※当サイトには広告リンクが含まれています。
マイナス金利政策が発表されてから気が付けばもう2年以上が経過していますね!いつもご案内しているようにここ最近の長期金利の動向はこのようになっています。
特に2017年以降は「0.05%前後」という非常に狭いレンジで安定して推移していることが分かります。1年前の金利水準と比較してもほとんど変化はありません。住宅ローン金利も概ねこの長期金利に連動していますので、この1年間ほとんど変化がなかった、ということになります。
とすると住宅ローン需要についても、増えもせず減りもせず安定的に推移したと考えられますが、その「住宅ローン人気」を最もタイムリーに知ることができるデータが、住宅金融支援機構が3ヶ月に1回発表する「業態別の住宅ローン新規貸出額」調査です。その最新版=2017年10月〜12月期の結果が発表されていますので早速チェックしてみるとこうなっています。
残念ながら2017年10月〜12月期は−9.7%ということで1割近い減少となっています。パっとしませんね・・・。
貸出額1,000億円以上の主要業態の、この10月〜12月期の実績を抜き出すとこうなります。
・国内銀行 : −10.3%
・信用金庫 : −12.7%
・労働金庫 : +4.4%
・住宅金融支援機構 : −15.8%
なぜか労働金庫が増加していますが、それ以外は全体的に苦戦しているわけですから「住宅ローン業界全般の傾向」と言えます。
ではなぜこのように前年比で大きく減少したかと言うと・・・この「10月〜12月」に着目して上記長期金利の推移をチェックしてみるとこうなります。
要するに2016年の11月半ばまではまだ金利が相対的に低かったということですね。その後の金利上昇が住宅ローン金利に反映されたのは2016年12月以降ですから、「2016年10月〜12月」と「2017年10月〜12月」の住宅ローン金利を比較すれば前者の方が低いのは間違いなく、とすると今回の「2017年10月〜12月」の新規貸出額が減ったのはすべてこの金利差で説明できそうです。
ここでいつものようにこれまでの新規貸出額の推移をチェックしてみるとこうなります。
ただこうして見てみると確かに今回の「2017年10月〜12月」期は前年比で減少していますが、2016年以前の実績と比較すると相対的に高水準であったことが分かります。
そして上記の通り2017年以降現在も住宅ローン金利は同じような水準を維持しているわけですから、「2016年ほどではないにせよ相対的には高水準」なボリュームの新規貸し出しが続いているのではないでしょうか?もしそうだとすると、日銀のイールドカーブコントロール水準は、金融機関にとっても住宅ローン利用者にとっても「良い塩梅」なのかもしれませんね。
なお主要業態の中では住宅金融支援機構=フラット35の苦戦が少し目立つわけですが、この新規貸出額の中でフラット35の貸出額と長期金利の推移をチェックしてみるとこうなります。
こちらもグラフにしてみると「苦戦」という感じではないですね。全体の住宅ローン新規貸し出し動向よりダイレクトに長期金利の変動の影響を受けていることが分かります。
また長期金利が安定した2017年4月〜6月期以降はフラット35の新規貸出額も安定して推移しています。要するに、今後長期金利が下がればフラット35の新規貸し出しは増え、長期金利が上がればフラット35の新規貸し出しは減り、長期金利が変わらなければフラット35の新規貸し出しもこのままで推移する、ということですね。分かりやすいです。
いずれにしても繰り返しになりますが全体的に住宅ローンの人気はまずまずの高水準で推移しているということですね。住宅ローン人気が高い=住宅ローン利用者にとって有利、ということではないとは思いますが、住宅ローン市場の盛り上がり具合が気になる方は参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>