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7月となりました。夏のボーナスが支給されるこのタイミングは、住宅ローンに対する関心も高まりそうですね。新規借り入れするにも借り換えするにも良いタイミングです。
折しも市場金利が大きく低下しており、さらには秋の増税も徐々に近づいているわけで、住宅ローン市場に何重もの追い風が吹いているわけですが、まずはこれまでの動きを振り返ってみたいと思います。
上記グラフの通り長期金利はこれまで基本的には右肩下がりだったわけですが、特に2016年1月末に発表された「マイナス金利政策」の影響で大きく低下しました。
しかし細かく見ると、2016年秋以降は一転して上昇しています。そのキッカケは2016年7月末に発表された「追加金融緩和」が期待外れに終わったことです。同時に検討が発表された「金融緩和の総括」に対する懸念もあったのかもしれません。
ではその後の日本の長期金利はどうなっているかと言うと2017年以降はそうした金利上昇も一服し、極めて安定的に推移してきたことが分かります。
その背景にあるのは2016年秋から日銀の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」、別名「イールドカーブコントロール」が始まったことです。これは「日銀が直接的に市場金利をコントロールしていく」金融政策ですが、この枠組みの元で長期金利の操作目標は「0%」に設定されており、具体的には長期金利は「−0.1%〜0.1%の間」に収まるようコントロールされてきたわけですね。
ただ気になる動きとなったのが、2018年7月末の金融政策決定会合で、日銀が長期金利の変動幅をこれまでの「−0.1%〜+0.1%」から「−0.2%〜+0.2%」に拡大したことです。長期金利の上限がこれまでの「+0.1%」から「+0.2%」に変更されたわけですから、市場金利にも住宅ローン金利にも上昇圧力が加わると懸念されました。
では実際にどうなったかと過去1年の長期金利のグラフでチェックしてみるとこうなっています。
確かに変動幅拡大直後は上昇した長期金利も、2018年秋以降は一転して低下傾向が鮮明ですね!本日の長期金利は「−0.145%」と結構なマイナス水準に低下しています。
これは昨年10月以降、世界の株価が大きく崩れたことに加え、最近ではアメリカの利下げ観測が広がっていることが要因として挙げられます。アメリカの長期金利は過去1年でこのようになっています。
こうした海外の金利動向の影響を受けて日本の金利も低下しているということですね。
金利が下がることは住宅ローン利用者としては歓迎ですが、ただ今のところ好調な実体経済を踏まえれば、しばらくすると金利が再上昇する可能性もあり、楽観はできないところです。
長い沈黙を破り動き出した感のある長期金利ですが、果たしてこのまま下限である−0.2%に向かうのか、一転して新たな上限である+0.2%に向かうのか注目です。
そのような金利環境を理解した上で、具体的に三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行の大手銀行=メガバンクの7月の住宅ローン金利をチェックするとこのような結果となっています。
・変動金利 : 据え置き
・10年固定金利 : −0.10%引き下げ〜−0.05%引き下げ
・20年固定金利 : −0.10%引き下げ〜−0.03%引き下げ
・30年固定金利 : −0.10%引き下げ〜−0.06%引き下げ
長期金利はこの1ヶ月で大きく下落しましたが、メガバンクの金利は「固定金利が全面的に低下」と言うことですね。概ね市場金利の動きに則ったものと言えます。
なお 先日の当サイトのコラムでは「7月の住宅ローン金利は変動金利タイプは据え置き、固定金利タイプは全面的に引き下げ。20年・30年固定金利は−0.1%以上の金利低下も。」と予想しました。
それなりに当たっていたと言えそうですね。手前味噌ですが・・・。
>>>[7月の住宅ローン金利予想] 固定金利は全面的に引き下げ 20年・30年固定は−0.1%以上低下も
[2019年7月の住宅ローン金利]
上記ご案内したように、メガバンクの7月の住宅ローン金利は
・変動金利 : 据え置き
・10年固定 : 低下
・20年年固定 : 低下
・30年年固定 : 低下
と言った動きになりました。
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
具体的な金利をチェックしていくと、フラット35・20の金利は別のコラムにて既にご案内しておりますがこうなりました。
・フラット20金利 : 1.21% → 1.12% (−0.09%低下)
・フラット35金利 : 1.27% → 1.18% (−0.09%低下)
>>>最新のフラット35の金利はこちら(楽天銀行)
先日のフラット35・20の金利予測では
・フラット20金利 : 1.21% → 1.12% (−0.09%低下)
・フラット35金利 : 1.27% → 1.17% (−0.10%低下)
と予想しました。珍しくフラット20の方は当たる一方で、フラット35の方は外しましたね・・・残念です。
>>>[7月のフラット35金利予想] 前月比−0.10% フラット35表面金利1.17%?
