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住宅ローン金利はいつ上昇する?2018年7月発表の内閣府見通し

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2018年7月16日

1980年代のバブル崩壊以降、金利がずっと低下してきている主な理由は、日本銀行=日銀が積極的な金融緩和を実施してきているからですね。それに伴い、住宅ローン金利もずっと低下してきています。

つまり今後の住宅ローン金利が上昇するのも低下するのも「日銀の金融緩和次第」ということです。金融緩和が続く限り住宅ローン金利は低金利を維持する一方で、金融緩和が終了すれば住宅ローン金利は上昇に向かうというわけですね。

ではいつ金融緩和が終了するのか気になってくるわけですが、今はその基準も明確になっておりますのでとても分かりやすいですね。具体的には「物価上昇率=インフレ率が安定的に2%を超えてきた時」ということです。

では実際に金融政策をコントロールしている日銀の物価見通しはどうなっているかと言うと、「経済・物価情勢の展望レポート」の最新版=2018年4月発表分では以下のように予想しています。

・2017年度 : +0.7%
・2018年度 : +1.3%
・2019年度 : +1.8% ※増税の影響を除く
・2020年度 : +1.8% ※増税の影響を除く

しかし・・・このように物価が上昇していく可能性は「限りなくゼロ」と言ってよいと思います。と言うのも、この日銀の物価見通しは全く当てにならないのですね!黒田日銀スタート時の2013年春の段階で、「2年後に2%の物価上昇率達成」が公約だったわけですが、その約束は全く果たされないまま5年以上が経過しております。そして「2%目標達成時期」の記載はついに削除され、この「展望レポート」も下方修正が続いています。

先月発表の消費者物価指数も+0.7%にとどまるほか、値動きの激しい生鮮食品とエネルギーを除いた総合指数=コア指数は+0.3%と引き続き0%前後に低位安定しています。

>>>[2018年6月の消費者物価指数]総合指数は+0.7% 前月比+0.1%上昇  

つまりはもはやこの「展望レポート」は「日銀の見通し」ではなく「日銀の努力目標」あるいは「日銀の願望」くらいの意味しかないということです。ではこの日銀の物価見通しが当てにならないとして、他の専門家は今後の物価、そして金利についてどのような見通しを持っているのでしょうか?

ということで今回は内閣府が半年ぶりの7月9日に発表した「中長期の経済財政に関する試算」をチェックしてみたいと思います。「成長実現ケース」ではこうですね。



まず消費者物価を抜き出すと、前回と比較してこうなります。

・2017年度 : +0.7% → +0.7%
・2018年度 : +1.1% → +1.1%
・2019年度 : +2.1% → +1.5%
・2020年度 : +2.4% → +1.8%
・2021年度 : +2.0% → +1.9%
・2022年度〜 : +2.0% → +2.0%

半年経ってこちらも「下方修正」ということですね。

また、具体的な長期金利の推移はこういう見通しですね。こちらも前回と比較します。

・2017年度 : +0.0% → +0.0%
・2018年度 : +0.0% → +0.0%
・2019年度 : +0.0% → +0.0%
・2020年度 : +0.4% → +0.0%
・2021年度 : +0.9% → +0.3%
・2022年度 : +1.4% → +0.8%
・2023年度 : +2.0% → +1.4%
・2024年度 : +2.6% → +2.0%
・2025年度 : +3.2% → +2.6%
・2026年度 : +3.6% → +3.2%
・2027年度 : +3.8% → +3.5%

こちらも前回に引き続き広範囲に金利が引き下げられています。この半年で一体何があったのでしょうか・・・。

ちなみに上記の通り2022年度に消費者物価指数が目標の2%を達成するとすると、それ以降に金融緩和が縮小し、2024年度ごろに長期金利が2%になってくるというのは、ストーリーとしては辻褄が合っています。

しかしそれでも2026年度以降、長期金利が3%を超えてくるというのはさすがにないと思います。バブル崩壊以降、どれだけ積極的な財政支出を行っても、どれだけ積極的な金融緩和を行っても、ミニバブルが来ても、長期金利は下がり続け、特に2000年以降は2%を超えて上昇することはなかったわけですからね。



