これまで安定して推移してきた住宅ローン金利ですが、気になる動きが日銀が「長期金利の変動幅」を拡大し続けてきたことですね。
日銀は2016年秋に開始されたイールドカーブコントロールによって長期金利を概ね「−0.1%〜0.1%」の範囲内に収まるよう操作してきましたが、2018年7月末にこれを「−0.2%〜0.2%」に拡大しました。
つまり長期金利の上限が0.1%から0.2%に上がったのですね。
さらに2021年3月には「−0.25%〜0.25%」へ、そして2022年12月には「−0.5%〜0.5%」へと再拡大しました。これらは実質的に「金利引き上げ」を意図したものと言えますので金利上昇が懸念されたわけですが、その後の長期金利の推移をチェックするとこうなっています。
2018年の変動幅拡大は「不発」だった一方で、2021年・2022年の変動幅拡大は、折からの世界的な金利上昇傾向もあり、長期金利は右肩上がりで上昇してきたことになります。
本日も0.516%ということで高止まりしています。
今のところイールドカーブコントロールは機能しておりますので、「上限」を上回るような金利上昇にはならないと思いますが、住宅ローン利用者としては要注意です。
実際に住宅ローン市場にどのような影響が出ているのか気になるところですが、3ヶ月に1度発表される日銀の「主要銀行貸出動向アンケート調査」から調べてみたいと思います。
今回は調査期間が2023年3月9日〜2023年4月12日となっており、2023年第4四半期=2023年1月〜2023年3月の動向が概ね反映されております。
さらに言えば上記の通り2022年12月の日銀の利上げの影響も加味されているものと思います。
では早速今回発表された最新の数値をチェックしてみたいと思います。気になる個人の資金需要=ローン需要を見てみるとこのようになっています。
「個人向け」の欄を見てみると指数は3ヶ月前の「−3」から「−2」へ少し回復しています。依然マイナスではありますが。
回答金融機関の内訳はこうです。
・やや増加:6%
・横ばい:86%
・やや減少:6%
・減少:2%
減少と回答している金融機関の方がわずかに多いですね。
次にその個人の資金需要を「住宅ローン」と「消費者ローン」に分けてみるとこうなります。
抜き出すと前回と比較してこういうことになります。
・住宅ローン:−4→−2
・消費者ローン:3→4
住宅ローンも消費者ローンも回復はしていますが、住宅ローンは引き続きマイナスで低迷傾向ですね。
次に 「今後3ヶ月予測」はこのようになっています。
個人向けの資金需要は前回の「0」から「0」へ変わらずの見通しとなっています。住宅ローン金利が引き続き高止まりするという予想なのですかね。
次に「金融機関の貸出スタンス」はどうなっているかと言うと、まず過去3ヶ月はこう。
銀行の貸出スタンスは「2」から「1」へ一歩後退ということです。意外ですね。
最後に貸出スタンスの「今後3ヶ月予測」はこう。
一方、こちらは前回の「1」から「3」と、むしろより積極的なスタンスに変更する意向というわけですね。素晴らしい。
3月までの繁忙期を終えて、積極的に行かないと住宅ローンが増えないという銀行側の事情もあるのかもしれませんが。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>