※当サイトには広告リンクが含まれています。
これまで何度もご案内してきているように、日銀の新たな金融緩和の枠組み=金利操作付き金融緩和によって、長期金利は「0%」を目指して操作されることになっています。
つまり一定の金利高となれば日銀は金利低下を目指し国債を積極的に購入し、一定の金利安となれば日銀は金利上昇を目指し国債の購入を控える、ということですね。
気になるのがその「一定の金利高」「一定の金利安」とはどれくらいの幅を指すのかという点ですが、今のところ「上限は+0.1%」「下限は−0.1%」と理解されています。
最近の長期金利の推移を見てもそのレンジ内に収まっておりますので、説得力はありそうです。
そうしたわけでこの新たな金融緩和の仕組みが信じられている限り、長期金利は大きく上昇することも大きく低下することもない、ということではあるのですが、昨日=1月25日の長期金利はいきなり0.050%から0.075%に上昇し、個人的には何か材料でもあったのかな?と驚きました。
本日=1月26日の長期金利は0.080%となっておりますね・・・。
もちろんそれでも上記の通り「+0.1%以下」というレンジ内にありますので過度に心配する必要はないものの、ここ最近落ち着いていた長期金利が動き始めた理由が気になるところです。
ということで早速その理由ですが、報道によれば25日に日銀が行った定期的な国債買い入れの中で、市場が購入すると予想していた「1年超3年以下」「3年超5年以下」といった「中期債」について「購入しなかったから」、ということのようですね。
確かに日銀が国債を購入すれば金利は低下し、国債を購入しなければ金利は上昇するわけですが、それにしてもビビッドに反応するものですねぇ。もし市場がこうした神経質さ・繊細さ・敏感さを維持するのであれば、日銀が目指す「金利操作」は案外簡単なのかもしれません。
それはともかくとして、このように「中期債」を購入しなかったということは、「中期の金利を引き上げたい」という意向が反映されたのではないかと思いますが、では24日から25日で金利のイールドカーブ=期間による金利カーブがどのように変化したかと言うとこうなっています。
実際このように並べてしまうと、大きく金利が変動したわけではないと感じますし、事実その通りだと思いますが、それでも確かに10年以下の中期の金利が上昇している点は日銀の意向に沿ったものと言えますし、24日に比べて25日の金利カーブ=イールドカーブの方が日銀の目標に近いのであろうという点ではこの金利水準を覚えておく意義はありそうです。
なおついでに、昨年9月中旬に発表されたこの新たな金融緩和の枠組み前後の金利カーブの変化をチェックしてみるとこうなります。
青が「金利操作前=ビフォー」、ピンクが「金利操作後=アフター」というわけですが、「短期は低く、中期は高く、長期はもう少し高く、超長期はさらに高く」という日銀の意図がよく反映された動きと言えそうです。
運用に苦しんでいた金融機関にとってはハッピーかもしれませんが、最も象徴的な10年金利=長期金利で言うと−0.047%から+0.071%まで上昇しているわけで・・・全体的には住宅ローン利用者にとっては残念な変化と言えます。
ただ一方、この「金利操作」には目に見えない「金利上限」が設定されておりますので、今のような金利上昇局面では一定の安心感を提供してくれているというのは評価して良さそうです。
加えて金利操作スタート後すでに4ヶ月経過している点を踏まえれば、より日銀の意向が反映された、より安定感のある金利カーブ=イールドカーブになっている可能性が高く、今後も金利が安定的に推移するということなら、良いことですね。
そうは言いつつ市場金利も住宅ローン金利も「史上最低水準」なわけですから、こうした状況が安定的に続くのであれば住宅ローン利用者にも追い風です。
日銀と国債市場とのコミュニケーションが、これからもスムーズに、円滑に行われることを期待したいと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>