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1月となりました。いつものようにまず市場金利の動向を振り返ってみたいと思います。
上記グラフの通り長期金利はこれまで基本的には右肩下がりだったわけですが、特に2016年1月末に発表された「マイナス金利政策」の影響で大きく低下しました。
しかし細かく見ると、2016年秋以降は一転して上昇しました。そのキッカケは2016年7月末に発表された「追加金融緩和」が期待外れに終わったことです。同時に検討が発表された「金融緩和の総括」に対する懸念もあったのかもしれません。
ではその後の日本の長期金利はどうなっているかと言うと2017年以降はそうした金利上昇も一服し、極めて安定的に推移してきたことが分かります。
その背景にあるのは2016年秋から日銀の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」、別名「イールドカーブコントロール」が始まったことです。これは「日銀が直接的に市場金利をコントロールしていく」金融政策ですが、この枠組みの元で長期金利の操作目標は「0%」に設定されています。
ただ気になる動きとなったのが、2021年3月の金融政策決定会合で、日銀が長期金利の変動幅をこれまでの「−0.2%〜+0.2%」から「−0.25%〜+0.25%」に拡大し、さらに2022年12月にはそれをさらに「−0.5%〜+0.5%」に拡大したことです。
長期金利の上限が「+0.5%」に変更されたわけですから、実質的な利上げですね。実際のところ足元で長期金利は大きく上昇し、本日は「0.474%」となっています。
残念ながら当面、住宅ローン金利にも上昇圧力が加わるものと思います。ご注意ください。
そのような金利環境を理解した上で、具体的に三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行の大手銀行=メガバンクの1月の住宅ローン金利をチェックするとこのような結果となっています。
・変動金利 : 据え置き
・10年固定金利 : +0.10%〜+0.30%
・20年固定金利 : +0.09%〜+0.29%
・30年固定金利 : +0.05%〜+0.27%
幅はあるものの大手銀行は全て固定金利を引き上げているということですね。これは上記の通り12月に長期金利の変動幅の「上限」が+0.25%から+0.5%に拡大されたためです。
先日の当サイトのコラムでは「1月の住宅ローン金利は変動金利タイプは据え置き、固定金利タイプはほぼ変わらず、超長期はわずかに低下」と予想しましたが、金融政策の変更は全く想定していなかったのでまるっきり外してしまいました・・・残念です。
>>>[2023年1月の住宅ローン金利予想] 変動は据置、固定もほぼ変わらず、超長期はわずかに低下
[2022年1月の住宅ローン金利]
上記ご案内したように、メガバンクの1月の住宅ローン金利は
・変動金利 : 据え置き
・10年固定 : 引き上げ
・20年固定 : 引き上げ
・30年固定 : 引き上げ
と言うことで上記の通り、固定金利は全体的に引き上げです。
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
具体的な金利をチェックしていくと、フラット35・20の金利は別のコラムにて既にご案内しておりますがこうなりました。
・フラット20金利 : 1.49% → 1.52% (+0.03%)
・フラット35金利 : 1.65% → 1.68% (+0.03%)
>>>最新のフラット35の金利はこちら(楽天銀行)
先日のフラット35・20の金利予測では
・フラット20金利 : 1.49% → 1.75% (+0.26%)
・フラット35金利 : 1.65% → 1.91% (+0.26%)
と予想しましたが、こちらは金融政策の変更を織り込んだものの、逆に丸っきり外した感がありますね・・・難しい。
>>>[2023年1月のフラット35金利予想] 前月比+0.26% フラット35金利1.91%?
次に民間の住宅ローンをチェックすると、いつものように当サイトで人気の住信SBIネット銀行と、日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行の、先月と今月の住宅ローン金利の推移はこのようになっています。
◆住信SBIネット銀行(住宅ローンWEB申込コース)
・変動金利 : 0.398%〜0.410% → 0.398%〜0.410% (据え置き)
・10年固定 : 1.280% → 1.680% (+0.40%)
・20年固定 : 2.000% → 2.300% (+0.30%)
・30年固定 : 2.120% → 2.290% (+0.17%)
>>>最新の金利はこちら
◆三菱UFJ銀行(保証料を加えた実質金利)
・変動金利 : 0.475% → 0.475% (据え置き)
・10年固定 : 0.870% → 1.050% (+0.18%)
・20年固定 : 1.700% → 1.790% (+0.09%)
・30年固定 : 1.710% → 1.760% (+0.05%)
>>>最新の金利はこちら
どちらも金利が引き上げられているわけですが、住信SBIネット銀行についてはちょっと驚くくらいの金利上昇幅になっていますね。何が起きているのでしょうか。
ちなみに三菱UFJ銀行の子会社であるauじぶん銀行も低金利です。競争は苛烈です。
>>>auじぶん銀行の最新金利はこちら
さてこちらも当サイトで人気の新生銀行の1月の住宅ローン金利はと言うと以下の通りです。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.350% → 0.350% (据え置き)
・10年固定 : 1.100% → 1.100% (据え置き)
・20年固定 : 1.500% → 1.500% (据え置き)
・30年固定 : 1.600% → 1.600% (据え置き)
まさかの全部据え置きで、逆に金利競争力が増していますね。来月もこのままだといいのですが。
また「新しく住宅を購入される方向け」のキャンペーンが提供されており、それを利用すれば金利はこのようになります。
◆新生銀行
・変動金利 : 0.450% → 0.400% (−0.05%)
・10年固定 : 1.100% → 1.050% (−0.05%)
・20年固定 : 1.500% → 1.450% (−0.05%)
・30年固定 : 1.600% → 1.550% (−0.05%)
>>>最新の金利はこちら
新生銀行は、万が一の時の保障や返済停止機能を組み合わせた「安心パック」を付加するなど、金利以外のサービス拡充にも注力しています。そうした付加価値についても目を向けてみると、また違った住宅ローン選びができるかもしれませんね。ちなみにこのサービスは日経新聞が選定した新商品・新サービスの中で、最優秀賞を受賞したようです。
また、10年以上経過すると徐々に金利が下がっていき、最大で50%ダウン=半分となる金利タイプ「ステップダウン型金利」の発売を開始しています。ユニークですね!長期固定金利の住宅ローンの利用を考えている方は参考にしてみてください。
[2023年2月以降の住宅ローン金利の動向]
今後の住宅ローン金利の動向ですが、上記の通り金融政策の変更により長期金利はハッキリ上昇しており、「固定金利」は当面上昇圧力を受けることになります。ご注意ください。
他方で「変動金利」については、長期金利ではなく短期金利と連動しますが、その短期金利は引き続き「−0.1%」程度になるようコントロールされていますので変化はありません。
さらに「フォワードガイダンス」によって当分の間、低金利が維持されることが「約束」されているわけですから、変動金利を選ぶのも悪くありませんね。
[今月の住宅ローン金利レンジ]
最後に、今月の具体的な住宅ローン金利のレンジをチェックするとこのようになっています。
■2023年1月の住宅ローン金利状況(実質金利)
・変動金利 :0.289%〜2.675%
・10年固定:0.990%〜4.55%
・20年固定:1.350%〜2.38%
>>>今月の住宅ローン金利比較はこちら
こうして見ると引き続き魅力的な金利水準です。多少上がったとしても住宅ローン金利が「史上最低水準」であるのは間違いありません。着実に超低金利のメリットを享受いただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>