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住宅ローン利用者の所要資金、年収倍率、総返済負担率は?フラット35調査2021年版

このページでは、住宅ローンに関する各種ニュースや情報をご紹介します。
2021年9月9日

住宅ローンの借入は人生の一大イベントですね。失敗が許されないとすると慎重にも慎重を期す必要がありますが、とすると気になるのがみんなの借入状況かもしれません。

というわけで先日もご案内した住宅金融支援機構発表の「フラット35利用者調査」から、住宅ローン利用者の所要資金、年収倍率、総返済負担率についてチェックしていきたいと思います。

まずは所要資金ですが、住宅種別=注文住宅、土地付注文住宅、建売住宅、マンション、中古戸建て、中古マンションの6種類でこうなっています。



2020年度の平均所要資金(購入金額)は過去3年と比較してこうなっています。

・マンション : 4,348万円→4,437万円→4,521万円→4,545万円
・土地付注文住宅 : 4,039万円→4,113万円→4,257万円→4,397万円
・注文住宅 : 3,359万円→3,395万円→3,454万円→3,534万円
・建売住宅 : 3,337万円→3,442万円→3,494万円→3,495万円
・中古マンション : 2,844万→2,983万円→3,110万円→2,971万円
・中古戸建て : 2,393万円→2,473万円→2,574万円→2,480万円

何となく土地付注文住宅の方がお金持ちが購入するイメージがありますが、実際にはマンションの方が所要資金が必要ということですね・・・もはやマンションは「高嶺の花」ということになります。

他方、最も低いのは中古戸建てです。最も高い新築マンションのほぼ半額という水準ですね。新築マンションとは耐用年数が違いますし、老朽化した後の建て替えなどの費用を勘案するとトータルコストではどちらが安いのかは微妙かもしれませんが、「新築マンションの満足度が中古戸建ての満足度の2倍」ということはないと思いますので、積極的に中古戸建てを選ぶという選択は合理的です。

もちろんマイホームは合理性だけで選ぶべきものではありませんが。

なお全体的には新築物件が前年比で上昇している一方で、中古物件が前年比で下落しているのが印象的です。コロナ禍で住宅価格が特に値下がりしている様子はありませんでしたが、こと新築物件については供給が少なくなった分、値段が上がりやすかったのかもしれませんね。

ちなみに国土交通省が発表している住宅価格指数はこのようになっています。



こちらは戸建て住宅の価格はさほど上がっていないことが分かります。今回の「フラット35利用者調査」の結果と矛盾している気もしますが、なぜなのでしょうね?

どちらの数値がより正しいのかは分かりませんが、購入前に過去の価格推移をチェックして「答え合わせ」をしてみてください。

では次に年収に対してどれくらいの住宅を購入しているのか=年収倍率を見てみたいと思います。こちらも住宅種類別の集計ですね。



2020年度の平均年収倍率は過去3年と比較してこうなっています。

・土地付注文住宅 : 7.3倍→7.2倍→7.3倍→7.4倍
・マンション : 6.9倍→6.9倍→7.1倍→7.0倍
・建売住宅 : 6.6倍→6.7倍→6.7倍→6.8倍
・注文住宅 : 6.5倍→6.5倍→6.5倍→6.7倍
・中古マンション : 5.6倍→5.7倍→5.8倍→5.8倍
・中古戸建て : 5.1倍→5.3倍→5.5倍→5.5倍

こちらも全体的には高水準を維持しています。住宅価格が高止まりしているのですから当然かもしれませんが・・・。

中でも「庶民の味方」かもしれない中古マンションと中古戸建てがここ数年で大きく上昇してきた感があるのは残念です。今回は上昇が止まったようではありますが。

前回のコラムを思い出してみると、フラット35住宅ローン利用者の平均年収は過去11年で以下のように推移しています。



2010年度には平均625万円だったものが、2020年度には602万円になっているわけですね。「年収が下がっているのに所要資金=購入資金は増えている」わけですから、年収倍率が増加するのは当然と言えます。

水準自体は全体的には「6倍前後」ということで「許容範囲かな?」という気もしますが、マンションや土地付注文住宅のように7倍を超えてくると黄色信号ですね。ご注意ください。

金利の低下は確実に進んでいますので、実際の住宅ローン返済負担は変わっていないのかもしれませんが、無理のない返済計画を立てるようご留意いただければと思います・・・。

ではその住宅ローン返済負担=総返済負担率は具体的にどうなっているかと言うとこうなっています。



2020年度の平均総返済負担率は22.2%となっています。過去10年を振り返ってみても22%前後で推移しており、ほとんど全く変化していません。なるほど確かに住宅ローンの返済負担は増えていないわけですね。

言い換えると

・過去11年でフラット35住宅ローン利用者の年収が減少し、住宅価格が上昇しているものの、そうしたネガティブインパクトを住宅ローン金利の低下が吸収し、住宅ローンの返済負担は増えていない。

ということになります。異次元緩和に感謝ですね・・・。

逆に言えば今後金利が上昇すると、購入できる住宅価格も低下していくことになるわけです。当たり前ですが。

上記のようにコロナ禍においても住宅価格が高止まりしている中で住宅を購入することにためらうのは当然だと思いますが、一方で金利低下の影響は思ったより大きいです。

これから住宅購入を検討されている方にとって、購入するのかしないのか、なかなか悩ましい状況ですが、少なくとも「金利が低い間に購入した方がいい」のは間違いなさそうです。

参考になさってください。

<日本住宅ローンプランニング編集部>

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