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気が付けば長期金利がマイナス水準まで低下していますね!本日の長期金利は「−0.01%」ということで、マイナス水準となるのは10ヶ月ぶりということです。言い換えれば2017年になってから一度もマイナス水準に低下したことはなかったということですが、過去1年の長期金利のグラフをチェックするとこうなっています。
確かに昨年11月以来、10ヶ月ぶりであることが分かります。
グラフを俯瞰すると金利が下がったと言ってもそれほどではないことが分かりますが、しかし「マイナス金利」という響きは心理的にはかなりインパクトがあります。住宅ローン需要も借り換えを中心に大いに刺激されそうですね。
さて今回、長期金利がマイナス水準まで低下した直接的な理由はやはり北朝鮮の核問題です。核実験が強行され、「水爆」「ICBM」と言った言葉も報道されており、素人目から見てもこの問題が新たなステージに入ったことが分かります。
そしてそのように緊張が高まると、投資マネーは株式などのリスク資産から国債などの安全資産に流れていきますので、国債価格上昇=利回り低下ということで金利は低下していくことになります。
今後緊張がどこまで高まるのかは分かりませんが、大きなターニングポイントとなるのが、中国が原油を含めた北朝鮮との輸出入禁止にどこまで踏み込むのかという点です。
それはつまり、アメリカが中国に対してどこまで圧力をかけられるのかということで、仮にアメリカが中国に対して強硬手段に出た場合、その影響は世界経済全体に波及していくことになります。今や世界経済はアメリカと中国を中心に回っていますからね。
正直、北朝鮮の核問題自体の金融市場への影響はそれほど大きくないと思っていました。なぜならチキンレースにも限界がありますし、結局、北朝鮮がどれだけ核武装を強化しようとも、「それを使えない」ことに変わりはないからです。
とすると徐々に新しい材料はなくなり、金融市場は以前の状態に戻っていくことが予想されたわけですが、これが上記の通りアメリカvs中国の代理戦争に発展すると話は別ですね。もちろんアメリカと中国が直接戦うことはないにしても、経済制裁などが発動されれば実体経済に影響を及ぼすことになります。
今のところ今般の「マイナス金利」は短期的な現象かと思っていますが、もし仮にアメリカと中国の間の緊張が高まるようなことになれば、意外と長く続くかもしれません。
金利低下はありがたいのですが、平和を望む日本人の1人としてはやはり国家間の緊張が和らいでいくことを期待したいと思います・・・。
そのように決してハッピーとは言えない今回の事態ですが、それはそれとして住宅ローン金利への影響を考えてみたいと思います。もちろん金利低下圧力がかかるのは間違いありませんが、ではどれくらい金利が低下するのか?ということですね。
まず長期金利の変動幅から逆算すると、7月には0.1%程度だったものがすでに0%程度まで下がっているわけですから、「−0.1%」程度の金利低下余地が生まれていることになります。
ただ9月の住宅ローン金利は固定金利が概ね「−0.05%」程度下がっていますので、残る余地は「−0.05%」ですね。
また、さらなら国際情勢の悪化で長期金利が0%程度から−0.1%程度まで下がるとすれば、住宅ローン金利の低下余地は再び「−0.15%」程度まで拡大することになります。
一方、長期金利が−0.1%を下回り、−0.2%や−0.3%になるかと言われるとそれはなさそうです。と言うのも日銀の金利操作によって長期金利は概ね「−0.1%〜0.1%」の間に収まるようコントロールされているからです。
個人的には金利上限のコントロールより、金利下限のコントロールの方が難しいような気もしますが、それはともかく日銀の金利コントロール能力を信じるのであれば、今後の金利低下余地は「最大で−0.15%」程度と考えられます。
次に過去の住宅ローンの金利水準から金利低下余地を探ってみたいと思います。まず長期金利が今と同水準だった昨年11月の住宅ローン金利と今月の住宅ローンを比較してみると、人気の住信SBIネット銀行、そして日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行の金利はこのように変化しています(いずれも表面金利)。
・住信SBIネット銀行
変動金利 : 0.497%〜0.568% → 0.444%
10年固定 : 0.500% → 0.640%
20年固定 : 0.810% → 0.980%
・三菱UFJ銀行
変動金利 : 0.875% → 0.775%
10年固定 : 0.600% → 0.750%
20年固定 : 2.600% → 2.750%
こうしてみると固定金利については結構上昇していますね。逆算すると「−0.15%」程度の下落余地はありそうです。
逆に変動金利はむしろ昨年11月から概ね下落していることから分かるように下落余地はないということですね。変動金利をご検討の方は長期金利の変動に一喜一憂する必要はありません。これは、住宅ローンの変動金利は長期金利ではなく、もっと短期の市場金利に連動しているからです。
ではさらに長期金利が「−0.1%」程度だった昨年8月の住宅ローン金利と比較するとこうなります。
・住信SBIネット銀行
変動金利 : 0.497%〜0.568% → 0.444%
10年固定 : 0.470% → 0.640%
20年固定 : 0.760% → 0.980%
・三菱UFJ銀行
変動金利 : 0.875% → 0.775%
10年固定 : 0.500% → 0.750%
20年固定 : 2.450% → 2.750%
固定金利についてはさらに金利差が拡大し、「−0.2〜−0.3%」程度の下落余地が出てきます。
ただ上記11月の金利も8月の金利も、長期金利上昇中のタイミングだったため、金利上昇が住宅ローン金利にしっかり反映されていなかった可能性があります。その点では長期金利から逆算した「−0.05%程度」もしくは「−0.15%程度」が現実的な住宅ローン金利低下目途となってくるかと思います。
とは言いつつ、あくまでこれは「たら・れば」の話ですし、金利低下局面があっさり終了する可能性も十分あります。北朝鮮の核問題で新しい動きが出てこなくなれば徐々に元の水準に戻っていくでしょうしね。
また、繰り返しになりますが人気の変動金利タイプについてはこうした長期金利の動きにほとんど全く影響を受けない点も頭の片隅に入れておいていただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>