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毎年この時期になると発表されるのが全国の公示地価ですね。路線価などと並び、最もポピュラーな地価の1つと言えます。
これからマイホームの購入を検討されている方はついつい住宅ローン金利や、個別の物件価格に目が行きがちですが、こうした地価のトレンドを把握しておくことも重要ですね。上昇していても、下落していても、どちらもメリット・デメリットがあり注意が必要と言えます。
個人的には、2013年のアベノミクス開始以降回復基調にある不動産価格がいつどこでピークアウトするかに関心が移りつつありますが、たださすがにそれは先回りしすぎで、今年の公示地価のハイライトは「マイナスが続く住宅地の地価がプラスに転じるかどうか」でした。
すでに昨年の公示地価で、全用途平均が8年ぶりにプラスとなっていましたからね。と言うわけで結果はこうなっています。
昨年はマイナスだった住宅地も、今年はわずかながらプラスになったということですね!「+0.022%」と正直「誤差の範囲内」という気もしますが、プラスとマイナスでは印象が全く異なるわけで、商業地も含めて何とかプラスを達成しました。住宅地がプラスになるのは「9年ぶり」ということですね。
9年前と言えば2018年ですから「リーマンショック前」ですね。住宅地の地価もようやくリーマンショックから回復し始めたということになります。
消費者にとって地価が上昇することは必ずしも良いことではありませんが、とは言いつつ地価が下がり続ける中で住宅を購入するのも抵抗があるものと思います。その点ではこうした「微妙にプラス」というのが一番心地いいのでしょうね。
もちろん誰かがコントロールできるものではありませんし、こうした市場価格というものは、基本的には高すぎたり安すぎたりを繰り返しながら落ち着きどころを探っていくものですので、「心地よい水準」が維持されることはまずないとは思いますが・・・。
実際のところ昨年から今年の変化をベースに来年=2018年の公示地価の変動率を単純に予想すると、こうなります。
2016年実績 → 2017年実績 → 2018年予想
・全国平均 : −0.2% → 0.0% → 0.2%
・三大都市圏 : 0.5% → 0.5% → 0.5%
東京圏 : 0.6% → 0.7% → 0.8%
大阪圏 : 0.1% → 0.0% → −0.1%
名古屋圏 : 0.8% → 0.6% → 0.4%
・地方圏 : −0.7% → −0.4% → −0.1%
中核4市 : 2.3% → 2.8% → 3.3%
あくまで単純計算ですので、全くこの通りにはならないと思いますが、例えば大阪圏はマイナスに転ずる可能性があるほか、改善傾向にある地方圏も中核4都市に限れば3.3%とバブルの香りを感じなくもありません。中核4都市の「商業地」の変動率は今年すでに6.9%まで上昇していますからね。
ただ一方で、早くからプラスとなっていた東京圏は引き続き「程よい水準」を維持する可能性が高そうです。先行して上昇した地域がどんどん上昇を続けるわけではないあたりに、80年代のバブルとの明確な違いを感じます。投資家も消費者も経験値が上がったということなのでしょうね。上から目線で恐縮ですが。
最後に都道府県別の公示地価の変動率と2018年の単純予想を計算するとこうなります。
全国 : -0.2 → 0.0 → 0.2
北海道 : -0.5 → -0.3 → -0.1
青森 : -1.9 → -1.2 → -0.5
岩手 : -0.4 → -0.4 → -0.4
宮城 : 1.9 → 2.4 → 2.9
秋田 : -3.5 → -2.7 →
-1.9
山形 : -0.8 → -0.5 → -0.2
福島 : 2.9 → 2.1 → 1.3
茨城 : -1.2 → -0.9 →
-0.6
栃木 : -1.2 → -1.0 → -0.8
群馬 : -1.0 → -0.6 → -0.2
埼玉 : 0.0 → 0.1 → 0.2
千葉 : 0.2 → 0.2 → 0.2
東京 : 1.6 → 1.9 → 2.2
神奈川 : 0.1 → 0.0 → -0.1
新潟 : -1.6 → -1.4 → -1.2
富山 : -0.2 → -0.3 → -0.4
石川 : -0.7 → -0.4 → -0.1
福井 : -1.7 → -1.4 → -1.1
山梨 : -2.0 → -1.5 → -1.0
長野 : -1.3 → -0.8 → -0.3
岐阜 : -0.9 → -0.8 → -0.7
静岡 : -0.9 → -0.8 →
-0.7
愛知 : 0.8 → 0.6 → 0.4
三重 : -1.7 → -1.6 → -1.5
滋賀 : -0.5 → -0.7 → -0.9
京都 : -0.1 → 0.0 → 0.1
大阪 : 0.0 → 0.0 → 0.0
兵庫 : -0.3 → -0.4 → -0.5
奈良 : -0.3 → -0.4 → -0.5
和歌山 : -2.0 → -1.8 →
-1.6
鳥取 : -2.0 → -1.6 →
-1.2
島根 : -1.6 → -1.1 → -0.6
岡山 : -0.9 → -0.7 → -0.5
広島 : -0.3 → 0.2 → 0.7
山口 : -1.3 → -0.8 →
-0.3
徳島 : -1.0 → -0.6 → -0.2
香川 : -1.4 → -0.8 → -0.2
愛媛 : -1.9 → -1.8 → -1.7
高知 : -1.3 → -1.0 → -0.7
福岡 : 0.5 → 1.1 → 1.7
佐賀 : -1.8 → -1.0 →
-0.2
長崎 : -1.1 → -0.7 → -0.3
熊本 : 0.1 → -0.1 → -0.3
大分 : -0.7 → -0.3 → 0.1
宮崎 : -0.9 → -0.6 → -0.3
鹿児島 : -2.3 → -2.0 → -1.7
沖縄 : 1.7 → 3.0 → 4.3
2018年も公示地価の変動率がマイナスとなることが予想される都道府県を赤字としましたが、途中で後悔するくらい真っ赤ですね!むしろプラスとなる都道府県を赤字にした方が分かりやすかったです・・・。
それはともかく、都道府県の数で言えばマイナス圏にとどまると予想されるところの方が圧倒的に多いですね!逆に言えば今年の公示地価の住宅地全国平均がよくプラスを達成できたなと思わないではないですが、加重平均すればプラスの都道府県の地価の比重が高まるということなのでしょう。
そのプラスの都道府県ですが、見事に大都市が並んでおりますね。福島と大分は震災の影響があるのでしょうけれど。つまりは地価の上でも地域格差が進んでいるということになります。
とすると全国平均は全く実用的ではなく、実際に参考になるのはこうした都道府県別の数値ということでしょうね。もちろん、都道府県の中でも格差はあると思いますが・・・。
そうしたわけで、これからマイホームを購入しようとされている方は、ぜひその地域の地価のトレンドを確認いただき、上がっているのか下がっているのか、その割合はどのように変化しているのかチェックいただければと思います。
個人的には冒頭ご案内したように、そう遠くない将来、住宅価格も住宅地価もピークアウトするのではないかと思っておりますが・・・参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>