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住宅市場はここから来年秋にかけて強い追い風が吹くと予想されます。住宅ローンの低金利はまだまだ続くと予想されることや、住宅ローン減税などの恩恵、あるいは緩やかな賃金の上昇傾向もありますが、一番影響が大きいのは2019年秋に予定されている消費税の増税ですね。
仮に安倍政権が倒れればこの増税方針も修正される可能性はありますが、とはいえ誰が首相になっても日本の財政問題は待ったなしであり、粛々と増税が実施されるのではないかと思います。
ちなみに増税と言っても「+2%」ですし、いつもご案内しているように土地には消費税はかかりませんし、大部分の中古物件にもやはり消費税はかかりません。その点では実際のコストインパクトはそれほどないわけですが、「心理インパクト」が大きいということですね。
個人的には増税後の駆け込み需要の反動で、不動産価格が多少下がるのであればむしろそっちの方がより安く買えるチャンスがあるのではないかと思ったりもしますが、不確実な「反動」期待より、確実な増税前に購入してしまおうという気持ちは理解できます。
では実際に不動産価格にそうした「駆け込み需要」の兆候は出ているのでしょうか?
というわけでまずチェックするのが不動産経済研究所の「マンション市場動向調査」です。まず首都圏・近畿圏の新築マンション価格はこのように推移しています。
こうしてみると、首都圏の新築マンションは上昇トレンドを維持しているのに対して、近畿圏はやや下落しています。結構、対照的ですね!
一方、マンション販売の好不調の目安となる「契約率」はと言うと、首都圏はここ最近目安となる70%を下回っているのに対して、近畿圏はおおむね70%を上回り好調です。「契約率が好調だからマンション価格が下がる」ということはもちろんあり得ませんので、真実はその逆ですね。つまり
・首都圏 : 新築マンション価格の上昇に伴い契約率が悪化
・近畿圏 : 新築マンション価格の低下に伴い契約率が好調
ということなのでしょうね。
いずれにしてもこの2018年3月時点の新築マンションの販売データからは消費税の駆け込み需要の兆候は見られません。
では次に中古マンションの価格動向はどうなっているかと言うと、日本不動産研究所の2018年2月の「不動産住宅価格指数」はこうなっています。
2月に限って言えば東京都も神奈川県も千葉県も埼玉県も「前月比」でマイナスですね!こちらも「駆け込み需要」の兆しは見られません。
ほとんどの中古マンションは上記の通り消費税がかかりませんので、当然と言えば当然ですが、それでも手数料などにかかる消費税が上がることを考えれば多少の需要拡大→価格上昇の動きがあっても良さそうです。
そうしたわけで最新の新築・中古マンションの販売データを見る限り、まだ駆け込み需要が起こっているわけではなさそうですが、ただ今朝の日経新聞の記事ではこうした株価データが取り上げられていました。
不動産業種の株価が上昇しているということですね!あくまで昨年末の株価を100としているわけですから基準点を変えれば全然違うグラフとなりそうですが、ただ株価は「最も正確な先行指標」の1つであるのは事実です。
この株価上昇が今後の増税前の「駆け込み需要」を織り込んでいるものだとすれば気になりますね。
繰り返しになりますが、増税の実際のコストインパクトはそれほど大きいものではありませんので過剰反応する必要はないものの、住宅需要が高まって不動産価格が上昇したり、逆に魅力的な物件が数多く提供されたり、あるいはそうした駆け込み需要を当て込んで住宅ローン金利が積極的に下がったり、逆に申し込みが殺到してなかなか手続きが進まなかったりと言った、良い影響・悪い影響が出てくる可能性があります。
つまりは住宅ローン利用者は、駆け込み需要に無関係ではいられないということですね・・・今後の動向が気になるところです。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>