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2017年も残すところあと4日となりました。早いものです。
昨年のこの「住宅ローン金利予想」は12月26日でして、今年はもう少し早く書こうと心の準備はしていたものの、12月に入ってから重要データの発表が相次ぎ、伸び伸びとなってしまいました・・・その点ではややタイミングを外した感もありますが、一方、遅かった分、得られた情報もありますのでそうした点も盛り込んで挽回(?)したいと思います。
まず、昨年の「金利予想」を振り返ってみるとこういうことでした。
>>>住宅ローン金利予想2017
メインシナリオとしては
・アメリカの金利上昇はトランプ政権への過度な期待がしぼむことから2017年3月ごろに一服
・日本の長期金利は日銀の金利操作によって+0.1%以下にコントロール
・物価も円安傾向の一服から年央以降弱含む
と予想し、「年初は住宅ローン金利が多少上昇することはあっても年央以降は低位安定する」としました。
そうしたわけで答え合わせをしてみると、過去1年間の長期金利とフラット35住宅ローン金利はこのように推移しました。
2017年10月に「制度変更」によってフラット35・フラット20の「表面金利」が上昇したのは余計でしたが、全体的に低位安定していたことが分かります。
ちなみに同じグラフで長期金利だけを抜き出すとこうなります。
便宜上、かなりドットの粗いチャートになっておりますが、「全体的に低位安定していた」のは間違いないものの、細かく見れば2月や7月に多少金利が上昇した一方、1年を通せば逆にジワジワ金利が低下していたことが分かります。
その点では住宅ローン金利は概ね長期金利に連動しておりますので、メインシナリオ予想である「年初は住宅ローン金利が多少上昇することはあっても年央以降は低位安定する」はまずまず正解だったと言えそうです。手前味噌で恐縮ですが・・・。
ちなみにメインシナリオがあればサブシナリオがあるわけで、サブシナリオはこうでした。
・年初に住宅ローン金利が多少上昇した後、ずっとそうした金利水準が続く
実感としてはこちらも合っている気はしますね・・・「どっちやねん!」と突っ込まれそうですが。
ではここから本題の2018年の住宅ローン金利予想に入っていきたいと思います。上記の通り昨年は主にこの3つの要素から金利予想をしました。
・アメリカの金利動向
・日銀の金融政策
・日本の物価動向
その金利決定メカニズムは今も変わっていませんが、昨年と違って今回自信をもって指摘できるのは日銀の「金利コントロール力」ですね。昨年末の段階ではイールドカーブコントロールは始まったばかりであり、「本当に日銀が金利をコントロールできるのか?」「金利をコントロールするのは難しい」「中央銀行が直接金利をコントロールできたことがない」といった懸念があったわけですが、蓋を開けてみれば上記グラフの通り長期金利を完全に「0.1%以下」にコントロールできたわけですね。
2017年2月や2017年7月に長期金利が0.1%を超える場面もありましたが、日銀はすかさず「指値オペ」を実施することで長期金利を0.1%以下に引き下げました。その点では、「長期金利が0.1%以上にならない」という点は2018年も「相当な確度」と考えてよさそうです。
金利上昇要因となるアメリカの金利も、2017年3月をピークに落ち着いて推移しています。
日本の物価もまだまだ低いままです。
価格変動の激しい「食料」「エネルギー」を除いた「コア」インフレ率は0.2%前後をウロウロしていることが分かります。目標である「2%」には遠く及びません。
つまり金利上昇要因は見当たらないわけですが、一方で金利が再び低下すると金融機関の経営が苦しくなることから、日銀としてはそれも望んではいないと思います。
そうした点から素直に来年の住宅ローン金利を予想すると「2018年の長期金利はずっと0.1%以下の水準を維持し、住宅ローン金利も大きく上がることも大きく下がることもなく、今の水準を維持する」ということになるかと思います。
