※当サイトには広告リンクが含まれています。
10月となりました。9月末=期末も過ぎ、住宅市場も住宅ローン市場も一旦閑散期に入ってきそうです。
ただ来年秋の消費税増税まで残り1年を切りました。そろそろ駆け込み需要が顕在化してきてもいいと思いますが、果たしてどうなるでしょうか?
当サイトとしては「駆け込み需要」を肯定しているわけではありませんが、各銀行の住宅ローン戦略にも影響してくると思いますので注目しておきたいと思います。
ではいつものようにこれまでの金利動向を振り返ってみたいと思います。上記グラフの通り長期金利は基本的には右肩下がりだったわけですが、特に2016年1月末に発表された「マイナス金利政策」の影響で大きく低下しました。
ただ一方で2016年秋以降は一転してジワジワ上昇してきていますね。そのキッカケは2016年7月末に発表された「追加金融緩和」が期待外れに終わったことです。同時に検討が発表された「金融緩和の総括」に対する懸念もあったのかもしれません。
さらに2016年11月のアメリカ大統領選挙においてトランプ氏が勝利したことでアメリカの金利が上昇し、それにつられる形で日本の長期金利はさらに上昇しました。
ではその後の日本の長期金利はどうなっているかと言うと・・・2017年以降はそうした金利上昇も一服し、極めて安定的に推移してきたことが分かります。いきなり「無風」状態となったわけですね。
金利が低位安定しているのであれば、住宅ローン利用者としては安心できるわけですが、その背景にあるのは日銀の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」、別名「イールドカーブコントロール」です。
これは「日銀が直接的に市場金利をコントロールしていく」金融政策ですが、この枠組みの元で現状の長期金利の操作目標は「0%」に設定されており、具体的には長期金利が「−0.1%〜0.1%の間」に収まるようコントロールされてきました・・・が。
7月31日の金融政策決定会合後にこの「−0.1%〜+0.1%」という長期金利の変動レンジがあっさりその「2倍」、つまり「−0.2%〜+0.2%」に拡大されたのですね!長期金利の上限がこれまでの「+0.1%」から「+0.2%」に変更されたわけですから、市場金利にも住宅ローン金利にも上昇圧力が加わることになります。
過去1年の長期金利のグラフはこういった形になっています。
本日の長期金利は「0.125%」ということで先月のこの時期の「0.115%」からわずかに上昇しています。8月以降の動きだけを見れば右肩上がりで上昇している状況ではありませんが、それでも「上限変更前」と比較すると明らかに上昇しており、今後タイミングを見計らって上昇していくものと思います。
ただ上昇すると言っても従来の水準から+0.1%程度なわけですし、長期金利が0.2%を超えて上昇することはないでしょうから実質的に大きな変化があるわけではありません。
加えて同時に開始された「フォワードガイダンス」によって、今の低金利が「当分の間維持される」ことが約束されましたので、むしろ安心してもいいくらいなのかもしれませんが、しばらく住宅ローン市場はざわつくことになりそうです。
そのような金利環境を理解した上で、具体的に三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行の大手銀行=メガバンクの10月の住宅ローン金利をチェックするとこのような結果となっています。
・変動金利 : 据え置き
・10年固定金利 : 据え置き
・20年固定金利 : 据え置き
・30年固定金利 : 据え置き〜+0.02%引き上げ
長期金利は1ヶ月前と比較すると上記の通りわずかに上昇しましたが、その上昇幅が大きくなかったからか「全体的に据え置き」と言う状況ですね。
なお 先日の当サイトのコラムでは「10月の住宅ローン金利は変動金利タイプも固定金利タイプも据え置き」と予想しましたが、概ね当たったと言えそうです。手前味噌で恐縮ですが・・・。
>>>[10月の住宅ローン金利予想] 長期金利の上昇ペースは意外に遅く、変動も固定も据え置きへ
[2018年10月の住宅ローン金利]
上記ご案内したように、メガバンクの10月の住宅ローン金利は
・変動金利 : 据え置き
・10年固定 : 据え置き
・20年年固定 : 据え置き
・30年年固定 : 据え置き〜わずかに上昇
と言った動きになりました。
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
具体的な金利をチェックしていくと、フラット35・20の金利は別のコラムにて既にご案内しておりますがこうなりました。
・フラット20金利 : 1.31% → 1.33% (+0.02%上昇)
・フラット35金利 : 1.39% → 1.41% (+0.02%上昇)
>>>最新のフラット35の金利はこちら(楽天銀行)
先日のフラット35・20の金利予測では
・フラット20金利 : 1.31% → 1.34% (+0.03%上昇)
・フラット35金利 : 1.39% → 1.42% (+0.03%上昇)
と予想しました。フラット35もフラット20も微妙に外しましたね・・・残念です。
>>>[10月のフラット35金利予想] 前月比+0.03% フラット35表面金利1.42%?
