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ここ最近の金利動向を振り返ると、大きな転機となったのが、昨年11月のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利したことですね。それに大きく反応したのがアメリカ債券市場で、実際にアメリカの長期金利の推移をチェックしてみるとこうなっています。
11月以降、急激に上昇したことが分かります。それにつられる形で日本の長期金利もまた上昇しました。世界の金融市場はつながっているということですね。
ただ一方でそのアメリカの長期金利も足元では上がったり下がったりと徐々に不安定な動きとなりつつあります。つまりはそれだけトランプ政権に対する期待が揺れ動いているわけですが、ここにきてトランプ大統領のFBIに対する圧力が米政治最大のスキャンダルの1つである「ウォーターゲート事件」をもじって「ロシアゲート事件」と呼ばれるほど深刻な問題となっています。
素直に考えればこの問題が大きくなればなるほど「ドル安・株安・金利安」につながっていくわけですが、上記の通り日本の長期金利は足元ではなぜか上昇傾向を維持しています。株価が大きく下がっているにも関わらず、ですね。
材料の消化に時間がかかっているのかもしれませんが、今後の動向が気になるところです。
ただし。
今後仮に金利が低下したとしても、現在実施されている日銀の「金利操作付金融緩和」によって長期金利はおおむね「−0.1%〜0.1%」の範囲内でコントロールされることになっておりますので、昨年のような大幅なマイナス金利水準になることはないと思います。
本日の「+0.045%」という水準もその「レンジ内」というわけです。
なお具体的な6月の住宅ローン金利予測については以下記事にて詳しく述べておりますので参考になさってください。
>>>[2017年6月の住宅ローン金利予想] 概ね据え置きも、4月・5月に利上げした銀行は利下げへ
結論としてはタイトル通り「概ね据え置きだが、4月から5月にかけて10年固定金利を引き上げた銀行は一転して引き下げてくる可能性が高い」としておりますが、果たしてどうなるでしょうか。
一方で。
本題の6月のフラット35住宅ローン金利を予測するのはずっと簡単です。
と言うのも、フラット35金利のベースとなる住宅金融支援機構の「機構債」の条件がすでに発表されているからですね!したがってここから長期金利がどう動こうとも、少なくとも6月のフラット35金利はほぼ確定です。
と言うわけでその「機構債」金利から、6月のフラット35住宅ローンの金利を予想してみたいと思います。
ちなみにフラット35住宅ローンの金利は概ね以下のような金利の積み上げで決定されているようです。
1.ベース金利=機構債金利
+
2.住宅金融支援機構のフラット35事業運営コスト
+
3.販売金融機関のマージン
残念ながら上記2や3の詳細な内訳は分かりませんが、しかしこれらがほとんど変動しないとすれば、上記1、つまり機構債の条件の変化がそのまま出来上がりのフラット35金利の変化となります。
では具体的に今月=5月発行の機構債の条件はと言うと、前月4月と比較してこのように変化しています。
◆前月と今月の住宅金融支援機構債の発行条件
・0.40% → 0.43% (+0.03%上昇)
1ヶ月前の長期金利が「+0.010%」であり、本日は「+0.045%」ですから、それに準ずる形でわずかに上昇したということですね。
フラット35の金利としては最低水準にある楽天銀行をベースにするとこのように変化することになります。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(単純計算)
・フラット20金利 : 0.98% → 1.01% (+0.03%上昇)
・フラット35金利 : 1.06% → 1.09% (+0.03%上昇)
概ねこんなものだとは思いますが、念のためもう少し精度を高めるべく、過去6ヶ月の機構債の金利変動と、楽天銀行のフラット20、フラット35の金利変動をチェックするとこうなっています。
・2016年11月の機構債金利変動 : 0.34%→0.41%(+0.07%上昇)
12月のフラット20金利 : 0.93% → 1.03% (+0.10%上昇)
12月のフラット35金利 : 1.03% → 1.10% (+0.07%上昇)
・2016年12月の機構債金利変動 : 0.41%→0.48%(+0.07%上昇)
1月のフラット20金利 : 1.03% → 1.02% (−0.01%低下)
1月のフラット35金利 : 1.10% → 1.12% (+0.02%上昇)