おそらくそれが「正解」なのだろうとは思いますが、それだけでは面白くないので逆に金利が大きく変動するケースを考えてみたいと思います。まず金利が大きく上がる場合ですが、これはもう簡単で、「インフレ率が目標である2%を安定的に上回った時」ですね。
なぜ日銀が「異次元の金融緩和」を行い、「マイナス金利政策」を実施し、「イールドカーブコントロール」をしているかと言えば、それは一にも二にもインフレ率2%を達成するためですね。言い換えればインフレ率2%が達成されれば、「異次元の金融緩和」も「マイナス金利政策」も「イールドカーブコントロール」も終了することから金利は大きく上昇することになります。
ただ・・・上記物価上昇率のグラフを見れば分かるようにそれはまだまだ先ですね。個人的には永遠に達成できない気もしますが、いずれにしても2018年にインフレ目標が達成され、異次元緩和が終了し、金利が大きく上昇することはなさそうです。
逆に金利が大きく下がる場合はどういう時かと言えば、たとえばリーマンショック級の金融危機が起きて、日本経済がガタガタになり日銀が新たな金融緩和を実施しないといけなくなるような事態でしょうか。
その可能性がないとは言えませんが、アメリカで大規模な減税が実施されるなど、総じて2018年の経済見通しは楽観的ですね。とすると金利が大きく下がることもなさそうです。
というわけで結論はやっぱり「金利は上がりも下がりもしない」ということになってしまうわけですが、先日某ニュース番組を見ていると日銀の前審議委員の方がなかなか興味深い金融政策見通しを述べておられました。要約すると
・日銀としても、欧米の中央銀行に倣い徐々に金融政策を「正常化」させていきたい(≒金融緩和を縮小していきたい)。
・金利の低下が景気や物価に好影響を与えるのは期間の短い金利だけであり、むしろ期間の長い金利は上昇した方が金融機関の経営にプラス。
・とは言いつつ単純な金利アップは「デフレ脱却に消極的」という印象を与えることからしたくない。
といったことを背景にして考えられるのが
・金利をコントロールする国債を「10年もの」から「5年もの」に変更する
という手法だそうです(記憶ベースなので間違っていたらすみません)。
まだ「なんのこっちゃ」ですが、「10年もの」から「5年もの」に変更することで金利カーブ(イールドカーブ)がこのように変化することが期待できるようです。
つまり、5年もの金利が0%になる代わりに、10年もの金利は相応に上昇するというわけですね。番組ではどういった根拠か、その上昇幅は「0.2%と予想される」とのことでした。
実際こうなるかは分かりませんが、ただ日銀の前審議委員の方のアイデアですので、「実現可能性が高い策」であるのは間違いないと思います。
加えて、「いつまで経っても達成できない2%目標に対して、そろそろ日銀が現実的な方向修正をしてくるのではないか」という気もします。特に2018年4月に黒田日銀の総裁任期が切れますので、「再選」の可能性が高いとしても「総括&転換」するには絶好のタイミングですね。
もちろん、上記のようなターゲット国債の変更を行ってもインフレ率そのものが上昇するわけではありませんので、「いつまで経っても達成できない2%目標」に対する方向修正は、また別の手にはなるとは思いますが、しかしいずれにしても日銀が現状の緩和政策を「正常化」しようとするとそれはどんな形であれ金利上昇圧力となってきますのでご注意ください。
とは言いつつ仮に上記のような国債の変更が行われてもその影響はたかが「+0.2%」とのことですし、メイン予想としては繰り返しになりますが
・2018年の長期金利はずっと0.1%以下の水準を維持し、住宅ローン金利も大きく上がることも大きく下がることもなく、今の水準を維持する
ということではあります。
また、仮に何等かの金融政策の変更が行われる場合も事前に十分な周知が行われるでしょうから過度な心配は無用です。当サイトでもそうした情報が出てくれば積極的にご案内していきます。
そうしたわけで多少の金利上昇の可能性はあるものの、2017年に引き続き2018年も低金利が維持され、皆さんが最高の住宅ローンに出会えることを祈っております。
参考になさってください。