次に民間の住宅ローンをチェックすると、いつものように当サイトで人気の住信SBIネット銀行と、日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行の、先月と今月の住宅ローン金利の推移はこのようになっています。
◆住信SBIネット銀行(住宅ローンWEB申込コース)
・変動金利 : 0.428%〜0.457% → 0.428%〜0.457% (据え置き)
・10年固定 : 0.710% → 0.660% (−0.05%低下)
・20年固定 : 1.210% → 1.240% (+0.03%上昇)
・30年固定 : 1.290% → 1.300% (+0.01%上昇)
>>>最新の金利はこちら
◆三菱UFJ銀行(保証料を加えた実質金利)
・変動金利 : 0.725% → 0.725% (据え置き)
・10年固定 : 0.890% → 0.790% (−0.10%低下)
・20年固定 : 2.950% → 2.890% (−0.06%低下)
・30年固定 : 1.650% → 1.590% (−0.06%低下)
>>>最新の金利はこちら
住信SBIネット銀行はなぜか、20年固定・30年固定金利を少し引き上げていますね!一体どうしてしまったのでしょうか・・・。市場金利の動きからは全く説明できません。銀行の「都合」ということかと思いますが、今後の動きが気になるところです。
また、三菱UFJ銀行も20年固定・30年固定金利より、10年固定金利の方が金利引き下げ幅が大きいというややトリッキーな動きになっています。「より10年固定金利に注力した」ということかもしれませんが、こちらも気になりますね。
なお住信SBIネット銀行は親会社である三井住友信託銀行の口座を作成すると金利を0.01%引き下げる優遇策を発表しており、それを利用すると今月の金利はこうなります。
◆住信SBIネット銀行(金利優遇後)
・変動金利 : 0.428%〜0.457% → 0.418%〜0.447% (−0.01%低下)
・10年固定 : 0.660% → 0.650% (−0.01%低下)
・20年固定 : 1.240% → 1.230% (−0.01%低下)
・30年固定 : 1.300% → 1.290% (−0.01%低下)
>>>金利優遇の詳細はこちら
さてこちらも当サイトで人気の新生銀行の7月の住宅ローン金利はと言うと以下の通りです。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.600% → 0.450% (−0.15%低下)
・10年固定 : 0.900% → 0.800% (−0.10%低下)
・20年固定 : 1.450% → 0.950% (−0.50%低下)
・30年固定 : 1.500% → 1.200% (−0.30%低下)
全体的に「これでもか!」と言わんばかりに引き下げてきましたね!しばらく金利競争から距離を置いてきた感のある新生銀行ですが、いよいよ積極的な金利引き下げに打って出たようです。
特に変動金利については、他のネット銀行同様に「借入手数料2.0%」タイプを導入しています。実質的な金利は変わらない気もしますが、見た目の変化がどういった反応を生むのでしょうか。興味がわきますね。
なお「新しく住宅を購入される方向け」のキャンペーンが提供されており、それを利用すれば金利はこのようになります。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.450% → 0.400% (−0.05%低下)
・10年固定 : 0.800% → 0.750% (−0.05%低下)
・20年固定 : 0.950% → 0.900% (−0.05%低下)
・30年固定 : 1.200% → 1.150% (−0.05%低下)
>>>最新の金利はこちら