・2017年1月の機構債金利変動 : 0.48%→0.46%(−0.02%低下)
2月のフラット20金利 : 1.02% → 0.99% (−0.03%低下)
2月のフラット35金利 : 1.12% → 1.10% (−0.02%低下)
・2017年2月の機構債金利変動 : 0.46%→0.47%(+0.01%上昇)
3月のフラット20金利 : 0.99% → 1.01% (+0.02%上昇)
3月のフラット35金利 : 1.10% → 1.12% (+0.02%上昇)
・2016年3月の機構債金利変動 : 0.47%→0.46%(−0.01%低下)
4月のフラット20金利 : 1.01% → 1.01% (変わらず)
4月のフラット35金利 : 1.12% → 1.12% (変わらず)
・2016年4月の機構債金利変動 : 0.46%→0.40%(−0.06%低下)
5月のフラット20金利 : 1.01% → 0.98% (−0.03%低下)
5月のフラット35金利 : 1.12% → 1.06% (−0.06%低下)
こうしてみると、フラット35の金利はこの機構債の金利に概ね連動していることが分かります。
一方で全然法則性が見えないのがフラット20の金利ですね!ということで前回条件決定日である4月20日の市場金利を本日の金利と比較してみたいと思います。
・ 5年もの金利 : −0.177% → −0.111% (+0.066%上昇)
・10年もの金利 : 0.014% → 0.047% (+0.033%上昇)
・15年もの金利 : 0.285% → 0.316% (+0.031%上昇)
・20年もの金利 : 0.556% → 0.603% (+0.047%上昇)
・30年もの金利 : 0.751% → 0.832% (+0.081%上昇)
今回の「+0.03%」という変化に最も近いのは「10年もの金利」と「15年もの金利」ですが、上記機構債の平均運用期間は15年程度と考えられますので、とすると「15年もの金利」と一定の相関がありそうです。
であるならフラット20の平均残存期間は「10年程度」でしょうから「10年もの金利」と一定の相関があるのではないでしょうか?
その「10年もの金利」ですが奇しくも機構債金利の「+0.03%」と同じというわけですから、当サイトの6月のフラット35金利予測は最終的にこう結論づけたいと思います。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(最終結論)
・フラット20金利 : 0.98% → 1.01% (+0.03%上昇)
・フラット35金利 : 1.06% → 1.09% (+0.03%上昇)
フラット20金利については仮説に仮説を重ねておりますのでその確度は不明ですが、果たしてどうなるでしょうか?スッキリ当たることを期待していますが、仮に外れたとしても大きくズレることはないと思います。
なおこの予測に楽天銀行の金利を利用しているのは、楽天銀行のフラット35は、金利+手数料のトータルコストが最低水準だからですが、これはあくまで「表面金利」であり、取扱い手数料や、団体信用保険のコストなどを加味すると「実質金利」は概ねこのようになります。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(最終結論:実質金利)
・フラット20金利 : 1.42% → 1.45% (+0.03%上昇)
・フラット35金利 : 1.50% → 1.53% (+0.03%上昇)
表面金利からすれば魅力は低下してしまいますが、それでも「全期間固定金利」という点を踏まえれば、かなり魅力的と言えます。
ただし上記金利はあくまで「予測」ですので、実際の金利は来月1日以降に正式発表されてからご確認いただければと思います。
>>>フラット35の最新金利について詳しくはこちら
ちなみにこのフラット35、フラット20、そして機構債の金利推移をグラフにするとこのような感じになります。
過去5年間の平均値を見る限り、フラット35・フラット20の金利変動と、機構債の金利変動との間に大きな差はありません。つまり概ね連動してきたということですね。
と言うわけで繰り返しになりますが今月=5月の機構債の金利はわずかに上昇しましたので、恐らく6月のフラット35住宅ローン金利もわずかに上昇することになりそうです。フラット35の人気はどう変化するでしょうか?
参考になさってください。
みなさんが来月も最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。
<日本住宅ローンプランニング編集部>