※当サイトには広告リンクが含まれています。
7月となりました。2017年も気が付けば半分終わってしまったということですね・・・早いものです。
さて例年であれば、9月末の引っ越しシーズンに向けて住宅市場や住宅ローン市場もぼちぼち盛り上がってくるタイミングですが、今年はどうなるでしょうか。
夏のボーナスは去年に比べると今一つのようですが、日本経済自体は株価が示すように、海外経済が好調なことを受けて順調のようです。とすると住宅市場にも多少の恩恵がありそうですね。
そうしたわけで住宅ローンに対する関心もそれなりに高まりそうですが、まずはいつものように足元の金利環境をチェックしていきたいと思います。
過去1年の住宅ローン金利の動きを振り返ると、2016年1月末に発表された「マイナス金利政策」の影響で、2016年春以降住宅ローン金利は大きく低下しました。
ただ2016年秋以降は一転してジワジワ上昇してきていますね。そのキッカケは2016年7月末に発表された「追加金融緩和」が期待外れに終わったことです。
さらに2016年11月のアメリカ大統領選挙においてトランプ氏が勝利したことでアメリカの金利が上昇しています。アメリカの長期金利をチェックしてみるとこうなっています。
昨年末に急上昇していますね。となると世界の金融市場はつながっていますので、日本の金利にも相応の金利上昇圧力となったわけです。
ただ一方で、そのアメリカの長期金利も今年3月くらいをピークに低下し始めているように見えます。「株価は好調なのに金利は下がっている」というわけですから、これを「謎」と論評しているメディアもありますが、いずれにしてもアメリカの金利が低下するのであれば日本の住宅ローン利用者にとっては歓迎すべきことですね。
6月末に2.15%→2.30%へポッコリ上昇している点は多少気になりますが、金利環境が大きく変わったということはないと思いますので、今のところ慌てる必要はなさそうです。
では肝心の日本の長期金利はどうなっているかと言うと、全体的には落ち着いて推移しています。これは上記の通りアメリカの長期金利が一旦ピークアウトしたことも要因なのでしょう。
他方、1ヶ月前の「0.040%」からは「0.080%」と微妙に上昇しています。その差はごくわずかではありますので、むしろ「落ち着いて推移している」と表現すべきなのかもしれませんが、なぜ上昇したかの理由を探せばやはり、上記の通りアメリカの長期金利が6月末にポッコリ上昇した影響なのでしょうね。上昇したタイミングも全く同じです。
そのように多少なりとも日本の金利が上昇すると、ざわついてしまうのが住宅ローン利用者の心理ということだと思いますが、そんな住宅ローン利用者にとって心強い味方となるのが、日銀の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」、別名「イールドカーブコントロール」です。
これは「日銀が直接的に市場金利をコントロールしていく」という意味ですが、この枠組みの元で現状の長期金利の操作目標は「0%」に設定されています。今のところその「0%」は具体的に「−0.1%〜0.1%の間」と考えられています。
実際、長期金利の動向を見てみると、2016年9月のこの「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」発表以降、その「−0.1%〜0.1%の間」に収まっていることが分かります。
2月3日には長期金利は一時「0.15%」まで上昇し、節目である0.1%を超えましたが、日銀がすかさず「無制限の指値オペ」を実施したことですぐに0.1%以下の水準まで低下しました。本日の長期金利の値=「0.080%」も、やはり「−0.1%〜0.1%」の範囲内です。
この日銀の「金利コントロール力」が確かなものであるのなら、アメリカの長期金利が今後上昇しても、あるいは他の金利上昇要因が現れたとしても、日本の長期金利は+0.1%を超えることはなく、住宅ローン金利も大きく上昇しない、ということになります。
他方で「長期金利は−0.1%を下回ることもない」ということでもありますから良いことばかりではありませんが、しかし住宅ローン金利はすでにこれ以上下がるのは困難なレベルまで下がっていますからね。その点では「金利上昇リスクがない」ことの方がありがたいと言えそうです。