次に民間の住宅ローンをチェックすると、いつものように当サイトで人気の住信SBIネット銀行と、日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行の、先月と今月の住宅ローン金利の推移はこのようになっています。
◆住信SBIネット銀行(住宅ローンWEB申込コース)
・変動金利 : 0.428%〜0.457% → 0.428%〜0.457% (据え置き)
・10年固定 : 0.860% → 0.860% (据え置き)
・20年固定 : 1.310% → 1.360% (+0.05%上昇)
・30年固定 : 1.590% → 1.640% (+0.05%上昇)
>>>最新の金利はこちら
◆三菱UFJ銀行(保証料を加えた実質金利)
・変動金利 : 0.725% → 0.725% (据え置き)
・10年固定 : 1.000% → 1.000% (据え置き)
・20年固定 : 3.000% → 3.000% (据え置き)
・30年固定 : 1.840% → 1.840% (据え置き)
>>>最新の金利はこちら
残念ながら住信SBIネット銀行は20年・30年固定金利を引き上げているわけですね。
さてこちらも当サイトで人気の新生銀行の10月の住宅ローン金利はと言うと以下の通りです。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.600% → 0.600% (据え置き)
・10年固定 : 1.100% → 1.100% (据え置き)
・20年固定 : 1.600% → 1.600% (据え置き)
・30年固定 : 2.050% → 2.050% (据え置き)
こちらは全て据え置きですね。
加えて「新しく住宅を購入される方向け」のキャンペーンが提供されており、それを利用すれば金利はこのようになります。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.600% → 0.550% (−0.05%低下)
・10年固定 : 1.100% → 1.050% (−0.05%低下)
・20年固定 : 1.600% → 1.550% (−0.05%低下)
・30年固定 : 2.050% → 2.000% (−0.05%低下)
>>>最新の金利はこちら
なお新生銀行は、万が一の時の保障や返済停止機能を組み合わせた「安心パック」を付加するなど、金利競争以外のサービス拡充にも注力しています。住宅ローンの金利や手数料だけでなく、そうした付加価値についても目を向けてみると、また違った住宅ローン選びができるかもしれませんね。ちなみにこのサービスは日経新聞が選定した新商品・新サービスの中で、最優秀賞を受賞したようです。
また、10年以上経過すると徐々に金利が下がっていき、最大で50%ダウン=半分となる金利タイプ「ステップダウン型金利」の発売を開始しています。ユニークですね!長期固定金利の住宅ローンの利用を考えている方は参考にしてみてください。
[2018年11月以降の住宅ローン金利の動向]
気になる今後の住宅ローン金利の動向ですが、上記の通り長期金利の「0.2%までの上昇」が容認されましたので、当面は住宅ローン金利についても上昇圧力が加わることになると思われます。
ただしそれはあくまで住宅ローン金利の中でも「固定金利」の話ですね。
住宅ローン「変動金利」については、長期金利ではなく短期金利と連動しますが、その短期金利は引き続き「−0.1%」程度になるようコントロールされていくと言明されていますので今回の長期金利上昇の影響を受けません。
さらに「フォワードガイダンス」によって当分の間、低金利が維持されることが「約束」されているわけですから、今は変動金利が狙い目と言えそうです。金利上昇リスクが後退するなら、変動金利を選ばない手はありませんからね。
人気が拡大していると言われている住宅ローン変動金利ですが、今回の日銀の発表によってさらに人気が高まりそうですね。
ここで今後の「本格的な」金利上昇の可能性を考えると、カギとなるのは物価です。
政府や日銀は、物価上昇=インフレの状態にするためにあらゆる金融政策を取っているわけですが、景気回復と相まっていよいよ本当にインフレになってくれば、頼みの綱である「異次元の金融緩和」も縮小に向かいますので、実需と金融政策の両面から金利上昇の機運が高まることになります。
では足元の物価動向はと言うと、多少上昇しているものの金融緩和を縮小・終了させるにはまだまだ力不足です。
そうでなくても少子化が続く日本で本当にインフレとなるのか疑問を感じなくもありません。最近の物価動向は以下の通りです。
政府や日銀が目指すように日本経済が本格的なインフレ経済に変貌するとしても、時期としてはかなり先のことであるのは間違いなさそうですね。まさに「フォワードガイダンス」の通りです。
長期金利の2000年からの推移を振り返ってみたいと思います。
■長期金利グラフ
このグラフから「金利上昇の教訓」を探ろうとすれば、前回の景気回復が始まった2003年に長期金利は0.435%の最低金利をつけた後、急速に上昇し、1.5%前後にまで実に1%近く上がったことが分かります。
仮に今後、景気回復が順調に進むのであれば、金利についても同じ様に+1.0%程度上昇する可能性がある、ということを示唆しております。
今のところ、慌てたり、焦ったりする必要は全くありませんし、逆に低金利が常態化した日本では「金利が上昇したとしてもその程度」とも言えるわけでむしろ安心しても良いという気すらしますが、とは言いつつ住宅ローン金利が低いのに越したことはありません。
住宅ローンをご検討の方は、そうした将来的な金利上昇リスクを頭の「片隅の片隅」に入れていただければと思います。少なくとも固定金利については+0.1%程度上昇するのは確実そうですしね。
[今月の住宅ローン金利レンジ]
最後に、今月の具体的な住宅ローン金利のレンジをチェックするとこのようになっています。
■2018年10月の住宅ローン金利状況(実質金利)
・変動金利 :0.428%〜2.675%
・10年固定:0.69%〜3.95%
・20年固定:1.10%〜3.00%
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
やはりこうして見ると、今まで考えられなかったような、極めて魅力的な金利水準ですね!多少上がるかもしれないとしても、長期金利も住宅ローン金利も「史上最低水準」であるのは間違いありません。着実に超低金利のメリットを享受いただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>