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5月も早くも中旬となりました。いつものように来月の住宅ローン金利予想をしていきたいと思います。
まずこれまでの金利推移を振り返ってみると何と言っても衝撃的だったのがもう8年前となってしまいましたが、2016年1月末に発表された「マイナス金利政策」ですね。
金利がマイナスになるというのは想定外でしたが結果的に住宅ローン金利も劇的に低下しました。
加えて日銀による「金利操作付き金融緩和=イールドカーブコントロール」で長期金利は「0%前後」にコントロールされることになりました。長期金利のグラフに−0.1%と0.1%の線を足してやれば、これまで日銀の思惑通り長期金利の動きが管理されてきたことが分かります。
しかし。
2018年7月に、日銀が長期金利の変動幅をこれまでの2倍まで容認すると発表しました。従来の変動レンジが「−0.1%〜+0.1%」だったのに対して「−0.2%〜+0.2%」になったということですね。
さらに2021年3月には変動レンジを再拡大し「−0.25%〜+0.25%」となり、2022年12月にはまたまた拡大し「−0.50%〜+0.50%」となり、2023年7月には上限が「+1.0%」に引き上げられ、そしてついに2024年3月にはこのイールドカーブコントロールそのものが終了となりました。
同時にマイナス金利も解除となっています。いよいよ「利上げ」ということですが過去2年の長期金利の推移をチェックするとこうなっています。
異次元緩和の縮小を受けて徐々に上昇してきたわけですね。
久しぶりの金利上昇で焦りますが、ただ世界が徐々に「利下げ」に向かいつつある現状を踏まえれば、日本の住宅ローン金利だけが右肩上がりで上昇することは考えにくいです。冷静に借り入れ・借り換えのタイミングを検討いただければと思います。
[2024年6月の住宅ローン金利予想]
毎度前置きが長くなって恐縮ですが、大まかな金利の動きや背景を踏まえた上で、ここから来月=2024年6月の住宅ローン金利を具体的に予想していきたいと思います。
まず金利環境としては上記の通り日銀の利上げによって金利に上昇圧力がかかっている状況ですが、過去3ヶ月の長期金利の推移をみるとこうなっています。
先月の同じ時期と比べても、メガバンク各行が金利を決定したであろう4月下旬ごろの金利水準と比べても上昇しています。
念のため4月25日前後の国債金利と本日現在の国債金利との差をチェックしてみるとこうなります。
◆4月25日前後の国債金利と本日の国債金利の比較
・1年 : 0.10% → 0.13% (+0.03%)
・10年 : 0.90% → 0.92% (+0.02%)
・20年 : 1.66% → 1.69% (+0.03%)
・30年 : 1.93% → 1.97% (+0.04%)
ただこうしてみると金利上昇幅はわずかですね。
ということで6月の住宅ローン固定金利の予測としては、「固定金利タイプはわずかに上昇」としておきたいと思います。
次に住宅ローン「変動」金利タイプについて。
人気の住宅ローン金利タイプと言えば変動金利ですが、この変動金利タイプのベースとなるのは長期金利ではなく「短期金利」です。
そしてこの短期金利については日銀の「ゼロ金利政策」によって金利ゼロに到達したことに加え、日銀が完全にコントロールしているために上がることも下がることもなくずっと「超・低金利」を維持してきました。
上記の通り2024年3月に「マイナス金利政策」は解除されたものの、「ゼロ金利」は継続しており、まだ当面は低金利が続くものと思います。4月16日現在の代表的な短期金利である「無担保コール翌日物」金利はと言えば「0.077%」とやはり低いです。
1ヶ月前の金利は「0.077%」でしたから奇しくも全く同じですね!低水準が続いているということです。
そしてこのように短期金利の低金利が続く限り、住宅ローン変動金利タイプも低金利が続くことを意味します。もちろん、今後さらなる利上げはありえますが、しかし大幅な金利上昇は考えにくいですね。
非常にしつこい今般のインフレも世界的に見れば徐々に低下してきています。
住宅ローン金利が上昇した、低下した、と言ってもそれはあくまで10年固定や20年固定といった「固定金利タイプ」の話であり、「変動金利タイプ」は基本的にはゼロ金利政策が復活した2008年12月以降の約15年間全く上昇していません。
住宅ローンの変動金利タイプをご検討の方は、長期金利の変動に一喜一憂する必要は全くない、ということです。
そうしたわけで6月の変動金利の予測としては「ほとんど変化なし」ということで良いと思います。
みなさんが来月も最高の住宅ローンに出逢えることを祈っております。
<日本住宅ローンプランニング編集部>