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いつもご案内しているように、なぜ住宅ローン金利が史上最低水準まで低下しているかと言えば、日銀が「異次元緩和」によって金利を低く抑えているからです。
ではなぜ日銀が金利を低く抑えているかと言えば、景気を底支えし、長引くデフレから脱却するためですが、最も代表的な市場金利である長期金利の推移を見てみるとこうなっています。
実はこの低金利はこの5、6年で始まったわけではなく、80年代のバブル崩壊以降ずっと長期金利は低下してきたことが分かります。言い換えれば、日銀は30年近くずっと金融緩和を続けてきたわけで、それはつまり、「バブル崩壊以降、ずっと景気が悪く、デフレだった」ということですね。
つまり今後、市場金利が上昇するのも下落するのも、そして住宅ローン金利が上昇するのも下落するのも「日銀が金融緩和を続けるかどうか」次第であり、さらに言えば「物価が順調に上昇しデフレから脱却できるかどうか」にかかっています。
具体的には「インフレ率が日銀の目標である2%に到達するかどうか」がポイントとなってきますが、ではエコノミストなどの専門家の方々の今後の物価見通しはと言うと、日本経済研究センターの6月の「ESPフォーキャスト調査」
によればこうなっています。
消費税増税の影響を除いたインフレ率の平均予想はこういうことですね。
・2018年:0.94%
・2019年:0.88%
・2020年第1四半期:0.85%
つまり、集計した2020年3月末までの予測において、実質的なインフレ率は1%に届かないということです。もしこの予想が正しければ「住宅ローン金利は少なくとも2020年3月まで上昇しない」ということになります。
上記の通り、現状の金融政策が続く限り日銀がインフレ率2%に達成する前に異次元緩和を縮小させることはあり得ないからです。異次元緩和が縮小しないとすれば金利が上昇する余地はありません。
これから住宅ローンを借りようとされている方だけでなく、すでに住宅ローンを借りている方にとってもこのインフレ率予想は有用かと思いますが、一方で住宅ローンの金利タイプ選択において「3年予想では短すぎる」という指摘もあるかもしれません。
仮に5年後に金利が上昇するなら変動金利ではなく固定金利の選択が視野に入ってきますからね。
というわけで今回ご紹介するのは同じ「ESPフォーキャスト調査」でも、今後10年間のインフレ率の予測を集計した「長期予測」です。この調査は6月と12月の年2回実施されているようですね。なるほど。
その回答結果はこのようになっています。
インフレ率が2%に達していないのは一目瞭然ですが、消費税増税の影響を除いたインフレ率の推移予測はこうなっています。
・2015年〜2019年:0.44%
・2020年〜2024年:1.03%
・2025年〜2029年:1.17%
10年後の2019年度でもインフレ率は1.17%ということですから、現状の金融政策が継続されているとすれば目標に届いていないわけで、「異次元緩和終了に伴う金利上昇」は想定されていないということになります。
また、「2020年〜2024年」の5年間から「2025年〜2029年」の5年間のインフレ率の増加幅は1.03%→1.17%=+0.14%にとどまります。このペースでインフレ率の上昇が続くとしても、目標である2%に到達するのはその30年後、つまり「2055年〜2059年」の間ということですね!
もちろんこれは仮説に仮説を重ねた試算結果となりますし、金融政策は政治の要請によっても変化しますので、「2055年まで住宅ローン金利は上昇しない」とは口が裂けても言えませんが、とは言いつつ専門家の見通しとしては、少なくとも「2029年度まではインフレ率が2%に到達せず、住宅ローンは現状の低金利を維持する可能性が高い」と言えます。
「今は低金利なのでその内金利は上昇する」という根拠のない「煽り」よりはよっぽど信頼できますね。
加えてこうした専門家のインフレ率見通しは定期的に発表されていますので、万が一状況が変わったとしてもより早く知ることができます。
住宅ローン金利タイプの中でも特に金利が低い「変動金利「や「10年固定金利」を利用したくても、「金利上昇リスク」が気になる方はこうした専門家の見通しを有効活用することで、安心感が得られるかもしれませんね。
当サイトでも定期的にこうした専門家のインフレ率や金利の見通しをご案内していきたいと思いますので、気になる方はチェックしてみてください。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>