※当サイトには広告リンクが含まれています。
何度もご案内してきたようにこれまで金融市場では、「今年のどこかで日銀が長期金利の誘導目標を引き上げるだろう」という観測が根強くありました。実際、2月の「ESPフォーキャスト調査」では今後の長期金利の見通しについてエコノミストの予想はこのようになっています。
現状の長期金利の誘導目標は実質的に「−0.1%〜0.1%」となっていますので、もしそれが続くと思えば回答もそのレンジに集中するわけですが、実際には2018年末の時点で長期金利の誘導目標が0.1%を超えると回答している方は13名(34%)、そして2019年末では22名(63%)となっています。
以前よりは若干少なくなったかもしれませんが、それでも日銀の黒田総裁があれほど早期の利上げを否定しているのに「まだまだ根強くあるなぁ」というのが記者の感想です。
もちろん長期金利が上昇すれば住宅ローン固定金利が上昇するのは必至ですので、住宅ローン利用者としても他人事ではありませんね。上昇するとしても+0.1%〜+0.2%ということでびっくりするほどの金利上昇というわけではありませんが、それでも金利は0.01%でも低い方がいいわけで、こうした見通しが外れることを期待してしまいます。
さて、このように金融市場が金利引き上げを予測する背景としては以下のような点が挙げられます。
1.欧米が金融緩和を縮小し、「金融正常化」を目指していること
2.日銀内部にも金利を引き上げておきたいという思惑があること
3.インフレ率が徐々に上昇していくことが期待されていること
4.4月に日銀総裁・副総裁が交代することから金融政策が変化する可能性があること
どれももっともらしく響きますが、ただコアのインフレ率が低位にとどまり、目標である2%にはるかに届かない状況を考慮すれば、1〜3については説得力は乏しく感じます。
一方で、上記4の日銀の「トップ交代」は、そもそもの「インフレ率2%目標」が修正される可能性を含んでいることから、金利引き上げの要因として「否定しきれない」と言った感じになるでしょうか?
そのように相応の不確実性があった日銀の新たな人事体制ですが、結局こういうことになりそうです。
・総裁:黒田氏(続投)
・副総裁:若田部氏(リフレ派)
・副総裁:雨宮氏(日銀理事)
まだ最終決定ではないと思いますが、与党案ですのでこのまま決まることになります。黒田総裁は続投、副総裁の1人は現日銀理事、そしてもう1人の副総裁はリフレ派=金融緩和積極派、ということですから、今の金融政策が大きく変化する可能性はほぼなくなりました。
ちなみに注目はその若田部氏ですが、多少のリッピサービスもありそうですがこうした発言をしております。
「2%の達成以前に出口戦略を発動することはありえないし、瞬間風速で1カ月だけ達したからといって、すぐに出口をやることもありえない。」
「2%の物価安定目標の達成が難しいならば、追加の緩和策を考えざるをえない。」
早期の出口論を否定しただけでなく、追加緩和の可能性まで言及したわけですから、なかなかアグレッシブですね!
こうした言動を受けてかどうかは分かりませんが、長期金利は今のところ低下傾向ですね。金融市場の「利上げ観測」は相応に後退したのではないかと思います。
直接的には2月2日の指値オペが効いたのかもしれませんが、このまま長期金利も、それに連動する住宅ローンの固定金利も低位安定することを期待したいと思います。
なお、仮に長期金利が上昇するとしても繰り返しになりますが、それに連動して上昇するのはあくまで住宅ローンの「固定金利」です。
日銀は期間が1年以下の短期金利についてはマイナス水準に留めおくことにしていますので、住宅ローンの「変動金利」については上記のような金利変動があったとしても今の低水準を維持するものと思います。
「変動金利は変動しない」という何だか駄洒落みたいな状況になっておりますが、実際そうなので仕方ありません。住宅ローンの変動金利人気はまだまだ続きそうですね。
参考になさってください。
ちなみにここ最近の世界の金融市場の波乱要因となっていたアメリカの金利上昇もやや一服し始めたようです。
アメリカの金利が上昇すれば日本の金利にも上昇圧力となりますのでこのまま落ち着いてほしいものですね。
<日本住宅ローンプランニング編集部>