長期金利は前月の−０．０４０％から−０．０２５％に上昇。

ここ最近の住宅ローン金利の動向を振り返るとずっと安定的に推移してきました。これは現在実施されている日銀の「金利操作付金融緩和＝イールドカーブコントロール」によって長期金利がおおむね「−０．１％〜０．１％」の範囲内でコントロールされてきたからです。

しかし２０１８年７月末に日銀はこの長期金利の変動幅＝「−０．１％〜０．１％」を２倍、つまり「−０．２％〜０．２％」に拡大すると発表しました。これは実質的には「長期金利の上昇」を意味しますので、今後長期金利は０．２％を目指して上昇し、住宅ローン金利も相応に上昇していくと思われたわけです・・・が。

過去１年の長期金利の推移はどうなっているかと言うとこうなっています。



予想通り上昇し、一旦０．１５％を超えた長期金利ですが、その後は逆に下落傾向ですね！本日は「−０．０２５％」ということで引き続きマイナス水準です。

先月のこの時期の「−０．０４０％」から見れば上昇している他、足元では反転の兆しがある点は気になるものの、それでもこのように金利が下がったことはありがたいことですね。

ではなぜこのように金利が低下しているかと言うと、先月もご案内したように世界的に金利が低下しているからです。アメリカの長期金利はこうなっています。



金利水準は違えど、動き自体は日本の長期金利とほぼシンクロしていることが分かります。

ＦＲＢの予想外の「利上げ停止」宣言を受けて、市場は「金融相場」の様子を呈しており、今後「株高→金利高」の動きが起こってくるかもしれませんが、それでも全体的な基調としては低金利が維持されるものと思います。

住宅ローンの検討を進めるには良いタイミングですね。

なお来月＝５月の住宅ローン金利予測については以下記事にて詳しく述べておりますので参考になさってください。

＞＞＞［2019年5月の住宅ローン金利予想］　変動も固定も据え置き　上昇するとしても＋０．０２％程度

結論としてはタイトル通り「変動金利は据え置き、固定金利タイプも概ね据え置き。上昇するとしても＋０．０２％程度。」としています。果たしてどうなるでしょうか。

とは言いつつ。

本題の５月のフラット３５住宅ローン金利を予測するのはずっと簡単です。

と言うのも、フラット３５金利のベースとなる住宅金融支援機構の「機構債」の条件がすでに発表されているからですね！したがってここから長期金利がどう動こうとも、少なくとも５月のフラット３５金利はほぼ確定です。

と言うわけでその「機構債」金利から、５月のフラット３５住宅ローンの金利を予想してみたいと思います。

ちなみにフラット３５住宅ローンの金利は概ね以下のような金利の積み上げで決定されているようです。

１．ベース金利＝機構債金利
　　　　　＋
２．住宅金融支援機構のフラット３５事業運営コスト
　　　　　＋
３．販売金融機関のマージン

残念ながら上記２や３の詳細な内訳は分かりませんが、しかしこれらがほとんど変動しないとすれば、上記１、つまり機構債の条件の変化がそのまま出来上がりのフラット３５金利の変化となります。

では具体的に今月＝４月発行の機構債の条件はと言うと、前月３月と比較してこのように変化しています。

◆前月と今月の住宅金融支援機構債の発行条件

　・０．３１％　→　０．３３％　（＋０．０２％上昇）

１ヶ月前の長期金利が上記の通り「−０．０４０％」で本日は「−０．０２５％」と上昇しましたが、この機構債の金利もそれに準じて「＋０．０２％上昇」になったということですね！

フラット３５の金利としては最低水準にある楽天銀行をベースにするとこのように変化することになります（いずれも団信込の金利）。

◆楽天銀行のフラット３５金利と来月の金利予測（単純計算）

　・フラット２０金利　：　１．２１％　→　１．２３％　（＋０．０２％上昇）
　・フラット３５金利　：　１．２７％　→　１．２９％　（＋０．０２％上昇）

変動幅が小さいこともあり概ねこんなものだとは思いますが、念のためもう少し精度を高めるべく、過去６ヶ月の機構債の金利変動と、楽天銀行のフラット２０、フラット３５の金利変動をチェックするとこうなっています。

