだに変動金利タイプを推奨するFPなどほとんど見たこともありません。
ではFP全員が揃いも揃ってなぜそうした人気の薄い「全期間固定金利」を推奨しているかと言えば、「金利上昇リスク」に対する過度なまでの懸念からですね。
記者自身は(そして多くの住宅ローン利用者の方々も)そうしたスタンスに全く共感していないわけですが、とは言いつつ顧客に不人気な提案であっても、良心に基づいて推奨するということであれば「プロの矜持」として理解できなくもありません。
とすると上記の通り異常な高値圏にあるマンション価格を考慮すればその買い時感は他の2者と比較して大きく低下するはずですが結果はこういうことですね。
・昨年度下期と比べて買い時 : 69%
・どちらとも言えない : 26%
・昨年度下期と比べて買い時ではない : 5%
つまり・・・めちゃめちゃ強気だということです・・・上記円グラフを見ていただければ分かるように、消費者や住宅業者と比べても明らかに強気です。
なぜ金利上昇リスクにあれだけ敏感な方々が、住宅価格の下落リスクにこれだけ鈍感なのでしょうね!?記者の感覚とFPの方々との感覚はとことん異なるようです。
ちなみにFPの方々が「買い時」と考える理由を抜き出してみるとこうなります。
・住宅ローン金利が低下しているから : 93.1%
・住まい給付金や住宅ローン減税があるから : 41.4%
・消費税引き上げが再延期されたから : 24.1%
・住宅価格等の先高観があるから : 17.2%
・金利先高観があるから : 13.8%
・その他 : 13.8%
確かに1年前と比較すれば住宅ローン金利は低下していますが、ことマンションに限れば同じくらい上昇しているわけですからね。説得力がないように感じてしまうのは記者だけでしょうか。
そもそもマンションの供給数も契約率も下がっている時点で答えは出てしまっている気がしますね。
果たして今後、こうした住宅価格がどのように推移していくのか注目と言えそうです。物価も徐々にマイナス=デフレ基調を強めていますからね。もし下落に転ずるようであれば大きなターニングポイントとなります。
そして消費者からすれば住宅価格が1円でも低い方が良いのは間違いありません。今後、住宅取得を検討されている方はそうした住宅価格の動きを注意深くwatchしていただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>