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ここ最近の住宅ローン金利の動向を振り返るとずっと安定的に推移してきました。これは現在実施されている日銀の「金利操作付金融緩和=イールドカーブコントロール」によって長期金利がおおむね「−0.1%〜0.1%」の範囲内でコントロールされてきたからです。
2017年の2月や7月に長期金利が一時的に0.1%を上回った時も、「指値オペ」によってすかさず0.1%以下に引き下げられました。今年の2月や7月にも同様に「指値オペ」が実施され、やはり日銀が目を光らせている間は「0.1%を上回る金利上昇」というのはなかなか無さそう・・・とご案内してきたわけですが。
7月末に日銀はこの長期金利の変動幅=「−0.1%〜0.1%」を2倍、つまり「−0.2%〜0.2%」に拡大すると発表しました。これは実質的には「長期金利の上昇」を意味しますので、今後は長期金利も住宅ローン金利も今の水準からプラス0.1%程度上昇していくことになりそうです。
では足元の長期金利はどうなっているかと言うとこのような推移になっています。
発表直後は節目である0.1%を超えた長期金利ですが、その後は日銀の「サプライズオペ」や「トルコショック」によって0.1%を下回ったままですね。本日の「+0.085%」という水準も「0.1%以下」です。
とは言いつつ繰り返しになりますが今回の「変動幅拡大」は実質的に「金利上昇」かと思いますので、長期金利も住宅ローン金利も折を見て上昇するものと思います。ご注意ください。
なお来月=9月の住宅ローン金利予測については以下記事にて詳しく述べておりますので参考になさってください。
>>>[2018年9月の住宅ローン金利予想] 変動は据え置き、固定は0.05%〜0.10%程度上昇へ
結論としては「固定金利タイプは+0.05%〜+0.10%程度上昇、変動金利は据え置き」としております。
とは言いつつ。
本題の9月のフラット35住宅ローン金利を予測するのはずっと簡単です。
と言うのも、フラット35金利のベースとなる住宅金融支援機構の「機構債」の条件がすでに発表されているからですね!したがってここから長期金利がどう動こうとも、少なくとも9月のフラット35金利はほぼ確定です。
と言うわけでその「機構債」金利から、9月のフラット35住宅ローンの金利を予想してみたいと思います。
ちなみにフラット35住宅ローンの金利は概ね以下のような金利の積み上げで決定されているようです。
1.ベース金利=機構債金利
+
2.住宅金融支援機構のフラット35事業運営コスト
+
3.販売金融機関のマージン
残念ながら上記2や3の詳細な内訳は分かりませんが、しかしこれらがほとんど変動しないとすれば、上記1、つまり機構債の条件の変化がそのまま出来上がりのフラット35金利の変化となります。
では具体的に今月=8月発行の機構債の条件はと言うと、前月7月と比較してこのように変化しています。
◆前月と今月の住宅金融支援機構債の発行条件
・0.39% → 0.44% (+0.05%上昇)
1ヶ月前の長期金利が「+0.030%」で本日は「+0.085%」と上昇したことから、それに準ずる形でこの機構債の金利も「+0.05%上昇」になったということですね。残念です・・・。
フラット35の金利としては最低水準にある楽天銀行をベースにするとこのように変化することになります(いずれも団信込の金利)。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(単純計算)
・フラット20金利 : 1.29% → 1.34% (+0.05%上昇)
・フラット35金利 : 1.34% → 1.39% (+0.05%上昇)
概ねこんなものだとは思いますが、念のためもう少し精度を高めるべく、過去6ヶ月の機構債の金利変動と、楽天銀行のフラット20、フラット35の金利変動をチェックするとこうなっています。
・2018年2月の機構債金利変動 : 0.46%→0.42%(−0.04%低下)
3月のフラット20金利 : 1.32% → 1.29% (−0.03%低下)
3月のフラット35金利 : 1.40% → 1.36% (−0.04%低下)
・2018年3月の機構債金利変動 : 0.42%→0.40%(−0.02%低下)
4月のフラット20金利 : 1.29% → 1.30% (+0.01%上昇)
4月のフラット35金利 : 1.36% → 1.35% (−0.01%低下)
・2018年4月の機構債金利変動 : 0.40%→0.40%(据え置き)
5月のフラット20金利 : 1.30% → 1.30% (据え置き)
5月のフラット35金利 : 1.35% → 1.35% (据え置き)
・2018年5月の機構債金利変動 : 0.40%→0.42%(+0.02%上昇)
6月のフラット20金利 : 1.30% → 1.31% (+0.01%上昇)
6月のフラット35金利 : 1.35% → 1.37% (+0.02%上昇)
・2018年6月の機構債金利変動 : 0.42%→0.39%(−0.03%低下)
7月のフラット20金利 : 1.31% → 1.29% (−0.02%低下)
7月のフラット35金利 : 1.37% → 1.34% (−0.03%低下)
・2018年7月の機構債金利変動 : 0.39%→0.39%(据え置き)
8月のフラット20金利 : 1.29% → 1.29% (据え置き)
8月のフラット35金利 : 1.34% → 1.34% (据え置き)
フラット35・フラット20の金利は機構債の金利に概ね連動していることが分かります。
とは言いつつ念のため前回条件決定日である7月20日の市場金利を本日の金利と比較してみたいと思います。
・ 5年もの金利 : −0.107% → −0.076% (+0.031%上昇)
・10年もの金利 : 0.034% → 0.104% (+0.070%上昇)
・15年もの金利 : 0.255% → 0.363% (+0.108%上昇)
・20年もの金利 : 0.479% → 0.616% (+0.137%上昇)
・30年もの金利 : 0.683% → 0.834% (+0.151%上昇)
恐らくフラット35・フラット20の平均残存期間はそれぞれ15年・10年といった感じかと思いますので、15年もの金利・10年もの金利が参考になりそうですが、10年もの金利は「15年もの金利よりやや小幅に上昇」ということですね。6月の金利上昇局面でもフラット20の金利上昇幅はフラット35と比較して少し下回っています。
そうしたわけで当サイトの9月のフラット35金利予測はこう結論づけたいと思います。
◆楽天銀行のフラット35金利と来月の金利予測(最終結論)
・フラット20金利 : 1.29% → 1.33% (+0.04%上昇)
・フラット35金利 : 1.34% → 1.39% (+0.05%上昇)
少し差をつけてみましたが果たして当たるでしょうか・・・。
ちなみにこの予測に楽天銀行の金利を利用しているのは、楽天銀行のフラット35は、金利+手数料のトータルコストが最低水準だからです。同じフラット35でも銀行によって金利や手数料が異なりますのでご注意ください。
また、上記金利はあくまで「予測」ですので、実際の金利は来月1日以降に正式発表されてからご確認いただければと思います。
>>>フラット35の最新金利について詳しくはこちら
なお、このフラット35、フラット20、そして機構債の金利推移をグラフにするとこのような感じになります。
上記の通り2017年10月の金利上昇は例外として、過去6年間の平均値を見る限り、フラット35・フラット20の金利変動と、機構債の金利変動との間に大きな差はありません。つまり概ね連動してきたということです。
そして今月=8月の機構債の金利は上昇しましたので、残念ながら「9月のフラット35・フラット20住宅ローン金利も同じように上昇する」ということですね。
参考になさってください。
みなさんが来月も最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。
<日本住宅ローンプランニング編集部>