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5月となりました。季節はゴールデンウィークの真っただ中ですね。旅行に出かける方も、家でのんびりされる予定の方も、有意義な休日を過ごしていただければと思います。
ただ先週末もそうでしたが、今年は土曜と祝日が重なることが多いですね。もういっそ全ての祝日をハッピーマンデーの対象にすればいいと思うのは記者だけでしょうか?
もちろん、すべての方が土曜はお休みというわけではないでしょうし、逆に月曜休みの方からすればいい迷惑ということになるのかもしれませんが、個人消費を喚起したいのであれば一つの手ですね。
それはともかく、例年4月は住宅需要については「閑散期」ということのようですが、5月のゴールデンウィーク明けから再び盛り上がり始めるという話を聞きます。確かに記者も、連休などで長く家にひきこもるとマイホームへの関心が高まり、物件情報や住宅ローン情報を収集し始めた思い出があります。
とするとこのタイミングで住宅需要が盛り上がり始めるというのも自然なことなのかもしれませんね。
そうしたわけで本題である今月の住宅ローン金利動向に話を進めていきたいと思いますが、まずはいつものように足元の金利環境をチェックしていきたいと思います。
過去1年の住宅ローン金利の動きを振り返ると、2016年1月末に発表された「マイナス金利政策」の影響で、2016年春以降住宅ローン金利は大きく低下しました。
ただ2016年秋以降は一転してジワジワ上昇してきていますね。そのキッカケは2016年7月末に発表された「追加金融緩和」が期待外れに終わったことです。
さらに2016年11月のアメリカ大統領選挙においてトランプ氏が勝利したことでアメリカの金利が上昇しています。アメリカの長期金利をチェックしてみるとこうなっています。
昨年末に急上昇していますね。となると世界の金融市場はつながっていますので、日本の金利にも相応の金利上昇圧力となります。
ただ一方で、この1ヶ月ほどはわずかながらも低下し始めていることが分かります。これはトランプ政権に対する期待が陰り始めていることに加え、シリアや北朝鮮と言った地政学リスクが高まっていることが要因ではないかと思いますが、いずれにしてもアメリカの金利が低下するのであれば、日本の住宅ローン利用者にとっても歓迎すべきことですね。
実際、日本の長期金利も1ヶ月前の「0.065%」から「0.020%」に相応に低下しています。久しぶりのマイナス金利まで後もう一歩ですね!さらなる金利低下に期待したいと思います。
加えて住宅ローン利用者にとって心強い味方となるのが、日銀の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」です。これはつまり日銀が直接的に市場金利をコントロールしていくということですが、この枠組みの中で現状の長期金利の操作目標は「0%」に設定されています。今のところその「0%」の意味は「−0.1%〜0.1%の間」と考えられています。
実際、長期金利の動向を見てみると、2016年9月のこの「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」発表以降、その「−0.1%〜0.1%の間」に収まっていることが分かります。
2月3日には長期金利は一時「0.15%」まで上昇し、節目である0.1%を超えましたが、日銀がすかさず「無制限の指値オペ」を実施したことですぐに0.1%以下の水準まで低下しました。本日の長期金利も、やはり「−0.1%〜0.1%」の範囲内です。
この日銀の「金利コントロール力」が確かなものであるのなら、アメリカの長期金利が今後上昇しても、あるいは他の金利上昇要因が現れたとしても、日本の長期金利は+0.1%を超えることはなく、住宅ローン金利も大きく上昇しない、ということになります。
言い換えれば「長期金利は−0.1%を下回ることもない」ということですから良いことばかりではありませんが、しかし住宅ローン金利はすでにこれ以上下がるのは困難なレベルまで下がっていますからね。その点では「金利上昇リスクがない」ことの方がありがたいと言えそうです。
そのような金利環境を理解した上で、具体的に三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行の大手銀行=メガバンクの5月の住宅ローン金利をチェックするとこのような結果となっています。
・変動金利 : −0.10%引き下げ〜据え置き