そのような金利環境を理解した上で、具体的に三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行の大手銀行=メガバンクの7月の住宅ローン金利をチェックするとこのような結果となっています。
・変動金利 : 据え置き
・10年固定金利 : −0.05%引き下げ〜据え置き
・20年固定金利 : 据え置き
・30年固定金利 : −0.05%引き下げ〜+0.02%引き上げ
長期金利は1ヶ月前と比較して「+0.04%」程度上昇していますが、そこから考えれば今月のメガバンクの動向は「わずかながら上昇基調の市場金利にも関わらず、据え置きもしくは金利を引き下げてきた」わけで、住宅ローンの獲得に「やや積極的になってきている」ということですね。
その理由はやはり、ここからの住宅ローン需要の盛り上がりに期待して、ということなのでしょう。
ちなみに先日の当サイトのコラムでは「7月の住宅ローン金利は、概ね据え置きだが、住宅ローン需要期の到来を受け、積極的な銀行は金利を下げてくる可能性あり」と予想しましたが・・・今回はスッキリ当たったのではないでしょうか。
>>>[7月の住宅ローン金利予想] 概ね据え置きも、需要期に向けての利下げに期待
[2017年7月の住宅ローン金利]
上記ご案内したように、7月の住宅ローン金利は概ね
・変動金利 : 据え置き
・10年固定 : わずかに引き下げ〜据え置き
・20年年固定 : 据え置き
・30年年固定 : わずかに引き下げ〜据え置き
と言った動きになりました。
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
具体的な金利をチェックしていくと、フラット住宅ローンのメイン商品であるフラット35の金利は先月と比較して「据え置き」となっています。より期間の短いフラット20の金利は「+0.02%引き上げ」ですね。
>>>最新のフラット35の金利はこちら(楽天銀行)
先日のフラット35の金利予測では
・フラット20金利 : +0.03%引き上げ
・フラット35金利 : +0.01%引き上げ
と予想しましたが、こちらはどちらも0.01%ずつ外しました・・・申し訳ありません・・・。
ただし、これまで特に精度が低かったフラット20の金利予測については徐々に手ごたえを感じ始めておりますので、このまま精進していきたいと思います。
>>>[7月のフラット35金利予想] 前月比+0.01% フラット35表面金利1.10%?
次に民間の住宅ローンをチェックすると、いつものように当サイトで人気の住信SBIネット銀行と、日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行の、先月と今月の住宅ローン金利の推移はこのようになっています。
◆住信SBIネット銀行(ネット専用住宅ローン)
・変動金利 : 0.444% → 0.444% (据え置き)
・10年固定 : 0.660% → 0.660% (据え置き)
・20年固定 : 1.010% → 1.010% (据え置き)
・30年固定 : 1.230% → 1.230% (据え置き)
>>>最新の金利はこちら
◆三菱UFJ銀行(保証料を加えた実質金利)
・変動金利 : 0.975% → 0.975% (据え置き)
・10年固定 : 0.950% → 0.950% (−0.05%)
・20年固定 : 2.900% → 2.900% (据え置き)
・30年固定 : 1.520% → 1.470% (−0.05%)
>>>最新の金利はこちら
こうして比べてみると、10年固定金利と20年固定金利を引き下げてきた三菱UFJ銀行の方が積極的に見えますが、実際には三菱UFJ銀行は4月に10年固定金利を大幅に引き上げた「前科」がある上に、住信SBIネット銀行は6月にただでさえ低い変動金利をさらに引き下げました!引き下げ幅はわずかではありましたが、すばらしいです。
実際の金利水準も含め、より住宅ローンの獲得に積極的なのは住信SBIネット銀行だということですね。
さて住信SBIネット銀行の住宅ローンに話を戻すと、同行は「ネット専用住宅ローン」の販売に注力しています。これは契約相手が住信SBIネット銀行ではなく、親会社である三井住友信託銀行となるもので、より安心感を感じる方は少なくなさそうです。
引き続きこうした「低金利+安心安全」な住宅ローンを積極的に提供していってほしいものです。