つまりはこの「成長実現ケース」もまた「内閣府の希望的観測」程度のものですね。信憑性はありません。

ただ内閣府もさすがに「希望的観測」だけではマズイということで、より現実的な見通しも一緒に発表しています。それが「ベースラインケース」で、具体的にはこういうことですね。



これまた抜き出すとこうなります。まず消費者物価。

・2017年度 : +0.7% → +0.7%
・2018年度 : +1.1% → +1.1%
・2019年度 : +1.7% → +1.5%
・2020年度 : +1.7% → +1.4%
・2021年度〜 : +1.1% → +1.1%

つまりは、インフレ率は永遠に「2%目標」に届かないということです。次に長期金利。

・2017年度 : +0.0% → +0.0%
・2018年度 : +0.0% → +0.0%
・2019年度 : +0.0% → +0.0%
・2020年度 : +0.3% → +0.0%
・2021年度 : +0.7% → +0.2%
・2022年度 : +1.2% → +0.7%
・2023年度 : +1.6% → +1.3%
・2024年度 : +1.9% → +1.8%
・2025年度 : +2.0% → +2.0%
・2026年度 : +2.1% → +2.1%
・2027年度 : +2.2% → +2.1%

どちらも「成長実現ケース」と同様に下方修正されていることが分かります。

またこの2つのシナリオを比較すれば当然、後者の「ベースラインケース」の方が信憑性はあるわけですが、2025年度まで「長期金利は2%に届かない」ということになり、現状の金利水準から見れば上昇するものの、引き続き低金利が維持されるということです。

ちなみに上記の通りインフレ率が「2%目標」に届かなければ、日銀は現状のイールドカーブコントロールを続けると考えるのが自然かと思いますが、そのイールドカーブコントロールにおいて長期金利の操作目標は現在「0%」に設定されており、そこから大きく乖離して上昇するとは考えにくいです。

実際、足元では長期金利の「上限」は概ね0.1%に設定されており、それを超えた場合は「指値オペ」によって物理的に長期金利が引き下げられている状態です。

そのような日銀による金利コントロールが続くと考えれば、インフレ率が2%に達しない限り長期金利は永遠に「−0.1%〜+0.1%」の範囲内で推移することになりますが、内閣府の金利見通しでは上記の通り2021年度には+0.2%、2022年度には+0.7%と、そうは言いつつ明確に上昇することが予想されています。

つまり前回もご案内したように、内閣は「日銀は2%のインフレ目標を達成できないにも関わらず、金融緩和策=イールドカーブコントロールを後退させる」ことを予想しているわけですね。その点では少なくともこの見通しにおいては内閣府の理解と日銀の説明は全く整合性が取れていません。

もちろん、これは単なる数字のアヤであり、そこまで真剣に整合性が取られたものではなく、限られた条件で少しでも明るい見通しを算出しようとした結果、金利にシワ寄せが来たということだとは思いますが、繰り返しになりますが「インフレ率が2%目標に届かず、イールドカーブコントロールを含めた日銀の異次元緩和が継続していく」とすれば長期金利の見通しはこのようになるはずです。

・2017年度 : −0.1%〜+0.1%
・2018年度 : −0.1%〜+0.1%
・2019年度 : −0.1%〜+0.1%
・2020年度 : −0.1%〜+0.1%
・2021年度 : −0.1%〜+0.1%
・2022年度 : −0.1%〜+0.1%
・2023年度 : −0.1%〜+0.1%
・2024年度 : −0.1%〜+0.1%
・2025年度 : −0.1%〜+0.1%
・2026年度 : −0.1%〜+0.1%
・2027年度 : −0.1%〜+0.1%

当サイトもこの見通しを支持します。いずれにしてもどの見通しを見ても今のところ金利上昇を過度に心配する必要はないということですね。

この内閣府の見通しも毎回発表されるたびにインフレ率も金利も下方修正されていますので尚更です。

また、より確実なのは毎月のインフレ率をチェックすることで、当サイトでも物価動向について随時ご案内しておりますので参考になさってください。

<日本住宅ローンプランニング編集部>

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