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これまで安定して推移してきた住宅ローン金利ですが、気になる動きが昨年夏以降の長期金利の上昇傾向です。
日銀は2016年秋に開始されたイールドカーブコントロールによって長期金利を概ね「−0.1%〜0.1%」の範囲内に収まるよう操作してきましたが、2018年7月末にこれを「−0.2%〜0.2%」に拡大しました。
つまり長期金利の上限が0.1%から0.2%に上がったのですね。これまでの「重し」が軽くなったために長期金利は上昇を始めたわけですが、ではその後の長期金利はどうなったかと言うとこうなっています。
確かに長期金利の「変動幅拡大」以降上昇した長期金利ですが、そうした金利上昇も秋には終わり、逆に2018年10月以降長期金利は急降下していることが分かります。今や長期金利は再びマイナス水準ですね!これは主に世界的な金利低下の影響を受けてのことですが、住宅ローン利用者としてはうれしい誤算と言えそうです。
こうした市場金利の低下を受けて住宅ローン金利もジワジワ低下を続けていますが、加えて住宅ローン市場にとってそろそろ追い風となってきそうなのが、今年10月に迫った消費税の再増税です。
すでに十分な「増税対策」が発表され、多くの方は「増税後に買った方がむしろお得」とも言える状況ですが、とは言えこれまでの例に倣えば一定の「駆け込み需要」が起こるのは間違いなさそうです。
そうした住宅ローン市場の動きを把握する上で役立つのが、3ヶ月に1度発表される日銀の「主要銀行貸出動向アンケート調査」ですね。今回は調査期間が2019年3月11日〜2019年4月10日となっており、2019年第1四半期=2019年1月〜2019年3月の動向が概ね反映されております。
では早速今月発表された最新の数値をチェックしてみたいと思います。気になる個人の資金需要=ローン需要を見てみるとこのようになっています。
「個人向け」の欄を見てみると指数は3ヶ月前の「3」から変わらずです。回答金融機関の内訳はこうです。
・やや増加:3%
・横ばい:47%
「減少」と回答している金融機関はないということですね。
次にその個人の資金需要を「住宅ローン」と「消費者ローン」に分けてみるとこうなります。
抜き出すと前回と比較してこういうことになります。
・住宅ローン:5→5
・消費者ローン:0→−1
やはり住宅ローンの需要の動向に変化なしということですね。内訳はこのようになっています。
・増加:2%
・やや増加:6%
・横ばい:92%
増加傾向を維持しているのは間違いありませんが、上記の通り「久しぶりのマイナス金利」と「駆け込み需要」という追い風に加え、3月の期末というタイミングを考えればちょっと物足りない結果のような気もしますね。
ちなみに「今後3ヶ月予測」はこのようになっています。
こちらも前回の「4」から「4」で変わらずです。
では金融機関の貸出スタンスはどうなっているかと言うと、まず過去3ヶ月はこう。
前回が「1」で今回も「1」ですから貸出姿勢も変わらずということです。その内訳をみるとこうなります。
・積極化:2%
・やや積極化:4%
・ほぼ不変:90%
・やや慎重化:2%
・慎重化:2%
回答した50の金融機関の中で2つが「慎重化」と回答している点は少し気になるところです。
最後に貸出スタンスの「今後3ヶ月予測」はこう。
こちらは意外にも前回の「4」から「2」へと少しスローダウンする予測です。内訳はこうです。
・積極化:2%
・やや積極化:6%
・ほぼ不変:88%
・やや慎重化:2%
・慎重化:2%
やはり2つの金融機関が「慎重化」と回答しているわけですね。現在の金融環境を考えれば個人向け貸し出しにブレーキをかける状況ではないと思いますが、それでも慎重化ということは・・・これは住宅ローンではなく消費者ローンなど、他のローンが念頭にあるのかもしれませんね。
しかし繰り返しになりますが、全体を通して「増税前の駆け込み需要」の様子が伺えなかったのは意外ですね!
十分な「増税対策」が消費者に浸透した、という解釈もできるのかもしれませんが、個人的にはそれはどうかな?とも思います。
いよいよ住宅ローンの新規需要がほぼ掘り起こされたということなのか、それとももう少し10月に近づかないと動きが出て来ないということなのか・・・どちらもありそうですね。注目したいと思います。
ただ住宅ローン利用者の立場で言えば、駆け込み需要の有無はほとんど関係ないですね。金融機関の貸出姿勢は概ね変化なし=積極姿勢が維持されていると考えていいと思いますし、上記の通り市場金利が大きく低下し、再びマイナス水準まで低下しているのもチャンスです。
近々、住宅ローンの借入や借換を検討されている方はこの機会を活かしていただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>