・10年固定金利 : −0.35%引き下げ〜+0.05%引き上げ
・20年固定金利 : −0.10%引き下げ〜−0.03%引き下げ
・30年固定金利 : −0.10%引き下げ〜−0.03%引き下げ
長期金利の低下傾向を受けて概ね下がっておりますが、その中で対応が分かれているのが「10年固定金利」ですね。「−0.35%引き下げ〜+0.05%引き上げ」ということで、バラバラです・・・。
金利環境を考慮すれば利上げするようなタイミングではありませんが、なぜかりそな銀行が「+0.05%引き上げ」
ているのに対して、三菱UFJ銀行がこれまた破格の「−0.35%引き下げ」に踏み切っています。
そうなると三菱UFJ銀行がお得なの?という話になりますが、ただその三菱UFJ銀行はこの10年固定金利を4月に「+0.50%」と大幅に引き上げた後に今月は「−0.35%」ということですから、まだ十分に下がっていません。
4月に三菱UFJ銀行から住宅ローンを借りた方は誠に悲惨だったわけですが、こうした顧客を振り回すようなトリッキーな金利設定はやめてほしいものですね。住宅ローン金利は申込時ではなく契約時の金利が適用されますので尚更です。
ちなみに先日の当サイトのコラムでは「5月の住宅ローン金利は、−0.05%といった小さいレンジで再低下する可能性あり」と予想しました。上記の通り一部トリッキーな動きがあるものの、全体的には概ね予想通りと言えるのではないでしょうか?手前味噌で恐縮ですが・・・。
>>>[5月の住宅ローン金利予想] −0.05%と言った小幅な再低下の可能性あり
[2017年5月の住宅ローン金利]
上記ご案内したように、5月の住宅ローン金利は概ね
・変動金利 : 据え置き
・10年固定 : 引き下げ
・20年年固定 : 引き下げ
・30年年固定 : 引き下げ
と言った動きになりました。
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
具体的な金利をチェックしていくと、フラット住宅ローンのメイン商品であるフラット35の金利は4月と比較して「−0.06%引き下げ」となっています。より期間の短いフラット20の金利も「−0.03%引き下げ」ですね。
>>>最新のフラット35の金利はこちら(楽天銀行)
先日のフラット35の金利予測では
・フラット20金利 : −0.03%の引き下げ
・フラット35金利 : −0.06%の引き下げ
と予想しましたが、フラット35はピタリだったものの、フラット20はわずかに外してしまいました・・・いつか予想の精度を上げたいものです。
>>>[5月のフラット35金利予想] 前月比−0.06% フラット35表面金利1.06%?
次に民間の住宅ローンをチェックすると、いつものように当サイトで人気の住信SBIネット銀行と、日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行の、4月と5月の住宅ローン金利の推移はこのようになっています。
◆住信SBIネット銀行(ネット専用住宅ローン)
・変動金利 : 0.447% → 0.447% (据え置き)
・10年固定 : 0.560% → 0.610% (+0.05%)
・20年固定 : 1.060% → 1.010% (−0.05%)
・30年固定 : 1.280% → 1.230% (−0.05%)
>>>最新の金利はこちら
◆三菱UFJ銀行(保証料を加えた実質金利)
・変動金利 : 1.075% → 1.075% (据え置き)
・10年固定 : 1.250% → 0.900% (−0.35%)
・20年固定 : 2.900% → 2.850% (−0.05%)
・30年固定 : 1.550% → 1.450% (−0.10%)
>>>最新の金利はこちら
全体的にはわずかながら引き下げとなっているわけですが、やはり10年固定金利についてはいろいろな思惑が渦巻いているようで住信SBIネット銀行も「+0.05%の引き上げ」となっています。どういうことなのでしょうねぇ。金利を引き上げるべき理由は全く見つかりませんが・・・。
さて住信SBIネット銀行の住宅ローンに話を戻すと、同行は「ネット専用住宅ローン」の販売に注力しています。これは契約相手が住信SBIネット銀行ではなく、親会社である三井住友信託銀行となるもので、より安心感を感じる方は少なくなさそうです。
引き続きこうした「低金利+安心安全」な住宅ローンを積極的に提供していってほしいものです。
