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来年秋の消費税増税までいよいよ残り1年を切りました。今のところ住宅販売が好調になっているという話は聞きませんが、駆け込み需要は起こるのでしょうか?
ちなみに消費税増税が住宅市場への「追い風」だとすると(増税後には反動減が来るのでしょうけれど)、「逆風」となるかもしれないのが、長期金利の上昇傾向ですね。2016年秋に日銀が金利水準を直接コントロールするイールドカーブコントロールを始めてから安定的に推移してきた長期金利ですが、ここ最近は上昇傾向となっています。
その理由は7月末に日銀が長期金利の「上限」を従来の0.1%から0.2%に引き上げると発表したからですね。今のところまだ長期金利は0.15%といった水準ですが、それでも以前の水準からはかなり上昇してきました。
早晩0.2%に近づいていくと思いますので、今後住宅ローン金利があと0.1%程度上昇する可能性についてはご留意ください。
なおいつもご案内しているようにそのように金利が上昇する可能性があるのはあくまで住宅ローンの中でも「固定金利」の方ですね。「変動金利」の方はベースとなる短期金利が低位安定していますので上昇の余地はあまりありません。
日銀のフォワードガイダンスによって金利上昇の可能性も後退しておりますし、長期金利の上昇傾向が気になる方は住宅ローンの「変動金利」をご活用ください。
さてそのように金利がわずかながら上昇傾向を示す中で、住宅ローンの貸し出し状況がどうなっていくか興味が湧くわけですが、そうした「住宅ローン人気」をタイムリーに知ることができるデータが、住宅金融支援機構が3ヶ月に1回発表する「業態別の住宅ローン新規貸出額」調査です。その最新版=2018年4月〜6月期の結果が発表されていますので早速チェックしてみるとこうなっています。
すでに先日のコラムで日銀のデータから減少傾向であることは分かっていましたが、日銀のデータに含まれていない業態の数値を合算してもやはり減少傾向であるということですね。
>>>2017年度と2018年4月〜6月期の住宅ローン新規貸出額は減った?増えた?
上記の通り今回の調査期間に含まれていない7月末から長期金利の上昇傾向が始まったことを勘案すれば、消費税増税に向けての駆け込み需要が始まるまでは住宅ローンの新規貸し出しは苦戦することになりそうです。
ちなみに貸出額1,000億円以上の主要業態ではこういうことになります。
・国内銀行 : −3.6%
・信用金庫 : −12.7%
・労働金庫 : +11.8%
・住宅金融支援機構 : −13.6%
いつものようになぜか労働金庫が増加していますが、それ以外はやはり全体的に苦戦していますね。特に信用金庫やフラット35(住宅金融支援機構)は1割超の減少ですから「大苦戦」と言えそうです。
ではこれまでの新規貸出額の推移をチェックしてみるとこうなります。
ただこのように時系列で並べてみると随分と印象が変わりますね。確かに前年より減少していますが、2014年や2015年の実績と比べるとそれらを上回っていることが分かります。要するに2016年1月に発表されたマイナス金利政策の影響が大きかったということなのでしょうね。
その点では今回の住宅ローンの新規貸し出しの水準は「苦戦」というより「巡航速度に戻ってきた」と言えそうです。
では次にフラット35の貸出額と長期金利の推移をチェックしてみるとこうなります。
こちらも傾向としては全体のトレンドと変わりませんね。「苦戦」というより「平常時に戻ってきた」ということです。
ただそうは言いつつ足元の長期金利の上昇傾向は気になりますね。フラット35には全期間固定金利しかありませんのでより大きな逆風を受けることになります。
仮に長期金利が0.2%に上昇したとしても上記グラフの通り2016年1月の水準よりは低いのですが・・・。果たしてどうなるのでしょうか。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>