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いつものようにこれまでの住宅ローン金利の推移を振り返ってみると、異次元緩和やマイナス金利政策などの影響もあって「史上空前の水準」まで低下しております。
そうした低金利は現在でも維持されているわけですが、一方、住宅ローン金利の変化を細かく見れば2016年後半に徐々に上昇しました。これはもちろん市場金利が上昇したからですが、ではなぜそのように市場金利が上昇したかと言えば理由は大きく2つです。
まず1つ目は、日銀の新たな「金利操作付き金融緩和=イールドカーブコントロール」によって、長期金利の操作目標が0%前後=−0.1%〜+0.1%に設定されたこと。2つ目は、2016年11月のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が勝利したことから、アメリカの金利が急上昇し、それに連動する形で日本の金利も上昇したこと、ですね。
ではその後の長期金利の推移をチェックしてみるとこうなっています。
2017年に入ってからはそうした長期金利の上昇も落ち着き、まさに操作目標である「−0.1%〜+0.1%」の範囲内でウロウロしていることが分かります。つまりはイールドカーブコントロールが十分効果をあげているということですね。
そうした市場金利の影響を受ける住宅ローン金利もまた、2017年から大きな変動はなく低金利が維持されている状態ですが、となると住宅ローンの貸し出しが増えているのか減っているのか気になるところです。「低金利が続いているから借りよう」という後押しにもなれば、「低金利が続いているからまだいいや」という先送りにもつながりそうですから。
ということで貸し出し動向を把握するために定点観測している、3ヶ月に1度発表される日銀の「主要銀行貸出動向アンケート調査」の最新の数値をチェックしてみたいと思います。
この「主要銀行貸出動向アンケート調査」ですが、調査期間が2017年12月11日〜2018年1月12日となっており、2017年第4四半期=10月〜12月の動向が概ね反映されております。
では気になる個人の資金需要=ローン需要を見てみるとこのようになっています。
「個人向け」の欄を見てみると指数は前回7月の「8」から「7」へ減少しているものの、「ほぼ変わらず」ということかと思います。実際、回答金融機関の内訳はこうですね。
・増加:4%
・やや増加:6%
・横ばい:90%
・やや減少:0%
減少していると回答した金融機関は1つもありません。前回調査では「やや減少」と回答した金融機関が4%ありましたので、その点ではむしろ改善されたと考えても良さそうです。
次にその個人の資金需要を「住宅ローン」と「消費者ローン」に分けてみるとこうなります。
抜き出すと前回と比較してこういうことになります。
・住宅ローン:5→6
・消費者ローン:3→2
消費者ローンが減った一方で、住宅ローンの需要が増加したということですね。そうしたわけで昨年10月〜12月は住宅ローンが好調だったことが示唆されています。
とするとその理由は、もちろん住宅ローンが低金利を維持したということもあるのでしょうけれどそれ以外に
・昨年の衆院選で自民党が勝利し、今後の経済運営に関する安心感が広がった。
・昨年の衆院選で自民党が勝利し、今後の低金利維持が確実になった。
・昨年の衆院選で自民党が勝利し、2019年の消費税増税も確実になった。
・昨年の衆院選で自民党が勝利し、株式をはじめとする資産価格の上昇傾向が鮮明となった。
と言った点が挙げられそうです。要するに自民党の勝利が住宅ローン需要の拡大につながった気がするのですがいかがでしょう?それ以外にも理由があるかもしれませんが・・・。
いずれにしてもこれらが要因であれば、住宅ローンの好調はもう少し続きそうです。
ちなみに「今後3ヶ月予測」はこのようになっています。
と思ったら、意外と弱気ですね。前回予想の「2」から今回は「1」に下がるということです。ただその内訳はこうなっています。
・やや増加:2%
・横ばい:98%
こちらも「減少」と回答している金融機関はゼロであることから、実際には好調ということですね。
最後に気になる金融機関の貸し出しスタンスの変化をチェックするとこうなります。まず過去3ヶ月はこう。
前回が「8」で今回も「4」ですからこちらも減少している点が気になるわけですが、その内訳をみるとこうなります。
・積極化:4%
・やや積極化:2%
・ほぼ不変:92%
・やや慎重化:2%
こちらも、全体的には「ほぼ不変」のほか、積極化した金融機関もある一方で、わずか2%ではありますが「やや慎重化」した金融機関があるのが気になりますね・・・。こうした動きが広がるのかどうか注意しておきたいと思います。
次に「今後3ヶ月予測」はこう。
こちらも前回の「6」→「4」に減少する予測ですが、やはり4%の金融機関が「やや慎重化する」と回答しており気になるところです。
確かに金利の低下と競争の激化で住宅ローンの採算が悪化しているのは間違いありませんが、金融機関から見れば他に良い運用方法はないわけで、特に慎重化する環境でもないと思いますが今後の調査結果をチェックしていきたいと思います。
さてここまでが日銀の「主要銀行貸出動向アンケート調査」結果ですが、もう1つの定点観測データである住宅金融支援機構の「フラット35の申請結果」をチェックしたいと思います。
まず前回の2017年4−6月期の申請・実績戸数は前年同期と比較するとこのようになっていました。
・フラット35申請戸数 : 37,504戸→31,040戸
・フラット35実績戸数 : 29,635戸→22,236戸
申請戸数も実績戸数も前年同期比で減少したということですね。
2017年7−9月期は飛ばしてしまいましたが、今回の2017年10−12月期の申請・実績戸数はと言うとこういうことになります。
・フラット35申請戸数 : 33,003戸→28,153戸
・フラット35実績戸数 : 26,875戸→21,890戸
残念ながら今回も減少傾向ということですね。どちらも2割近い大幅な減少です。上記の通り民間金融機関の住宅ローン需要が好調を維持したのとは対照的な結果ということになります。
低金利が長期化する中で、金利上昇リスクへの警戒感が薄れ、変動金利やより期間の短い固定金利の人気が高まっているのかもしれませんが、加えてフラット35の場合、2017年10月に制度変更が行われ表面上の金利が0.2%以上上昇しましたのでその影響もあるのかもしれません。
いつごろ回復してくるのか、こちらも気になります。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>