新生銀行は、万が一の時の保障や返済停止機能を組み合わせた「安心パック」を付加するなど、金利以外のサービス拡充にも注力しています。そうした付加価値についても目を向けてみると、また違った住宅ローン選びができるかもしれませんね。ちなみにこのサービスは日経新聞が選定した新商品・新サービスの中で、最優秀賞を受賞したようです。
また、10年以上経過すると徐々に金利が下がっていき、最大で50%ダウン=半分となる金利タイプ「ステップダウン型金利」の発売を開始しています。ユニークですね!長期固定金利の住宅ローンの利用を考えている方は参考にしてみてください。
[2019年8月以降の住宅ローン金利の動向]
気になる今後の住宅ローン金利の動向ですが、上記の通り今のところ長期金利はマイナス水準まで低下しており、願ってもない追い風が吹いています。このチャンスをしっかり活かしていただければと思います。実際、今月の住宅ローン金利は固定金利を中心に全面的に低下しています。
アメリカが利下げに動く可能性もあり、当面、市場金利は低下傾向を維持しそうですが、ただ景気が堅調さを維持すればいつか金利が再び上昇するかもしれませんので尚更ですね。
ただ仮に再上昇するとしても、それはあくまで住宅ローン金利の中でも「固定金利」の話です。
住宅ローン「変動金利」については、長期金利ではなく短期金利と連動しますが、その短期金利は引き続き「−0.1%」程度になるようコントロールされていますので変化はありません。
さらに「フォワードガイダンス」によって当分の間、低金利が維持されることが「約束」されているわけですから、変動金利を選ぶのも悪くありませんね。
ここで今後の「本格的な」金利上昇の可能性を考えると、カギとなるのは物価です。
政府や日銀は、物価上昇=インフレの状態にするためにあらゆる金融政策を取っているわけですが、いよいよ本当にインフレになってくれば、頼みの綱である「異次元の金融緩和」も縮小に向かいますので、実需と金融政策の両面から金利上昇の機運が高まることになります。
では足元の物価動向はと言うと、多少上昇しているものの金融緩和を縮小・終了させるにはまだまだ力不足です。
そうでなくても少子化が続く日本で本当にインフレとなるのか疑問を感じなくもありません。最近の物価動向は以下の通りです。
政府や日銀が目指すように日本経済が本格的なインフレ経済に変貌するとしても、時期としてはかなり先のことであるのは間違いなさそうですね。まさに「フォワードガイダンス」の通りです。
次に長期金利の2000年からの推移を振り返ってみたいと思います。
■長期金利グラフ
このグラフから「金利上昇の教訓」を探ろうとすれば、前回の景気回復が始まった2003年に長期金利は0.435%の最低金利をつけた後、急速に上昇し、1.5%前後にまで実に1%近く上がったことが分かります。
仮に今後、景気回復が順調に進むのであれば、金利についても同じ様に+1.0%程度上昇する可能性がある、ということを示唆しております。
今のところ、慌てたり、焦ったりする必要は全くありませんし、逆に低金利が常態化した日本では「金利が上昇したとしてもその程度」とも言えるわけでむしろ安心しても良いという気すらしますが、とは言いつつ住宅ローン金利が低いのに越したことはありません。
住宅ローンをご検討の方は、そうした将来的な金利上昇リスクを頭の「片隅の片隅」に入れていただければと思います。
[今月の住宅ローン金利レンジ]
最後に、今月の具体的な住宅ローン金利のレンジをチェックするとこのようになっています。
■2019年7月の住宅ローン金利状況(実質金利)
・変動金利 :0.418%〜2.675%
・10年固定:0.59%〜3.75%
・20年固定:0.90%〜2.89%
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
やはりこうして見ると、今まで考えられなかったような、極めて魅力的な金利水準ですね!多少上がるかもしれないとしても、長期金利も住宅ローン金利も「史上最低水準」であるのは間違いありません。着実に超低金利のメリットを享受いただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>