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住宅ローン利用者にとって最も気になることの1つが「いつ金利が上昇するのか?」という点ですね。長らく低金利が続いていますが、それでもやはり中長期的な「金利上昇リスク」が気になるところです。
コロナ問題もありますので、2〜3年は金利上昇はないと考えて良さそうですがその先はどうなるのでしょうか?
もちろん未来の金利も未来の住宅ローン金利も正確に予測できる人はいませんが、ただ素人よりは専門家、そして専門家の中でも「超一流」の専門家の予測の方がより信頼できると言えます。
というわけで今回は半年ぶりに更新されたIMFの経済見通しとその元となったデータをチェックしたいと思います。
ちなみにIMFとは「国際通貨基金」のことで、為替相場の安定化を目的として設立された国際連合の専門機関の1つです。要するに金融業界の中ではエリート中のエリートであり、つまりは「超一流」ということですから、その見通しも一定の信頼感があります。
ただIMFが日本の未来の住宅ローン金利を直接予測してくれているわけではありませんので、まず今の住宅ローンの低金利が維持されているメカニズムを説明しておきたいと思います。
折に触れてご案内しているように、住宅ローン金利変動のカギを握るのは日銀の金融緩和です。金融緩和が行われれば金利が低下しますので、住宅ローン金利も低下します。
一方、金融緩和が縮小・終了すれば金利も上昇しますので住宅ローン金利も上昇することになります。
ではいつ、どういう時に日銀が金融緩和を縮小・終了させるかと言えば、その基準は明確で「物価上昇率=インフレ率が2%を安定的に超えた時」ですね。
足元のインフレ率がどうなっているかと言うとこうなっています。
3つの指標があり、中でも総合指数はそれなりに上昇している時期もありますが、これは主に「エネルギー価格の上昇」と「生鮮食品価格の上昇」に伴うもので、どちらも値動きが激しいことから本質的なインフレ率を把握する際には控除するのが通例です。
というわけでその2つを除いた指数=緑のラインをチェックしてみるとまだまだ0%近辺をウロウロしていることが分かります。一時のマイナス状態=デフレ状態からは脱したものの、目標である2%には及びません。
異次元緩和を発動して7年以上経過しているのにこの水準ですから、本格的なインフレ率の上昇はまだまだ先、ということですね。
ちなみに2014年には一時、物価上昇率が2%を大きく超えていますが、これは消費税の影響です。というのも物価は「税込み」なのですね。実際、増税の影響が消えた1年後にはきっちり下がり0%近辺に戻っています。
こうした物価動向を踏まえれば、住宅ローン金利が本格的に上昇する余地は今のところほとんどないことになります。ではその金利をコントロールしている日銀の物価見通しはと言うと半年前の予測と比較してこうなっています。
・2020年度 : −0.7% → −0.6%
・2021年度 : +0.4% → +0.5%
・2022年度 : +0.7% → +0.7%
多少の変動はありますが、いずれも低水準ですね。2020年度はコロナ禍でついにマイナス=デフレに逆戻りしたということです。2022年度でも0.7%ということですから、少なくとも2023年3月まで金融緩和が縮小されることはなさそうです。
ただ、より中立的な専門家の見通しを知ろうと思うと日銀以外の予想を探す必要があるわけですが、そうした時に参考になるのが今回取り上げるIMFのデータです。
では前置きが長くなりましたが、そのIMFのインフレ率見通しはどうなっているかと言うと2020年4月発表の見通しは、前回と比較してこうなっています。
・2020年 : 0.227% → −0.017%
・2021年 : 0.362% → 0.137%
・2022年 : 未掲載 → 0.696%
・2023年 : 未掲載 → 0.664%
・2024年 : 未掲載 → 0.865%
・2025年 : 未掲載 → 0.963%
・2026年 : 未掲載 → 0.963%
前回は2022年以降の見通しが見つかりませんでしたが、今回は2026年まで発表されていました。その2026年までインフレ率が1%弱にとどまるということはつまり、
・少なくとも2026年まではインフレ率は2%に到達しない
↓
・少なくとも2026年までは日銀の金融緩和は続く
↓
・少なくとも2026年までは住宅ローン金利は上昇しない
ということでいいと思います。
実際には低金利はもっと続くのでしょうけれど・・・。
次回のIMFの見通しに注目したいと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>