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11月のアメリカ大統領選挙は驚きの「トランプ氏勝利」で幕を閉じました。その後、ドル高・株高が進んでいるのは皆さんもよくご存じの通りです。
しかしそうした為替市場・株式市場以上に大きく反応しているのが債券市場です。実際にアメリカの長期金利の推移をチェックしてみるとこうなっています。
大統領選の結果を受けて大きく上昇しているわけですね!これは今後の景気回復期待に加え、トランプ政権によって大規模な財政出動が行われ、アメリカの財務状況がさらに悪化することへの懸念もあるのではないかと思います。
今は期待と懸念の両方がアメリカの金利上昇圧力となっているわけで、金利が大きく上昇するのも当然と言えるかもしれません。
さらに今月はアメリカの中央銀行であるFRBが1年ぶりの利上げを決定しました。グラフを見ても金利がもう一段上昇していることがよく分かります。
とすると気になってくるのが日本の長期金利の動向なわけですが、足元では確かに上昇しておりまして「0.085%」となっています。本日(12月16日)は一時的に節目となる「0.10%」まで上昇したようですね。
住宅ローン利用者からすればこうした金利上昇に不安が膨らむわけですが、ただここからどんどん金利が上昇するかと言うとそれはなさそうです。というのも日銀の長期金利の管理目標が「0%」になっているからですね。
もし国債の金利が0%を大きく上回るほど「安く」なれば、日銀がどんどん購入することで長期金利を引き下げてくるものと思います。買うのはおそらく簡単です。
早晩、日銀と国債市場との直接対決が始まるのかもしれませんが、日銀がしっかり勝利し、長期金利を低水準に抑え込んでくれることを期待したいと思います。
なお具体的な1月の住宅ローン金利予測については以下記事にて詳しく述べておりますので参考になさってください。
>>>[2017年1月の住宅ローン金利予想] 据え置きor+0.1%程度上昇 ただし市場金利動向に注意
一方で。
本題の1月のフラット35住宅ローン金利を予測するのはずっと簡単です。
と言うのも、フラット35金利のベースとなる住宅金融支援機構の「機構債」の条件がすでに発表されているからですね!したがってここから長期金利がどう動こうとも、少なくとも1月のフラット35金利はほぼ確定です。
と言うわけでその「機構債」金利から、1月のフラット35住宅ローンの金利を予想してみたいと思います。
ちなみにフラット35住宅ローンの金利は概ね以下のような金利の積み上げで決定されているようです。
1.ベース金利=機構債金利
+
2.住宅金融支援機構のフラット35事業運営コスト
+
3.販売金融機関のマージン
残念ながら上記2や3の詳細な内訳は分かりませんが、しかしこれらがほとんど変動しないとすれば、上記1、つまり機構債の条件の変化がそのまま出来上がりのフラット35金利の変化となります。
では具体的に今月発行の機構債の条件はと言うと、前月11月と比較してこのように変化しています。
◆前月と今月の住宅金融支援機構債の発行条件
・0.41% → 0.48% (+0.07%上昇)
今月はやはり+0.07%と順当に上昇したということですね。おそらくほぼ市場金利の動向通りなのではないかと思います。
フラット35の金利としては最低水準にある楽天銀行をベースにするとこのように変化することになります。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(単純計算)
・フラット20金利 : 1.03% → 1.10% (+0.07%上昇)
・フラット35金利 : 1.10% → 1.17% (+0.07%上昇)
とは言いつつ毎回、微妙に予測を外しておりますのでもう少し精度を高めるべく、過去6ヶ月の機構債の金利変動と、楽天銀行のフラット20、フラット35の金利変動をチェックするとこうなっています。
・2016年6月の機構債金利変動 : 0.36%→0.23%(−0.13%低下)
7月のフラット20金利 : 0.99% → 0.85% (−0.14%低下)
7月のフラット35金利 : 1.10% → 0.93% (−0.17%低下)
・2016年7月の機構債金利変動 : 0.23%→0.19%(−0.04%低下)
8月のフラット20金利 : 0.85% → 0.83% (−0.02%低下)
8月のフラット35金利 : 0.93% → 0.90% (−0.03%低下)
・2016年8月の機構債金利変動 : 0.19%→0.33%(+0.14%上昇)
9月のフラット20金利 : 0.83% → 0.96% (+0.13%上昇)
9月のフラット35金利 : 0.90% → 1.02% (+0.12%上昇)
・2016年9月の機構債金利変動 : 0.33%→0.37%(+0.04%上昇)
10月のフラット20金利 : 0.96% → 0.95% (−0.01%低下)
10月のフラット35金利 : 1.02% → 1.06% (+0.04%上昇)
・2016年10月の機構債金利変動 : 0.37%→0.34%(−0.03%低下)
11月のフラット20金利 : 0.95% → 0.93% (−0.02%低下)
11月のフラット35金利 : 1.06% → 1.03% (−0.03%低下)
・2016年11月の機構債金利変動 : 0.34%→0.41%(+0.07%上昇)
12月のフラット20金利 : 0.93% → 1.03% (+0.10%上昇)
12月のフラット35金利 : 1.03% → 1.10% (+0.07%上昇)
こうしてみると、フラット35の金利はこの機構債の金利に概ね連動していることが分かります。
一方で全然法則性が見えないのがフラット20の金利ですね!そのうち、金利決定メカニズムが分かる日が来ることを祈っております。
ということで今回は前月の動向を踏襲し、全くの勘ではありますがフラット20金利についてはフラット35より上昇すると考え、当サイトの1月のフラット35金利予測は最終的にこう結論づけたいと思います。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(最終結論)
・フラット20金利 : 1.03% → 1.11% (+0.08%上昇)
・フラット35金利 : 1.10% → 1.17% (+0.07%上昇)
当たるかどうかは分かりませんが、残念ながらどちらも「上昇」するのは間違いなさそうです。
なおこの予測に楽天銀行の金利を利用しているのは、楽天銀行のフラット35は、金利+手数料のトータルコストが最低水準だからですが、それでもこれはあくまで「表面金利」であり、取扱い手数料や、団体信用保険のコストなどを加味すると「実質金利」は概ねこのようになります。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(最終結論:実質金利)
・フラット20金利 : 1.47% → 1.55% (+0.08%上昇)
・フラット35金利 : 1.54% → 1.61% (+0.07%上昇)
表面金利からすれば魅力は低下してしまいますが、それでも「全期間固定金利」という点を踏まえれば、かなり魅力的と言えます。
ただし上記金利はあくまで「予測」ですので、実際の金利は来月1日以降に正式発表されてからご確認いただければと思います。
>>>フラット35の最新金利について詳しくはこちら
ちなみにこのフラット35、フラット20、そして機構債の金利推移をグラフにするとこのような感じになります。
過去5年間の平均値を見る限り、フラット35・フラット20の金利変動と、機構債の金利変動との間に大きな差はありません。つまり概ね連動してきたということですね。
と言うわけで繰り返しになりますが今月=12月の機構債の金利は上昇しましたので、1月のフラット35住宅ローン金利がわずかながら上昇するのは間違いなさそうです。
しかし機構債金利もフラット35の金利も上昇傾向にあるのは残念ですね!
金融緩和の新たな枠組みの元で、日銀が長期金利のさらなる上昇を抑えこんでくれることを期待したいと思います。
参考になさってください。
みなさんが来月も最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。
<日本住宅ローンプランニング編集部>