※当サイトには広告リンクが含まれています。
いつもご案内しているように住宅ローン金利動向のカギを握るのは日銀の金融緩和です。金融緩和が行われれば金利が低下しますので、住宅ローン金利も低下します。
一方、金融緩和が縮小・終了すれば金利も上昇しますので住宅ローン金利も上昇することになります。
ではいつ、どういう時に日銀が金融緩和を縮小・終了させるかと言えば、今はその基準も明確になっており「物価上昇率が2%を安定的に超えた時」ですね。
要するに今後の住宅ローン金利動向を占う上では、極端に言えば「物価上昇率さえチェックしておけばよい」と言っても過言ではないかもしれません。
もちろん金利に影響を及ぼす要因は金融政策以外にもありますので、それで100%金利の動きを予測できるわけではありませんが、それでもやはり中長期的な金利動向は概ね金融緩和政策に連動しますし、今では日銀のイールドカーブコントロール=金利操作」によって金利水準が直接管理されている状態ですので、短期的にも想定外の金利上昇や金利下落が起こりにくくなっています。
そうした点を考慮すればやはり本質的に重要なのは「物価の動向」というわけですね。
ここで具体的に物価上昇率の変遷をチェックするとこうなっています。
3つの指標があるわけですが、どれも0%近辺をウロウロしており目標である2%に遠く及びません。なお2014年には一時、物価上昇率が2%を大きく超えていますが、これは消費税の影響です。というのも物価は「税込み」なのですね。
これまで105円だったものが108円になったわけですから約2.9%上昇したわけですが、そうした物価上昇の勢いは続かず1年後にはきっちり下がり0%近辺に戻っています。
確かに増税で消費が盛り上がるはずもなく、反動で物価が弱含むのも当然なのでしょうけれど。
それはともかくこうした物価動向を踏まえれば、金利、そして住宅ローン金利が本格的に上昇する余地は全くないわけですが、では専門家は今後の物価動向をどう予想しているのでしょうか?
ということで、まさにその金融緩和政策を実施している日銀の物価見通しはと言うとこうなっています。
・2016年度 : −0.2%
・2017年度 : +1.5%
・2018年度 : +1.7%
つまり2019年にも2%に達成しそうな勢いの予想なわけですが、安心してください。日銀は2013年の異次元緩和開始以降、ずっと「2年後には2%達成」と「約束」し続けているからです。もちろん一度も果たされていないわけですが。
要するにこれはもはや誰も信じない、「決まり文句」のような予想なわけですね。実際のところ物価上昇率2%の達成時期についてはどんどん後ろ倒しされて今に至ります。
とすると上記見通しも早晩、後ろ倒しになるのは確実だと言えます。いやはや。
そうしたわけで、中立的な専門家の見通しを知ろうと思うと日銀以外の予想を探す必要があるわけですが、そうした時に参考になるのがIMFのデータです。
IMFとは、昔学校で習った「国際通貨基金」のことで、為替相場の安定化を目的として設立された国際連合の専門機関の1つです。要するに金融業界の中ではエリート中のエリートであり、その分析ももちろん十分信頼できます。
ではそのIMFの物価見通しはどうなっているかと言うとこうです。
意外と2017年の物価見通しは「+1.0%」ということでホンマかいな、という感じもしますが、2018年は「+0.6%」できっちり下がり、さらにその次の2022年の予想は「+1.6%」となっております。
要するに最も信頼できる専門家の中立的な見通しとしては、物価上昇率は少なくとも2022年までは「2%に達しない」ということですね。だとすると金融緩和も少なくとも2022年までは続き、低金利も継続し、住宅ローン金利も上昇しない、ということになります。
まぁ・・・そうなのでしょうね。
少子高齢化が進み、人口も減り始めている日本で物価が上昇していくイメージというのはどうしてもわきません。それこそ金融緩和も低金利も永遠に続くような気がしてしまうのは記者だけでしょうか?
さすがにそれは住宅ローン利用者としては楽観的に過ぎるのでしょうけれど、少なくとも今のところ見通せる将来において物価が2%を超えるレベルまで上昇する機運はないということは頭の片隅に入れておいていただければと思います。
なお、毎月の消費者物価指数については当サイトでも発表後速やかにご案内しておりますし、このIMFの見通しも半年に1回更新されているようですので、新たな見通しが発表されましたらご案内していきたいと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>