さてこちらも当サイトで人気の新生銀行の7月の住宅ローン金利はと言うと以下の通りです。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.600% → 0.600% (据え置き)
・10年固定 : 1.000% → 1.000% (据え置き)
・20年固定 : 1.400% → 1.400% (据え置き)
・30年固定 : 1.850% → 1.850% (据え置き)
こちらも、どの金利タイプも据え置きですね。
>>>最新の金利はこちら
なお新生銀行は、万が一の時の保障や返済停止機能を組み合わせた「安心パック」を付加するなど、金利競争以外のサービス拡充にも注力しています。住宅ローンの金利や手数料だけでなく、そうした付加価値についても目を向けてみると、また違った住宅ローン選びができるかもしれませんね。ちなみにこのサービスは日経新聞が選定した新商品・新サービスの中で、最優秀賞を受賞したようです。
[2017年7月以降の住宅ローン金利の動向]
気になる今後の住宅ローン金利の動向ですが、上記の通り当面は日銀の「金利操作」によって長期金利は概ね「−0.1%〜0.1%」の範囲内で推移するものと思われ、金利環境からすれば今後の住宅ローン金利は大きく上昇することも大きく低下することもなく、「細かな金利変動にとどまる」と考えられます。
とすると当面は全体的な金利動向よりも、「個別の銀行の貸し出しスタンス」がより重要だと言えそうですね。実際、今月は一部で金利引き下げの動きがあったわけですが、9月末の引っ越しシーズンに向けて、さらなる金利引き下げ競争が起こることを期待したいと思います。
ちなみに。
今後の「本格的な」金利上昇の可能性を考えると、カギとなるのは物価です。政府や日銀は、物価上昇=インフレの状態にするためにあらゆる金融政策を取っているわけですが、景気回復と相まっていよいよ本当にインフレになってくれば、頼みの綱である「異次元の金融緩和」も縮小に向かいますので、実需と金融政策の両面から金利上昇の機運が高まることになります。
では足元の物価動向はと言うと、多少上昇しているものの金融緩和を縮小・終了させるにはまだまだ力不足です。
そうでなくても少子化が続く日本で本当にインフレとなるのか疑問を感じなくもありません。最近の物価動向は以下の通りです。
政府や日銀が目指すように日本経済が本格的なインフレ経済に変貌するとしても、時期としてはかなり先のことであるのは間違いなさそうですね。
実際、新たな金融緩和が次々と出てくるのもインフレ誘導政策がうまくいっていない何よりの証拠です。
ここでいつものように長期金利の2000年からの推移を振り返ってみたいと思います。
■長期金利グラフ
ちなみにこのグラフから「金利上昇の教訓」を探ろうとすれば、前回の景気回復が始まった2003年に長期金利は0.435%の最低金利をつけた後、急速に上昇し、1.5%前後にまで実に1%近く上がったことが分かります。
仮に今後、景気回復が順調に進むのであれば、金利についても同じ様に+1.0%程度上昇する可能性がある、ということを示唆しております。
今のところ、慌てたり、焦ったりする必要は全くありませんし、逆に低金利が常態化した日本では「金利が上昇したとしてもその程度」とも言えるわけでむしろ安心しても良いという気すらしますが、とは言いつつ住宅ローン金利が低いのに越したことはありません。
住宅ローンをご検討の方は、そうした将来的な金利上昇リスクを頭の「片隅の片隅」に入れて、相対的に金利が低い間に着実にご検討を進めていただければと思います。今月=7月も全体的には住宅ローン金利が空前の低金利であるのは間違いありませんから尚更です。
[今月の住宅ローン金利レンジ]
最後に、今月の具体的な住宅ローン金利のレンジをチェックするとこのようになっています。
■2017年7月の住宅ローン金利状況(実質金利)
・変動金利 :0.444%〜2.675%
・10年固定:0.580%〜3.800%
・20年固定:1.010%〜2.900%
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
やはりこうして見ると、今まで考えられなかったような、極めて魅力的な金利水準ですね!
長期金利も住宅ローン金利も「史上最低水準」であるのは間違いありません。多少の金利変動に一喜一憂せず、着実に超低金利のメリットを享受いただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>