※当サイトには広告リンクが含まれています。
先日、国土交通省が発表した「民間住宅ローンの実態に関する調査」を取り上げました。まずは気になる、どういった金利タイプが人気なのかをご紹介しました。
>>>国土交通省の民間住宅ローン実態調査 気になる金利タイプランキングは?
そして今回は、これまた毎回取り上げている「住宅ローンの審査項目」に関するアンケート結果です。
住宅ローンの金利や手数料を比較して最も有利なものを選ぶのは当たり前ですが、一筋縄でいかないのは住宅ローンに審査があって、誰にも貸してくれるわけではないという点です。
審査に落ちる割合というのはどれくらいなのでしょうね?もちろん銀行によって差はありますが、一般論から言えば「金利が低い住宅ローンほど審査に厳しい」のは間違いありません。
なぜなら、誰かが住宅ローン破産した場合の銀行側の損失も金利に織り込まれているため、低金利を維持するためには徹底的にリスクの高い申し込みを排除していくしかないからですね。
銀行側から見れば当然と言えますが、ただ住宅ローン利用者からすれば少しでも金利が低い住宅ローンが良いわけで、その点では利益が相反し、銀行と住宅ローン利用者の間でのせめぎ合いが生まれるポイントの1つですね。
大筋から言えば当サイトは「銀行の審査結果に素直に従うべき」という立場です。確かに金利の低さについては銀行と住宅ローン利用者の利益は相反しますが、「破綻せずに最後まで完済したい」という点では両者の利害はピッタリ一致します。審査に落ちるには審査に落ちる理由があるからで、そこをごまかしたり、目をそらしても意味がありません。
もし審査結果がNGなら、自身の借り入れ条件をしっかり見直すべきですね。
・・・しかし。
問題は、残念ながら審査結果がNGになった理由を銀行が開示してくれることはまずないという点です。銀行側からすれば審査の細かな条件を開示してしまうと、そこを狙った質の悪い申し込みが増えてしまうため仕方ないと言えますが、顧客からすれば大いに不満を感じるのは当然です。
そんなベールに包まれている住宅ローン審査の実態ですが、この国土交通省の調査データは数少ない、その審査項目が分かるものですので、住宅ローン利用者としてはやはりチェックしておきたいですね。
前置きはそれくらいにして、実際の「融資を行う際に考慮する項目」を過去3回の調査結果と比較するとこのような推移になっています。
1位 : 完済時年齢 99.3% → 99.3% → 98.8% → 97.2%
2位 : 健康状態 96.3% → 98.4% → 97.6% → 95.7%
3位 : 借入時年齢 97.6% → 97.5% → 97.6% → 95.6%
4位 : 担保評価 96.3% → 97.8% → 97.2% → 95.5%
5位 : 融資可能額(融資率)借換えの場合 91.5% → 88.4% → 76.3% → 94.4%
6位 : 年収 95.6% → 94.8% → 94.4% → 93.6%
7位 : 連帯保証 90.3% → 92.6% → 93.5% → 92.8%
8位 : 勤続年数 95.9% → 96.4% → 97.2% → 92.7%
9位 : 金融機関の営業エリア 91.9% → 92.4% → 89.9% → 87.0%
10位 : 返済負担率 96.6% → 87.4% → 88.0% → 82.6%
11位 : 融資可能額(融資率)購入の場合 91.6% → 90.7% → 81.3% → 78.1%
12位 : 雇用形態 74.9% → 77.1% → 78.2% → 72.2%
13位 : 国籍 63.1% → 64.9% → 61.9% → 67.6%
14位 : カードローン等の他の債務の状況や返済履歴 85.6% → 77.5% → 64.8% → 59.0%
15位 : 申込人との取引状況 64.8% → 59.5% → 49.1% → 45.9%
16位 : 業種 42.5% → 38.4% → 29.4% → 29.2%
17位 : 家族構成 29.5% → 29.9% → 23.1% → 23.5%
18位 : 雇用先の規模 32.8% → 30.1% → 16.7% → 22.2%
19位 : 所有資産 24.4% → 23.5% → 20.4% → 21.7%
20位 : 性別 19.8% → 21.1% → 16.1% → 16.1%
21位 : その他 10.1% → 6.6% → 6.6% → 5.2%
全体的に大きな変動はないものの、個別に見れば5位に浮上した「融資可能額(融資率)借換えの場合」が気になりますね。前回が76.3%で今回が94.4%ですから、いきなり2割近く増加したことになります。
何があったのでしょうか・・・。「融資可能額(融資率)購入の場合」 は78.1%にとどまりますので尚更ですね。
ちなみに「融資率」とは、「担保物件の価格に対して何%の住宅ローンが融資可能か」を示します。そうすると、金融機関としても今後の物件下落リスクが気になり始めているということですかね?元データを見てみると実際の融資率の分布はこのようになっているようです。
<購入の場合>
・80%以内:61
・90%以内:19
・100%以内:675
・110%以内:16
・120%以内:17
・150%以内:6
・その他:162
<借り換えの場合>
・100%以内:196
・150%以内:44
・200%以内:294
・300%以内:31
・その他:289
こうしてみると・・・「借り換え」の場合の方が融資率は圧倒的に高いのですね!なるほど。とすると、金融機関が今後の住宅価格について懸念を持った時に真っ先に影響を受けるのは借り替えの場合の融資率ということですね。
そうしたわけで、今後、担保価値に対する融資率がどんどん厳しくなっていく可能性がありますので、借り換えで住宅ローンを借りようとされている方はご注意ください。
話を元に戻すと、90%以上となっている項目は「ほぼ必須」とすると以下8つということになります。
・完済時年齢
・健康状態
・借入時年齢
・担保評価
・融資可能額(融資率)借換えの場合
・勤続年数
・年収
・連帯保証
昨年もそうでしたが、「年齢」や「健康状態」など、お金に関すること以外の項目がトップ3を占めているわけで意外に感じるかもしれませんね。「若くて健康であれば、少々住宅ローンの返済が苦しくなっても頑張れる」ということなのでしょうか・・・。
一方、下位の項目を見てみると、住宅ローン審査に関わる「ツボ」としてよく語られる「カードローンなどの他の債務の返済状況」ですが、59.0%まで低下しています。3分の1の金融機関は「考慮していない」わけです。
業種も雇用先の規模もしかりです。「どういった会社に勤めているか」よりも「勤続年数」の方がはるかに重要と言うことなのであれば、後者は概ね自分の問題ですので勇気づけられる結果なのかもしれません。
いずれにしても毎年ご案内しているように、この「審査項目ランキング」の推移からわかることは審査項目は決して不変というわけではなく、むしろ毎年結構変動するということですね。
加えて80%を切るような項目については金融機関によって明確に取り扱いが変わってくるわけで、ある金融機関の審査は通ったけれどある金融機関の審査は通らないといった「矛盾」が日常的に起こっていそうです。そうした「不幸な審査NG」に備えて複数の金融機関の住宅ローンに申し込んでおくことが重要ですね。
また万が一、住宅ローン審査に落ちた場合もそうした理由かもしれませんので気にする必要はありません。ぜひ次の金融機関にチャレンジしてみてください。
もちろん冒頭ご案内したように、自身の申込内容を見直す姿勢も大切ではありますが。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>