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先日、住宅金融支援機構が発表した「民間住宅ローンの実態調査」を取り上げました。今、選ばれている住宅ローン金利タイプはこうなっていましたね。
金利の低下に伴い、「変動型」のシェアが拡大しているという結果でした。
>>>最新の住宅ローン金利タイプランキングは?住宅金融支援機構の実態調査2023年6月版
さてその「民間住宅ローンの実態調査」の中で、毎度のことではありますが、もう1つ気になる回答結果がこれです。
世帯年収毎にどういった金利タイプが選ばれているのか?という内容ですね。これだけ見ると「どの年収も選ぶ金利タイプに大きな変化はないんだな」と勘違いしてしまいますが、実際には回答者数はこうなっています。
・変動型:1,085名
・固定期間選択型:275名
・全期間固定型:140名
つまりは変動型が圧倒的に多いわけで、それを同じようなシェアに見せるためか「それぞれの金利タイプごと」の割合で示すのは明らかなミスリーディングです。
というわけで本来あるべき「人数ごと」の割合で計算しなおすとこうなります。
印象が全く異なりますね!
もちろんこちらの方が正しいわけですが、やはり全体的には一番目のグラフと同様にどの年収帯においても変動型が人気です。いずれも過半数のシェアとなっていることが分かります。
一方で年収毎の変化を見ると、概ね「年収が低いほど変動型のシェアが下がる」傾向にあるわけですね!
専門家が指摘するように、
・年収が低い場合は金利上昇リスクに対応できないので固定金利を選ぶべき
・年収が高い場合は金利上昇リスクに対応できるので変動金利でも構わない
という考え方を実際の住宅ローン利用者も共有しているのであればこういう結果になるのも納得できます。
ただ、変動型より固定型の方が一般的に金利は高いわけで、「年収が低い人ほど割高な固定金利を選んでいる」というのは今一つ釈然としません。
もしかするとこのような金利の偏りの背景になっているかもしれないのが、こちらの借り入れ先別の金利タイプですね。
全体的に見れば信用金庫・信用組合・労働金庫と言った「地域金融機関」の方が固定金利の比率がやや高いことが分かります。
そして地域金融機関の主戦場が主に地方であるとすると、統計的には中核都市圏より地方圏の方が年収が低いでしょうから、結果的に「年収が低い人ほど固定金利を選んでいる」ということになりそうです。
記者個人としては「年収が低い場合は金利上昇リスクに対応できないので固定金利を選ぶべき」 という考え方に素直に賛同することはできません。
「家計が苦しい人ほど割高な金利を払わないといけない」というのは何かの罰みたいですしね。
特に今は日銀の金融政策によってかなりの長期間低金利が維持される見通しであり、金利上昇リスクが大きく低下しているので尚更です。
そもそもバブル崩壊以降の長期金利の推移を見てみると、過去30年の間、金利は概ね下がりっぱなしだったわけで、こうした金利低下が構造的なものだとすると、金利上昇を過度に恐れるのはナンセンスだとも感じます。
年収が低い世帯ほど、本当に固定金利を選ぶべきなのか、もう一度じっくりご検討いただければと思います。
参考になさってください。
<日本住宅ローンプランニング編集部>