※当サイトには広告リンクが含まれています。
最近は当サイトでも、「トランプ相場によって金利上昇」「トランプラリーによって金利が上がる」というフレーズを多用しているような気がしますが、「なんでトランプ氏がアメリカの大統領になると日本の金利が上昇するんだっけ?」と疑問に持たれている方もおられるかもしれません。
というわけでここで初心に返ってその疑問に答えてみたいと思います。
まずポイントとなるのは、トランプ氏が2016年11月のアメリカ大統領選挙に当選した直後からアメリカの金利が急上昇したことですね。
■アメリカ金利
明らかに金利が跳ね上がっているわけですが、その理由は2つあります。
1つ目は、トランプ氏の公約に「大規模な減税」と「大型のインフラ投資」の2つがあったことから、今後、アメリカ政府の積極的な財政政策を背景にアメリカの景気が良くなるという期待が高まったからですね。
一般論から言っても景気が良くなれば金利は上昇するのですが、特に今はアメリカの中央銀行であるFRBが金利引き上げを目指していますので、より金利が上昇しやすい素地があったのかもしれません。
2つ目は、そのように減税にせよインフラ投資にせよ「財源」が必要なわけで、もちろんアメリカ政府は財政赤字の状態ですから、そのまま実行しようと思えば借金=国債を増やすしかありません。
借金が増えればますます返済が苦しくなるわけですから、国債が増えればその国債の信用力は低下し、価格は下がります。国債の価格が下がっても支払うべき利息は変わりませんので、実質的に利回りがアップし、金利が上昇するのですね。
つまりこれまでトランプ政権に対する「景気拡大期待」と「国債増発懸念」の両面からアメリカの金利は上昇してきた、ということです。「期待」と「懸念」の両方が上昇圧力になってきたわけですから金利が急上昇するのも必然だったのかもしれません。
そして世界の金融市場も、国債市場もつながっていますので、どこかの国の金利が上昇すれば、他の国の金利も一定の影響を受けることになります。加えて何と言ってもアメリカ経済は世界経済の中心ですからね!その影響は甚大です。
そうした状況で日本の長期金利が上昇するのも当然だということですね。
ただ一方で上記アメリカの長期金利のグラフを見てみると、足元では上昇が一服しピークアウトしているように見えます。
それもそのはずで、これまでの記者会見や大統領就任式において、市場が期待していた「減税」や「公共投資」について全く触れられていないのですね!トランプ大統領の関心があくまでアメリカ中西部の雇用回復ということなのであれば「減税」や「公共投資」が二の次となるのは間違いないようにも思えますが、どうなるでしょうか?
いずれにしてもそうした「積極財政」の公約が具体化しない限り、アメリカの金利はジリジリと低下を続けそうです。
となると日本の金利も下がるはずで住宅ローン利用者にとっては良いことですが、果たしてこのまますんなりと低下トレンドに入っていくのかどうか・・・注目ですね。
その点で気になるのは、最近よく報道されているトランプ大統領の「日本は不当に為替を操作し円安にしている」旨の発言です。もちろん日本は2011年以降為替介入を行っていないということですので直接的に為替操作をしているわけではありませんが、ただこれまでの日銀による大規模な金融緩和=異次元緩和によって円安になったのは間違いありませんので、「異次元緩和=為替操作」と指摘されてしまう可能性がゼロではありません。
もちろん、そのアメリカも「縮小中」とは言え大規模な金融緩和を実施しているわけでお互い様なのですが、まともに話が通じる相手ではありませんからね・・・。
本来的には日銀の金融政策は政治から独立した裁量が与えられているわけですが、仮にこうした「外圧」の影響を多少なりとも受けるとすれば、現在の金融緩和は縮小する方向に動くことになりますので、金利には上昇圧力となってきます。
金融緩和=金利低下なわけですから、金融緩和縮小=金利上昇ということです。
実際のところ足元の長期金利が高止まりしているのもそうした「トランプ発言」を意識してのことだと思います。
■日本の長期金利
仮に思い通りに「対日赤字」が減らなければ、日銀の「異次元緩和」に対する風当たりはますます強くなる可能性があります。異次元緩和を縮小したとしても「対日赤字」はそれほど減らないとは思いますが・・・。
そうしたわけで、トランプ政権の財政政策や「対日赤字」に対する圧力によって、日本の金利が影響を受ける展開が続きそうです。
新たな金融緩和の枠組みによって、それでも長期金利は「−0.1%〜0.1%」のレンジ内で推移するのではないかと思いますが、「外圧」が今度どのように変化していくのかという点には十分な注意が必要かもしれません。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>