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まずいつものように、先日国土交通省から公表された最新の不動産価格指数をチェックするとこのようになっています。
相変わらずマンション価格が高騰しています。昨年の秋には一旦上昇が止まる兆しがありましたが、その後は再上昇し現在に至ります。過熱しておりますね・・・。
ちなみに同じく上昇傾向にある株価との連動はどれくらいあるのでしょうか?ということで過去10年の日経平均のグラフをチェックするとこうなっています。
値動き自体は株価の方がはるかに激しいですが、ただ上昇・下落の大まかな傾向は同じです。これは株式の投資家とマンション購入者層が同じ・・・というわけではなく、どちらも「価格が景気に左右されやすい」ということなのでしょうね、きっと。
とすると再び深刻な景気後退局面が来れば株価同様、マンション価格も下がりそうですね。「深刻な景気後退」を期待しているわけではありませんが。
なおその景気との連動という点では、上記グラフの通り「戸建て住宅」や「住宅地」が全く上昇していないという点も「異常」と言えるかもしれません。こんなに変化がないとむしろこの「戸建て住宅」や「住宅地」の値が間違っているのではないかという気がしてきますね。
今年の路線価では、「住宅地の全国平均」が前年比+0.0%とようやく下げ止まった状態ですから、全国的に見れば「こんなもの」なのかもしれませんが、ただその今年の住宅地の路線価で言うと内訳はこのようになっていました。
・全国 +0.0%
・三大都市圏 +0.5%
・札幌、仙台、広島、福岡 +2.8%
・その他地方圏 −0.8%
>>>2017年路線価、住宅地の全国平均は9年ぶりに下落が終わり横ばいに
結構な地域間格差があるということですね。とすると上記のような全体の傾向を把握することも大切ですが、実際のマイホーム選びにおいてはそのエリアの中長期的な地価や住宅価格の推移をチェックしておくことが大切です。
マイホーム購入はライフイベントやライフステージに紐づいておりますので、「価格が下がるまでいつまでも待つ」というわけにはいかないのが残念なところですが、とは言いつつ直近のボトムからどれくらい上昇しているのかを把握しておけば、仮に下落局面に入った場合でもどれくらい下がるのかある程度予想ができますし、場合によってはそれに基づいた資金計画を立てておいてもいいかもしれません。
価格上昇傾向が鮮明なマンションの場合は上記グラフに基づけば「概ね3割程度の価格下落の可能性がある」ということになりそうです。
もちろん住み続ける限りは、マイホームの時価が上昇しようが下落しようがほとんど全く関係ありませんが、そのように下値の目途を想定しておけば精神衛生的にも良さそうです。
さてすっかり前置きが長くなってしまいましたが、上述の地価動向の「地域間格差」を量る上で役に立つのが、本題の地価LOOKレポートです。
地価LOOKレポートとは、国土交通省の「主要都市の高度利用地地価動向報告」のことですが、その最新版=2017年第2四半期=2017年4月〜2017年6月のデータが発表されております。
毎回ご案内しているように、この調査では対象地区が
・東京圏43地区
・大阪圏25地区
・名古屋圏9地区
・地方中心都市等23地区
と全国にバランスよく配分されているのが特徴です。そのため3大都市圏のみならず、全国の動向が把握できることに加え、「1年に1回」が多い他の主要な地価調査と違って、3ヶ月に1回調査されており、発表も早く、地価をタイムリーに把握できる点も魅力ですね!
では早速、今回の調査結果について、値上がり・値下がりの分布を1年前、9ヶ月前、6ヶ月前、3ヶ月前の調査と比較するとこのようになりました。
・上昇地区 : 88 → 82 → 84 → 85 → 86
・横ばい : 12 → 18 → 16 → 15 → 14
・下落地区 : 0 → 0 → 0 → 0 → 0
上昇地区が86ヶ所、つまり86%もの地区の地価が上昇しているのですね!「横ばい」地区が1つ上昇に転じたことから、前回の85%から1%増加しています。
また、下落している地区は1ヶ所もありません。
9ヶ月前に上昇地区が大きく減った時には、いよいよ地価上昇トレンドも曲がり角かと思いましたが・・・なかなかしぶといですね!これで3四半期連続の「上昇地区の増加」ということになります。また、引き続き下落地区はゼロです。
このようにマンション価格や「主要都市の高度利用地」=市街地の地価が上昇している理由について国土交通省は以下のように解説しております。
・空室率の低下等オフィス市況が好調
・大規模な再開発事業の進捗
・訪日観光客による消費・宿泊需要
・オフィス、店舗、ホテル等に対する投資が引き続き堅調に推移
どれもマンション需要というより、オフィス・ホテル需要の話ですが、ただマンション用地とオフィス・ホテル用地が重複しているのであれば、マンション価格が影響を受けるのも当然なのかもしれません。
とすると・・・2020年の東京オリンピックまではホテル需要は増加していくでしょうから、マンション価格も上昇していくということになるのでしょうか?もしそうなれば、かなり息の長い上昇局面となります。
さすがにそれは楽観的すぎる気もしますが、可能性としては考慮しておいた方が良さそうです。
さて最後に、いつものように少数派となっている「横ばい地区」の具体的な地名をチェックするとこうなっています。
・盛岡市/盛岡駅周辺
・柏市/柏の葉
・千代田区/番町
・港区/南青山
・中央区/佃・月島
・品川区/品川
・江東区/豊洲
・江東区/青海・台場
・世田谷区/二子玉川
・武蔵野市/吉祥寺
・立川市/立川
・長野市/長野駅前
・京都市左京区/下鴨
・鹿児島市/鹿児島中央駅
前回と比較すると「新潟市中央区/新潟駅南」が横ばいから上昇に転じております。
なお上記「横ばい地区」には東京都心部の湾岸エリアを筆頭に、これまで地価上昇を牽引してきた地区が目立ちます。
「上昇しすぎた」東京都心部の地価上昇が一服してきた、ということであれば良いニュースと言えそうですが実際はどうなのでしょうね。
繰り返しになりますが、全体的に上昇しているとしても当然「地域間の格差」はあり得ます。最終的には検討している物件が含まれるエリアの中長期的な地価動向を個別にチェックして、割高なのか割安なのか、上昇しているのか下落しているのか横這いなのか、把握していっていただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>