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前回のコラムでは、先日発表された住宅金融支援機構の「民間住宅ローン利用者の実態調査」から金利タイプランキングをご案内しました。
>>>改心した住宅金融支援機構の住宅ローン調査 気になる金利タイプランキングは?
変動金利型の人気が高まっているという結果でしたね。
なおコラムの結びとして「人気の金利タイプ=自分にとってベストな金利タイプということではない」としましたが、「じゃあ何だよ」ということになりますので整理するとこうなります。
1.これから大きく金利が上昇したまま下がらないと思っている人 → 全期間固定金利タイプ
2.これから大きく金利が上昇するものの中期的には再び下がると思っている人 → 固定期間選択タイプ
3.これから大きく金利が上昇するもののすぐに再び下がると思っている人 → 変動金利タイプ
4.これから金利が上昇してもそれほど上がらないと思っている人 → 変動金利タイプ
5.今後も低金利が続くと思っている人 → 変動金利タイプ
6.これから金利が上昇しても、早めに固定金利に変更できる自信がある人 → 変動金利タイプ
このように書くと、あたかも変動金利に誘導しているように響くかもしれませんし、一般的には変動金利が最も低金利であるという点で多少そういう気持ちもないではないですが、言いたいことは2つです。
1つ目は、住宅ローンの金利タイプはご自身の金利見通しに基づいて最もコストが低くなりそうなものを選ぶこと。
2つ目は、「今が低金利だから固定金利が良い」というわけではないことです。今が低金利だと言え、こうした低金利がずっと続くと思えば変動金利で構いませんし、仮に金利が上昇したとしてもすぐに下がると予想したり、素早く固定金利に変更する自信がある人も変動金利で良いと思います。
専門家の方々はなぜか変動金利の「金利上昇リスクのみ」を取り上げがちですが、「低金利メリット」にもしっかり目を向けるべきですね。デメリットしかない金利タイプなどないですし、上記の通り最も人気があるのは変動金利タイプですから。
では具体的に住宅ローン利用者の方々の金利見通しはどうなっているかと言うと、同じ「民間住宅ローン利用者の実態調査」から抜粋するとこうなっています。
全体としてはこういうことですね。
・現状よりも上昇する : 29.1%
・ほとんど変わらない : 59.0%
・現状よりも低下する : 3.1%
・見当がつかない : 8.9%
「ほとんど変わらない」という人が6割となっている一方で、3割の人が「現状よりも上昇する」と金利上昇を心配していることが分かります。
では金利タイプ別ではどうかというとこうなっています。
<変動型>
・現状よりも上昇する : 21.0%
・ほとんど変わらない : 66.7%
・現状よりも低下する : 3.3%
・見当がつかない : 9.0%
<固定期間選択型>
・現状よりも上昇する : 32.7%
・ほとんど変わらない : 56.2%
・現状よりも低下する : 3.5%
・見当がつかない : 7.5%
<全期間固定型>
・現状よりも上昇する : 55.0%
・ほとんど変わらない : 32.5%
・現状よりも低下する : 1.0%
・見当がつかない : 11.5%
今後金利が「ほとんど変わらない」と考える方が「変動型」と「固定期間選択型」を選ぶ一方、「現状より上昇する」と考える方が「全期間固定型」を選ぶという、居心地のいい結果になっていますね!
細かく見れば「現状より上昇する」と考える方が変動型を選んだり、「ほとんど変わらない」と考える方が全期間固定型を選ぶなど、やや非合理的な選択をしているように見える方がいなくもないですが、「金利上昇リスク」をどうとらえるかで選択にゆがみが出てくるのでしょうね。
例えば、「金利はおそらく上昇しないけれど、金利上昇リスクにおびえたくないので全期間固定型を選ぶ」といったケースです。金利選択に正解はありませんし、損した・得したというのも結果論ですので、ご本人が納得されていれば全く問題ないと思います。
では最後に同調査から金融機関別の金利タイプのシェアを抜粋するとこうなります。
金融機関によってそのシェアに結構バラつきがあるということですね。顧客が金利観に基づき自由意思で選択しているならいいのですが、金融機関側の多少の誘導が影響しているのだとすると問題が残ります。
ご案内したように全体の金利タイプのシェアは以下の通りです。
・変動型 : 56.5%
・固定期間選択型 : 30.1%
・全期間固定型 : 13.3%
この割合に一番近いのは「銀行」ということになるでしょうか。
ネット銀行やネット申し込みなら100%顧客の自由意思だと思いますが、金融機関の店舗で相談する場合は、推奨された金利タイプが本当にご自分の金利観や金利見通し、ニーズにマッチしているものなのかどうか、再検証していただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>