・２０１８年１０月の機構債金利変動　：　０．４７％→０．５０％（＋０．０３％上昇）

　１１月のフラット２０金利　：　１．３３％　→　１．３５％　（＋０．０２％上昇）
　１１月のフラット３５金利　：　１．４１％　→　１．４５％　（＋０．０４％上昇）

・２０１８年１１月の機構債金利変動　：　０．５０％→０．４６％（−０．０４％低下）

　１２月のフラット２０金利　：　１．３５％　→　１．３２％　（−０．０３％低下）
　１２月のフラット３５金利　：　１．４５％　→　１．４１％　（−０．０４％低下）

・２０１８年１２月の機構債金利変動　：　０．４６％→０．３８％（−０．０８％低下）

　１月のフラット２０金利　：　１．３２％　→　１．２６％　（−０．０６％低下）
　１月のフラット３５金利　：　１．４１％　→　１．３３％　（−０．０８％低下）

・２０１９年１月の機構債金利変動　：　０．３８％→０．３６％（−０．０２％低下）

　２月のフラット２０金利　：　１．２６％　→　１．２５％　（−０．０１％低下）
　２月のフラット３５金利　：　１．３３％　→　１．３１％　（−０．０２％低下）

・２０１９年２月の機構債金利変動　：　０．３６％→０．３２％（−０．０４％低下）

　３月のフラット２０金利　：　１．２５％　→　１．２２％　（−０．０３％低下）
　３月のフラット３５金利　：　１．３１％　→　１．２７％　（−０．０４％低下）

・２０１９年３月の機構債金利変動　：　０．３２％→０．３１％（−０．０１％低下）

　４月のフラット２０金利　：　１．２２％　→　１．２１％　（−０．０１％低下）
　４月のフラット３５金利　：　１．２７％　→　１．２７％　（変わらず）

フラット３５・フラット２０の金利は機構債の金利に概ね連動していることが分かります。

とは言いつつ念のため前回条件決定日である３月２０日の市場金利を本日の金利と比較してみたいと思います。

・　５年もの金利　：　−０．１７１％　→　−０．１３８％　（＋０．０４０％上昇）
・１０年もの金利　：　−０．０３７％　→　　−０．００９％　（＋０．０２８％上昇）
・１５年もの金利　：　　０．１９０％　→　　０．２０９％　（＋０．０１９％上昇）
・２０年もの金利　：　　０．３９３％　→　　０．３９８％　（＋０．００５％上昇）
・３０年もの金利　：　　０．５６７％　→　　０．５６６％　（−０．００１％低下）

恐らくフラット３５・フラット２０の平均残存期間はそれぞれ１５年・１０年といった感じかと思いますので、１５年もの金利・１０年もの金利が参考になりそうですが、１０年もの金利は「１５年もの金利よりほんの少し上昇幅が大きい」ということですね。

こうした差を考慮して、当サイトの５月のフラット３５金利予測はこう結論づけたいと思います。

◆楽天銀行のフラット３５金利と来月の金利予測（最終結論）

　・フラット２０金利　：　１．２１％　→　１．２４％　（＋０．０３％上昇）
　・フラット３５金利　：　１．２７％　→　１．２９％　（＋０．０２％上昇）

大きく外すことはないとは思いますが、果たしてどうなるでしょうか。

ちなみにこの予測に楽天銀行の金利を利用しているのは、楽天銀行のフラット３５は、金利＋手数料のトータルコストが最低水準だからです。同じフラット３５でも銀行によって金利や手数料が異なりますのでご注意ください。

また、上記金利はあくまで「予測」ですので、実際の金利は来月１日以降に正式発表されてからご確認いただければと思います。

＞＞＞フラット３５の最新金利について詳しくはこちら

なお、このフラット３５、フラット２０、そして機構債の金利推移をグラフにするとこのような感じになります。



２０１７年１０月の制度変更（金利が団信込になりました）に伴う金利上昇は例外として、過去７年間の平均値を見る限り、フラット３５・フラット２０の金利変動と、機構債の金利変動との間に大きな差はありません。つまり概ね連動してきたということです。

そして今月＝４月の機構債の金利はわずかに上昇しましたので、「５月のフラット３５・フラット２０住宅ローン金利も同じようにわずかに上昇するだろう」ということですね。

参考になさってください。

みなさんが来月も最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。

＜日本住宅ローンプランニング編集部＞