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例年、この時期は3月末の期末=引っ越しシーズンに向けて徐々に住宅需要も、住宅ローン需要も高まる時期ですね。
実際、先月・今月と住信SBIネット銀行やauじぶん銀行、新生銀行などの人気銀行が相次いで住宅ローン金利を引き下げてきているのもそうした住宅ローン需要を取り込むためではないかと思います。
言い換えれば需要期がすぎる4月には金利が元に戻る可能性があるわけで、住宅ローンの借り入れ・借り換えを検討されている方は早めに結論を出された方が良さそうです。
ただしマイホームの購入コストを決めるのは住宅ローン金利だけではありませんね。消費税や各種手数料などがかかりますが、それより何より気にしないといけないのは土地代+建物代=「住宅価格」と言えます。では足元の住宅価格の動向はどうなっているのでしょうか?
もちろん実際の価格は地域や立地、建て方、建物の種類、設備のグレードなどによって千差万別ですが、それでも「全体の価格が上昇している中で、お目当ての物件だけ下落している」ことも、その逆も少ないと思われますので、全体の住宅価格のトレンドを把握しておくことは重要ですね。というわけで前置きが長くなりましたが、いつもご紹介している国土交通省の最新の不動産価格指数はどうなっているかと言うとこうなっています。
指数は2017年9月分が最新ですが、いつものようにマンション価格の上昇が目につきますね!2010年平均=100として、マンション価格は137.0まで上昇しています。つまり4割近く上昇しているということです・・・高騰しています・・・。
個人的な感覚としては「4割」というのはちょっと言い過ぎかな?と思ったりもしますが、「3割以上」というのは納得できます。もちろん国土交通省のデータですので、それなりの信憑性があるのは間違いありません。
今からマンション購入を検討されている方からすれば躊躇するのに十分な価格トレンドかと思いますが、株価も高値を更新しておりますし、2018年の国内外の景気も、アメリカの大規模減税などによって堅調に推移しそうです。とすると早期にマンション価格が崩れるとは考えにくく、エイヤっと買われる方も少なくなさそうですね。
マイホーム購入のタイミングはライフステージと深く結びついていますので、なかなか「安いから買う」「高いから待つ」と言った経済合理性の観点でタイミングを決めるのは難しいですね。その点ではマイホームが割高か割安かというのは「めぐり合わせ」ということになってしまいますが、これからマンションを購入される方は、137→100=約27%程度の価格下落の可能性は考慮しておいていただければと思います。
一方でいつも不思議なのが、上記グラフの通り 「住宅地」や「戸建て住宅」は過去10年の間、ほとんど全く上昇していないのですね!具体的には住宅地=99.6、戸建て住宅=102.2ということで、住宅地については2010年平均を下回っています。マンションとは対照的ですね・・・。
そうしたわけで、マンションの価格下落リスクが気になる方は注文住宅や戸建て住宅の購入を検討してみてはいかがでしょうか?これまた経済合理性だけで決めるのは難しいでしょうけれど。
なお、同じような「不動産価格指数」としては、日本不動産研究所の「不動研住宅価格指数」がありますので、その最新のデータをチェックするとこのようになっております。こちらはいずれも「既存マンション」のものですね。
2000年の数値を100としておりますので数値は国土交通省のものと異なりますし、未だ100を超えていないところを見ると、2000年の中古マンション価格は一体どれくらい高かったのか!?という気もしますが、2013年ごろを底に上昇し続けているという点は同じです。
念のため2012年12月から、直近の2017年10月までの上昇率をチェックしてみるとこうなります。
・東京 : 80.51→97.71=+21.4%
・神奈川 : 75.89→85.91=+13.2%
・千葉 : 66.41→72.69=+9.5%
・埼玉 : 64.68→75.51=+16.7%
ただこうしてみると・・・上記、国土交通省の「+37%」という数字からは随分と乖離していますね!「既存マンション」と「新築マンション」の違いでしょうか?申し上げたように個人的には「3割以上の値上がり」に違和感はありませんが、お目当てのマンションやその周辺の物件価格の推移をぜひチェックしておいていただき、購入前に今後の下落リスクを明確にしておいていただければと思います。
10%にせよ、20%にせよ、30%にせよ、40%にせよ、上昇しているのは間違いないわけですからね。
ちなみに後者の「不動研住宅価格指数」について以前、「4ヶ月連続下落!」と値下がりにフォーカスしてご案内したわけですが、残念ながら2017年9月、そして最新の2017年10月と2ヶ月連続で再上昇しています。消費者の立場からすればもちろんマンション価格は下がってほしいわけですが、足元の上昇トレンドは手ごわいですね・・・繰り返しになりますが当面はマンション価格の上昇が続くことを前提にマイホーム購入計画を検討していただければと思います。
最後に、このような住宅価格動向を受けてみんなのマイホームの「買い時感」はどうなっているかと言うと、住宅金融支援機構の「民間住宅ローン利用者の実態調査」によればこのようになっています。
過去2年半の間、みんなの「買い時感」はさほど変化していないということですね。その点では今のところ、マンション価格の高騰は全体の「買い時感」に大きな影響は与えていないようです。
ちなみに「買い時だと思う理由」と「買い時だと思わない理由」をそれぞれ抜き出すとこうなります。
<買い時だと思う理由>
1位 : 住宅ローン金利が低い 76.9%
2位 : 消費税増税前だから 45.0%
3位 : 税制メリット 27.5%
4位 : 住宅価格が安い 20.2%
5位 : 住宅取得促進策 9.2%
<買い時だと思わない理由>
1位 : 将来の収入や生活に不安 30.5%
2位 : 自己資金不足 27.0%
3位 : 条件に合う物件がない 23.5%
4位 : 景気が不透明 21.3%
5位 : 住宅価格は下がると思う 17.5%
「買い時だと思う」理由を見てみると、「住宅ローン金利が低い」というのが圧倒的に多く、次に「消費税増税前」が来ておいる一方、3位以下はぐっとシェアが低くなっていますので、この「住宅ローン金利」と「消費税増税」の2つがマイホーム購入の大きな後押しとなっていることがよく分かります。
次に「買い時だと思わない」理由を見てみると、3位に「条件に合う物件がない」、5位に「住宅価格は下がると思う」という回答が入ってきており、上記の通りマンション価格の上昇が「向かい風」となっている可能性が示唆されています。
ただし。
「買い時だと思う」理由の4位になぜか「住宅価格が安い」という回答がランクインしていますね・・・一体どういう理由でこの回答が選択されたのでしょうか?
局所局所では「掘り出しもの物件」が出てきているのかもしれませんし、全国的にはまだ地価が下がり続けている場所は数多くあります。また、住宅ローン金利が低いことから、住宅ローンを含めた住宅取得コストが低い=住宅価格が安いという連想になったのかもしれませんが、ただ純粋に住宅価格のトレンドを見る限りにおいては「住宅価格が安い」という理由が選ばれることはならなさそうです。
その点では、このアンケート調査の信憑性に多少の疑問を感じないでもありません。調査会社を通じたネット調査ですからね。というわけで、最後の「買い時感」調査については参考程度にしていただければと思います。
読者のみなさんが最良のマイホームに出会えることを祈っております。
<日本住宅ローンプランニング編集部>