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いつもご案内しているように、なぜ住宅ローン金利が史上最低水準まで低下しているかと言えば、市場金利が史上最低水準まで低下しているからですね。
ではなぜ市場金利が史上最低水準まで低下しているかと言うと日銀が「異次元緩和」によって金利を低く抑えているからです。
ではなぜ日銀が金利を低く抑えているかと言えば、景気を底支えし、長引くデフレから脱却するためですが、最も代表的な市場金利である長期金利の推移を見てみるとこうなっています。
実はこの低金利はこの5、6年で始まったわけではなく、80年代のバブル崩壊以降ずっと金利低下してきたことが分かります。言い換えれば、日銀は30年近くずっと金融緩和を続けてきたわけで、それはつまり、「バブル崩壊以降、ずっと景気が悪く、デフレだった」ということですね。
つまり今後、市場金利が上昇するのも下落するのも、そして住宅ローン金利が上昇するのも下落するのも「日銀が金融緩和を続けるかどうか次第」であり、さらに言えば「物価が順調に上昇しデフレから脱却できるか」にかかっています。
具体的には「インフレ率が日銀の目標である2%に到達するかどうか」がポイントとなってきますが、ではエコノミストなどの専門家の方々の今後の物価見通しはと言うと、日本経済研究センターの4月の「ESPフォーキャスト調査」
によればこうなっています。
消費税増税の影響を除いたインフレ率の予想はこういうことですね。
・2017年:0.70%
・2018年:0.94%
・2019年:0.89%
・2020年第1四半期:0.90%
つまり、集計した2020年3月末までにおいて、実質的なインフレ率は1%に届かないということです。もしこの予想が正確なのだとすると「住宅ローン金利は少なくとも2020年3月まで上昇しない」ということになります。上記の通り、現状の金融政策が続く限り日銀はインフレ率が2%に達成する前に金融緩和を縮小させることはあり得ないからです。
住宅ローンの金利タイプについて、「金利がいつ上昇するか分からないので固定金利が良い」というアドバイスが未だに多く聞かれます。100%間違いとは言えないものの、現状の金利決定の仕組みを理解すれば「ちょっと乱暴かな?」と思わないでもありません。そのアドバイスに従えば結果的に「割高な金利」を払わせられるわけですからね。
それはともかくとして、この「ESPフォーキャスト調査」 は毎月更新されておりますので、今後の金利見通しの参考にしてみてはいかがでしょうか。
ちなみに専門家の物価見通しはそういうわけですが、では消費者の物価見通しはどうなっているかと言うと日銀が今月発表した「生活意識に関するアンケート調査」によれば1年後の物価見通しはこうなっています。
今回の調査では、1年後の物価について平均値は「+4.5%」、中央値でも「+3.0%」ということで、この見通しが正しければ来年のこの時期にはインフレ率はあっさり2%を超えていることになります。
ただ消費者の物価実感は常に実態より「2〜3%上」という感じかと思いますので、それを考慮すれば実質的には「消費者の物価見通しも低位安定している」と考えても良さそうです。
最近の物価上昇は主に生鮮食品の価格上昇を通じて実感しているのではないかと思いますが、生鮮食品は価格変動が大きいために日銀が考慮する物価からは除外されますので尚更ですね。
加えて消費者の5年後の物価見通しはこうなっています。
こちらは「1年後の物価見通し」より少し低いくらいですね!その点では消費者の物価見通しが上昇しているわけではないことが分かります。実際、中央値を見れば過去3回の調査で「+2.0%」を維持しており、仮にこの予想が正しいとしても2%を「超えてはいない」わけですから今の金融緩和が継続されることになります。まぁさすがにそれはやや屁理屈ですが・・・。
いずれにしても専門家および消費者の物価見通しを見る限り、今のところ早期に金融緩和が縮小し、住宅ローン金利が上昇してしまう可能性は低いということですね。
実際、「ESPフォーキャスト調査」に戻ると長期金利の誘導目標についての見通しはこうなっています。
まず2018年末においてはほとんどの専門家が「0.0%〜0.1%」と回答しており、現状の長期金利の水準がまさにその「0.0%〜0.1%」のレンジ内で推移しているわけですから「金利上昇はない」と予測していることになります。
次に2019年末においても最も多い回答は現状の「0.0%〜0.1%」であり、またほとんどの回答が「0.0%〜0.3%」の範囲内にあることを考慮すれば「金利上昇はないか、上昇するとしてもその上昇幅は+0.2%程度」ということで過度に心配する必要はなさそうです。
1ヶ月前の予想と比較しても微妙に後退していますね・・・。
そうしたわけで、繰り返しになりますが今のところ専門家や消費者の物価見通しを見る限り、「インフレ目標達成→金融緩和終了→住宅ローン金利上昇」という動きが起こる可能性は低そうです。
当サイトでも定期的にこの専門家や消費者の見通しの変化をご案内していきたいと思いますので、気になる方はチェックしてみてください。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>