※当サイトには広告リンクが含まれています。
まずいつものように、先日国土交通省から公表された最新の不動産価格指数をチェックするとこのようになっています。
相変わらずマンション価格が高騰しているわけですね。一方、戸建てや住宅地はこれまた相変わらず上がりも下がりもしない安定飛行を続けておりまして、どう見ても違和感のある状態がさらに深化していることになります。
新築マンションの販売量が減る一方で契約率も下がっており、つまりは供給以上に需要が減っているわけで、マンション価格がいつ下落に転じてもおかしくないと言い続けているわけですが、そうした懸念を笑い飛ばすかのように上昇を続けております。どういうメカニズムなのでしょうねぇ。まだ人手不足が続いているのでしょうか?
仮に人手不足が原因なら少なくとも戸建ての価格は上昇しているはずですが・・・。
なおそのマンション価格もよく見ると昨年9月くらいをピークに一旦下落し始め、「いよいよ下落局面か!?」と思えたわけですが、実際には上記の通り今年に入って再上昇し、しっかりした上昇トレンドを維持しています。このままいけば庶民にはマンションは「高嶺の花」ということになりそうです。すでにそうなっているのかもしれませんが。
そのように住宅価格の概要をつかんだ上で、本題の地価LOOKレポートを見ていきたいと思います。
地価LOOKレポートとは、これまた国土交通省が発表する「主要都市の高度利用地地価動向報告」のことですが、その最新版=2017年第1四半期=2017年3月〜2017年5月のデータが先週発表されております。
毎回ご案内しているように、この調査では対象地区が
・東京圏43地区
・大阪圏25地区
・名古屋圏9地区
・地方中心都市等23地区
と全国にバランスよく配分されているのが特徴です。そのため3大都市圏のみならず、全国の動向が把握できることに加え、「1年に1回」が多い他の主要な地価調査と違って、3ヶ月に1回調査されており、発表も早く、地価をタイムリーに把握できる点も魅力ですね!
では早速、今回の調査結果について、値上がり・値下がりの分布を1年前、9ヶ月前、6ヶ月前、3ヶ月前の調査と比較するとこのようになりました。
・上昇地区 : 89 → 88 → 82 → 84 → 85
・横ばい : 10 → 12 → 18 → 16 → 15
・下落地区 : 0 → 0 → 0 → 0 → 0
上昇地区が85ヶ所、つまり85%もの地区の地価が上昇しているのですね!「横ばい」地区が1つ上昇に転じたことから、前回の84%から1%増加しています。
また、下落している地区は1ヶ所もありません。
半年前に上昇地区が大きく減った時には、いよいよ地価上昇トレンドも曲がり角かと思いましたが・・・なかなかしぶといですね!
このようにマンション価格や「主要都市の高度利用地」=市街地の地価が上昇している理由はよく分かりませんが、国土交通省は以下のように解説しております。
・オフィス市況が活況
・再開発事業が進捗
・訪日観光客による消費、宿泊需要
これらが正しいのだとすると、市街地の地価上昇を引っ張っているプレイヤーは庶民ではなく、大企業や機関投資家、ファンドなどであり、株価と多少の相関性はあるかもしれません。過去1年の日経平均の株価はこうなっています。
株価は昨年11月のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利してから大きく上昇しており、こうした株式相場の活況が多少は不動産市場にも滲み出した可能性はありそうです。
また、地価上昇の要因として上記の通り「訪日観光客による消費、宿泊需要」が指摘されておりますが、マンションについても中国人による「爆買い」が話題になりました。海外投資家が引き続き日本のマンションを購入しているのだとすれば、為替相場との関連性もありそうです。
つまり、円安になれば地価もマンション価格も上昇する可能性があるということですね。
というわけで為替相場をチェックしてみるとこうなっています。
確かに為替相場も昨年11月から大きく円安が進んでいますが、ただその後はジワジワと円高に戻りつつあるようです。とすると
・円高 → 外国人投資家の需要後退 → 市街地・マンションの需要縮小 → 市街地・マンションの価格下落
ということになるのでしょうか?今後不動産価格がどうなるかは分かりませんが、これから住宅を購入しようとされている方からすれば安いに越したことはありません。
今のところ、マンション価格も市街地の地価も下がる気配は全くありませんが、どこかでターニングポイントを迎えることを期待したいと思います。
さて最後に、いつものように少数派となっている「横ばい地区」の具体的な地名をチェックするとこうなっています。
・盛岡市/盛岡駅周辺
・柏市/柏の葉
・千代田区/番町
・港区/南青山
・中央区/佃・月島
・品川区/品川
・江東区/豊洲
・江東区/青海・台場
・世田谷区/二子玉川
・武蔵野市/吉祥寺
・立川市/立川
・長野市/長野駅前
・新潟市中央区/新潟駅南
・京都市左京区/下鴨
・鹿児島市/鹿児島中央駅
前回と比較すると「岐阜市/岐阜駅北口」が横ばいから上昇に転じております。
なお上記「横ばい地区」には東京都心部の人気のエリアや、これまで地価上昇を牽引してきた地区が目立ちます。
「上昇しすぎた」東京都心部の地価上昇が一服してきた、ということであれば良いニュースと言えそうですが実際はどうなのでしょうね。
住宅ローン金利が低い間に不動産価格が低下し始めることを期待したいと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>