住宅ローン利用者にとって最も気になることの1つが「いつ金利が上昇するのか?」という点ですね。長らく低金利が続いていますが、それでもやはり中長期的な「金利上昇リスク」が気になるところです。
実際問題、海外ではインフレ対策のために金利が引き上げられてきましたので尚更です。
もちろん未来の金利も未来の住宅ローン金利も正確に予測できる人はいませんが、ただ素人よりは専門家、そして専門家の中でも「超一流」の専門家の予測の方がより信頼できると言えます。
というわけで今回は半年ぶりに更新されたIMFの経済見通しとその元となったデータをチェックしたいと思います。
ちなみにIMFとは「国際通貨基金」のことで、為替相場の安定化を目的として設立された国際連合の専門機関の1つです。要するに金融業界の中ではエリート中のエリートであり、つまりは「超一流」ということですから、その見通しも一定の信頼感があります。
ただIMFが日本の未来の住宅ローン金利を直接予測してくれているわけではありませんので、まず今の住宅ローンの低金利が維持されているメカニズムを説明しておきたいと思います。
折に触れてご案内しているように、住宅ローン金利変動のカギを握るのは日銀の金融緩和です。金融緩和が行われれば金利が低下しますので、住宅ローン金利も低下します。
一方、金融緩和が縮小・終了すれば金利も上昇しますので住宅ローン金利も上昇することになります。
ではいつ、どういう時に日銀が金融緩和を縮小・終了させるかと言えば、その基準は明確で「物価上昇率=インフレ率が2%を安定的に超えた時」ですね。
足元のインフレ率がどうなっているかと言うとこうなっています。
世界的なインフレの波がついに日本にも押し寄せ、インフレ率は2%を超え3%台になっています!単純に考えれば日銀が金融緩和を終了させ、金利を引き上げてもおかしくない状況ですが、ただこのインフレは「一時的」と見られており、「2%を安定的に超えた」とは言えないということになっています。
その点では今の金融緩和、そして低金利はもう少し続くということですね。
具体的に日銀の物価見通しはと言うと1年前の予測と比較してこうなっています。
・2022年度 : +1.9% → +3.0%
・2023年度 : +1.1% → +1.8%
・2024年度 : +1.1% → +2.0%
・2025年度 : 未掲載 → 1.6%
全体的に大きく跳ね上がっていますが、しかし2023年と2025年のインフレ率予想は2%を下回っていますので、日銀の「今のインフレは一時的」とする見方を裏付ける予想となっているわけですね。
この予測通りとなれば、少なくとも2026年3月までは金融緩和が縮小されることはなさそうです。
ただ、より中立的な専門家の見通しを知ろうと思うと日銀以外の予想を探す必要があるわけですが、そうした時に参考になるのが今回取り上げるIMFのデータです。
では前置きが長くなりましたが、そのIMFのインフレ率見通しはどうなっているかと言うと2023年4月発表の見通しは、1年前と比較してこうなっています。
・2023年 : 0.827% → 2.733%
・2024年 : 0.928% → 2.190%
・2025年 : 0.996% → 1.584%
・2026年 : 0.966% → 1.508%
・2027年 : 0.964% → 1.508%
・2028年 : 未掲載 → 1.508%
1年前は今のようなインフレが全く予見されていなかったということで趣深いものがありますが、全体的に大きく引き上げられているものの、2025年にはインフレ率は再び2%を下回るということですね。
・少なくとも2028年まではインフレ率は安定的に2%を超えない
↓
・少なくとも2028年までは日銀の金融緩和は続く
↓
・少なくとも2028年までは住宅ローン金利は上昇しない
ということでいいと思います。
実際には低金利はもっと続きそうですが・・・。
次回のIMFの見通しに注目したいと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>