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2016年もいよいよ後1週間というタイミングです。早いのですねぇ。
昨年は11月にはご案内していた「来年の住宅ローン金利予想」ですが、今年はそれに比べれば随分と遅くなってしまいました。と言うのも正直、なかなか来年の金利動向が読みにくいからですね・・・。
その理由を述べる前にまず、昨年の「金利予想」を振り返ってみるとこういうことでした。
>>>本音の2016年住宅ローン金利動向予測・見通し
結論としてはこう述べさせていただきました。
・住宅ローン金利が大きく上昇する可能性はない。
前年に比べ強く言い切ったわけですが、「2%」のインフレ目標達成まで道半ばであったことから金融緩和が維持される可能性が高いと予想したわけですね。
では具体的に過去1年の長期金利がどのように推移したかと言うとこうなっております。
■長期金利グラフ(グラフ期間:1年)
ご存じの通り「上昇しない」どころか、2016年1月末のマイナス金利政策発表を受けてむしろ、さらに大きく下がったのですね!特に2月からはマイナス水準まで下がり、「完全に異次元の低金利」が実現しました。
金融緩和の「究極の状態」として、日本のみならず世界の金融の教科書に載る事態だったと言えそうです。
さらにそのハイライトは「Brexitショック」直後の7月で、長期金利はついに−0.3%近辺まで低下しました。それに伴い住宅ローン金利も次々と過去最低金利を更新しました。
住宅ローン利用者にとっては本当に良い追い風となりましたね。借り替えを申し込んだ方も多かったのではないかと思います。
そうしたわけで、上記の2016年予測=「住宅ローン金利が大きく上昇する可能性はない。」は当たりましたね。さらなる下落の可能性についてはもう少し触れておいても良かったかもしれませんが・・・。
ただそうした金利低下局面も2016年7月末を境に状況が変わってきております。7月末に発表された金融緩和が期待外れであったことなどから金利上場に転じ、さらに「新たな金融緩和の枠組み」や、11月のアメリカ大統領選挙の結果を受けて、足元ではついにプラス圏まで回復してきております。
2016年の年初の長期金利が0.25%程度だったことを踏まえれば現在の0.05%程度という水準はそれでもかなりの低水準であるのは間違いありませんが、しかしトレンドが確実に変化してきているという事実には素直に目を向ける必要があります。
そうした中では2017年の金利予測、そして住宅ローン金利予測はなかなか難しいわけですが、金利に強い影響を与えるのは以下3つですね。
1つ目はアメリカの金利が上昇し続けるかどうかという点です。まずそのアメリカの直近の長期金利動向をチェックしてみるとこうなります。
繰り返しになりますが、2016年11月の大統領選挙後、「トランプノミクスによる景気回復期待」と「トランプノミクスによる財政悪化懸念」の両面から大きく上昇しているわけですね。
仮にこうした上昇傾向が続くようであれば日本の長期金利も上昇圧力を受け続けることになります。
2つ目は「新たな金融緩和の枠組み」のもと、日本の長期金利の操作目標は「0%近辺」に設定されていますが、日銀は一体長期金利がいくらまで上昇することを許容し、いくらからは金利抑制に動くのか、という点です。
また、仮に長期金利がその日銀が許容する「上限」に達した場合に何等かのアクションを起こすとして、それで本当に金利上昇を抑えられるのか、という点もポイントになってきます。
そして最後の3つ目は日本の物価動向ですね。最近の円安傾向を踏まえればインフレ傾向が強まってくるのは間違いないとは思いますが、もちろんそれでも2%には遠く及ばないと考えられる上に、もし仮に「円高」などの要因で再びデフレ色が出てくれば日銀はさらなる追加緩和の必要性に迫られることになります。
今の金融緩和は完全に「金利」にフォーカスしておりますので、追加緩和となればストレートに「政策金利引き下げ」になると思われます。そうなれば当然住宅ローン金利もある程度下がるはずですね。
こうした要因がどう動くかで2017年の金利見通しも、住宅ローン金利見通しも変わってくるわけですが、中でも予測を難しくしているのが2点目の
・日銀が許容する長期金利の上限がいくらか
・仮に長期金利が上限を超えた場合、本当に金利上昇を抑えられるのか
という点が現段階では「不明」ということです。おそらく黒田総裁の会見における「言い間違い」を拡大解釈すれば前者は「+0.1%」であり、後者は「無制限の指値オペ」などを実施すれば物理的には十分可能なのではないかと思いますが、どうなのでしょうね。
本音を言えば一度くらいそうした攻防の結果を見届けたく、この「2017年住宅ローン金利予測」を12月最終週まで引っ張ってきたわけですが、残念ながらまだそうした展開になっておりませんのであくまで上記は当サイトの推測ということになります。
ただ材料ばかり挙げていても仕方ありませんのでそろそろ結論に向かっていきたいと思いますが、メインシナリオとしては
・アメリカの金利上昇はトランプ政権への過度な期待がしぼむことから2017年3月ごろに一服
・日本の長期金利は日銀の金利操作によって+0.1%以下にコントロール
・物価も円安傾向の一服から年央以降弱含む
と予想し、「年初は住宅ローン金利が多少上昇することはあっても年央以降は低位安定する」ということにしたいと思います。
ただし仮にトランプ新大統領の政権運営が大変うまく行くとするとアメリカの金利上昇はずっと続くということになります。サブシナリオはこうですね。
・アメリカの金利上昇はトランプ政権への期待が続き上昇傾向を維持
・日本の長期金利は日銀の金利操作によって+0.1%以下にコントロール
・物価は円安傾向からインフレ状態を維持
この場合は「年初に住宅ローン金利が多少上昇した後、ずっとそうした金利水準が続く」ということになります。
ただ住宅ローン金利が上昇すると言っても「+0.1%前後」でしょうからそれほど心配する必要はないと思いますが・・・。
なお金利がもう少し上昇する悪いシナリオはこうなります。
・アメリカの金利上昇はトランプ政権への期待が続き上昇傾向を維持
・日本の長期金利は日銀の金利操作によっても+0.1%を超えて上昇
要するに日銀が長期金利のコントロールに失敗する場合です。この時は一体どれくらい上昇するのでしょうね?+0.3%か、+0.5%か、+1.0%か・・・ただ仮にそうなってもそれは一時的なものかと思います。日銀は理論的には国債をいくらでも買い進められるわけですし、そもそも「金利上昇を抑える」ことはそれほど難しいことではないと思われるからですね。
そうしたわけで仮に想定以上に長期金利や住宅ローン金利が上昇したとしても、日銀の金利コントロールを信じて、慌てず、冷静に対応いただければと思います。
やはり異次元緩和が続いている間は金利がどんどん上昇する状況というのは考えにくいです。
なお上記はあくまで長期金利と、それに連動する「10年固定金利」「20年固定金利」「30年固定金利」などの話であり、人気の「変動金利」については低位安定を続けるのは間違いありません。
こちらはベースとなる金利が長期金利ではなくもっと期間の短い金利であり、そうした期間の短い金利は日銀によって「完全に」コントロールされているからですね。
実際、ここ数年、「最も金利が変動していない」のが住宅ローンの変動金利タイプです。
そうしたわけで繰り返しになりますが、2017年の住宅ローン金利予想・予測・見通しのメインシナリオとしては
・年初は住宅ローン金利が多少上昇することはあっても年央以降は低位安定する
とさせていただきますが、とは言いつつ「住宅ローン変動金利タイプは上昇することなくずっと低い状態が続く」という点を付言したいと思います。
参考になさってください。