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さて先週に引き続き、国土交通省が発表した「民間住宅ローンの実態に関する調査」について取り上げてみたいと思います。
この調査のハイライトは大きく2つあるわけですが、1つ目が先週取り上げた「金利タイプの割合」ですね。このようになっています。
前回もご案内しましたが、金利タイプのおおよその割合は以下となりますので、これから住宅ローンの金利タイプ選びをされる方は頭の片隅に入れておいていただければと思います。
・変動金利型 : 6割
・固定金利期間選択型 : 3割
・フラット35+全期間固定金利型 : 1割
>>>住宅ローンの新規貸出・借換は増えている?金利タイプは?国土交通省調査
そしてハイライトの2つ目が今回取り上げる、「住宅ローンの審査項目」に関するアンケート結果です。住宅ローン審査に関しては基本的にベールに包まれているわけですが、この国土交通省の調査データは数少ない、審査の実態が分かるものですので、住宅ローン利用者としてはやはりチェックしておきたいですね。
前置きはそれくらいにして、実際の「融資を行う際に考慮する項目」を過去2回の調査結果と比較するとこのような推移になっています。
1位 : 完済時年齢 99.3% → 99.3% → 98.8%
2位 : 健康状態 96.3% → 98.4% → 97.6%
3位 : 借入時年齢 97.6% → 97.5% → 97.6%
4位 : 担保評価 96.3% → 97.8% → 97.2%
5位 : 勤続年数 95.9% → 96.4% → 97.2%
6位 : 年収 95.6% → 94.8% → 94.4%
7位 : 連帯保証 90.3% → 92.6% → 93.5%
8位 : 金融機関の営業エリア 91.9% → 92.4% → 89.9%
9位 : 返済負担率 96.6% → 87.4% → 88.0%
10位 : 融資可能額(融資率)購入の場合 91.6% → 90.7% → 81.3%
11位 : 雇用形態 74.9% → 77.1% → 78.2%
12位 : 融資可能額(融資率)借換えの場合 91.5% → 88.4% → 76.3%
13位 : カードローン等の他の債務の状況や返済履歴 85.6% → 77.5% → 64.8%
14位 : 国籍 63.1% → 64.9% → 61.9%
15位 : 申込人との取引状況 64.8% → 59.5% → 49.1%
16位 : 業種 42.5% → 38.4% → 29.4%
17位 : 家族構成 29.5% → 29.9% → 23.1%
18位 : 所有資産 24.4% → 23.5% → 20.4%
19位 : 雇用先の規模 32.8% → 30.1% → 16.7%
20位 : 性別 19.8% → 21.1% → 16.1%
21位 : その他 10.1% → 6.6% → 6.6%
全体的に大きな変動はないですね。90%以上となっている項目は「ほぼ必須」とすると以下7つということになります。
・完済時年齢
・健康状態
・借入時年齢
・担保評価
・勤続年数
・年収
・連帯保証
しかしこうしてみると、「年齢」や「健康状態」など、収入以外の項目が上位に来ているわけで、意外に感じるかもしれませんね。「若くて健康であれば、少々住宅ローンの返済が苦しくなっても頑張れる」ということなのでしょうか・・・。
一方、そうした中でも前回から数字が大きく変動したもの(概ね10%程度)をピックアップするとこうなります。
・融資可能額(融資率)購入の場合 90.7% → 81.3%
・融資可能額(融資率)借換えの場合 88.4% → 76.3%
・カードローン等の他の債務の状況や返済履歴 77.5% → 64.8%
・申込人との取引状況 59.5% → 49.1%
・業種 38.4% → 29.4%
・雇用先の規模 30.1% → 16.7%
いずれも前回から「減少」しているのが印象的ですね。つまり上記項目は「審査が緩くなった」と言えます。
「融資率」は結構重要だと思うのですが、2割程度の金融機関は「融資を行う際に考慮していない」ということですね。
また、住宅ローン審査に関わる「ツボ」としてよく語られる「カードローンなどの他の債務の返済状況」ですが、64.8%まで低下しているというのは驚きです!3分の1の金融機関は「考慮していない」わけです。
業種も雇用先の規模もしかりです。
そういえば某住宅ローン情報サイトが提供している「借り入れ可能額シミュレーション」では、自分の会社の業種や規模によって借り入れ可能額が2〜3割変わる試算結果を提供していたように記憶していますが、こちらのアンケート結果を見る限りそうしたアルゴリズムは誤りと言えそうですね。
大切なのは「どういった会社に勤めているか」ではなく「勤続年数」だと言うことなのであれば、後者は概ね自分の問題ですので勇気づけられる結果なのかもしれません。
いずれにしてもこの「審査項目ランキング」の推移からわかることは、審査項目は決して不変というわけではなく、むしろ毎年結構変動するということですね。
加えて80%を切るような項目については金融機関によって取り扱いが変わってくるわけで、ある金融機関の審査は通ったけれどある金融機関の審査は通らないといった「矛盾」が日常的に起こっていそうです。
とすると・・・住宅ローンの審査結果というのは決して絶対的なものではなく、そうした「不慮の審査NG」という結果に備えて複数の金融機関の住宅ローンに申し込んでおくことが重要ですね。
また万が一、住宅ローン審査に落ちた方も決して気にする必要はありません。ぜひ次の金融機関にチャレンジしてみてください。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>