さてこちらも当サイトで人気の新生銀行の5月の住宅ローン金利はと言うと以下の通りです。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.550% → 0.600% (+0.05%)
・10年固定 : 1.050% → 1.000% (−0.05%)
・20年固定 : 1.450% → 1.400% (−0.05%)
・30年固定 : 1.900% → 1.850% (−0.05%)
なぜか変動金利は利上げとなっておりますが、それ以外の金利については順当に低下していることが分かります。引き続き積極的であるということですね。
>>>最新の金利はこちら
なお新生銀行は、万が一の時の保障や返済停止機能を組み合わせた「安心パック」を付加するなど、金利競争以外のサービス拡充にも注力しています。住宅ローンの金利や手数料だけでなく、そうした付加価値についても目を向けてみると、また違った住宅ローン選びができるかもしれませんね。ちなみにこのサービスは日経新聞が選定した新商品・新サービスの中で、最優秀賞を受賞したようです。
[2017年6月以降の住宅ローン金利の動向]
気になる今後の住宅ローン金利の動向ですが、上記の通り当面は日銀の「金利操作」によって長期金利は概ね「−0.1%〜0.1%」の範囲内で推移するものと思われ、金利環境からすれば今後の住宅ローン金利は大きく上昇することも大きく低下することもなく、「細かな金利変動にとどまる」と考えられます。
とすると当面は全体的な金利動向よりも、「個別の銀行の貸し出しスタンス」がより重要だと言えそうですね。遅くとも7月前後の夏のボーナスシーズンには再び各銀行が積極的な金利を設定してくるのではないでしょうか。
ちなみに。
今後の「本格的な」金利上昇の可能性を考えると、カギとなるのは物価です。政府や日銀は、物価上昇=インフレの状態にするためにあらゆる金融政策を取っているわけですが、景気回復と相まっていよいよ本当にインフレになってくれば、頼みの綱である「異次元の金融緩和」も縮小に向かいますので、実需と金融政策の両面から金利上昇の機運が高まることになります。
では足元の物価動向はと言うと、多少上昇しているものの金融緩和を縮小・終了させるにはまだまだ力不足です。
そうでなくても少子化が続く日本で本当にインフレとなるのか疑問を感じなくもありません。最近の物価動向は以下の通りです。
政府や日銀が目指すように日本経済が本格的なインフレ経済に変貌するとしても、時期としてはかなり先のことであるのは間違いなさそうですね。
実際、新たな金融緩和が次々と出てくるのもインフレ誘導政策がうまくいっていない何よりの証拠です。
ここでいつものように長期金利の2000年からの推移を振り返ってみたいと思います。
■長期金利グラフ
このグラフから「金利上昇の教訓」を探ろうとすれば、前回の景気回復が始まった2003年に長期金利は0.435%の最低金利をつけた後、急速に上昇し、1.5%前後にまで実に1%近く上がったことが分かります。
仮に今後、景気回復が順調に進むのであれば、金利についても同じ様に+1.0%程度上昇する可能性がある、ということを示唆しております。
今のところ、慌てたり、焦ったりする必要は全くありませんし、逆に低金利が常態化した日本では「金利が上昇したとしてもその程度」とも言えるわけでむしろ安心しても良いという気すらしますが、とは言いつつ住宅ローン金利が低いのに越したことはありません。
住宅ローンをご検討の方は、そうした将来的な金利上昇リスクを頭の「片隅の片隅」に入れて、相対的に金利が低い間に着実にご検討を進めていただければと思います。今月=5月も全体的には住宅ローン金利が空前の低金利であるのは間違いありませんし、先月に比べればわずかながら金利が低下しているわけですから尚更です。
[今月の住宅ローン金利レンジ]
最後に、今月の具体的な住宅ローン金利のレンジをチェックするとこのようになっています。
■2017年5月の住宅ローン金利状況(実質金利)
・変動金利 :0.447%〜2.675%
・10年固定:0.520%〜3.800%
・20年固定:1.010%〜2.850%
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
やはりこうして見ると、今まで考えられなかったような、極めて魅力的な金利水準ですね!
長期金利も住宅ローン金利も「史上最低水準」であるのは間違いありません。多少の金利変動に一喜一憂せず、着実に超低金利のメリットを享受いただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>